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コーポレート部門で働く人が読むべき本をマンガだけで選んでみた (厳選15選)

株式会社ベーシック執行役員 CAOの角田(@takeshisumida_)です。

私はコーポレートの管掌役員として、経営企画、人事、広報、経理、財務、法務、総務、内部監査など、バックオフィス周りの機能全般に幅広く関わっています。(経営企画については、以前noteにて経営企画機能立ち上げの話を書いていますので、よろしければそちらもご覧になってみてください。)

さてそのコーポレート組織内では、メンバーの部署異動があったり、新たに社員が入ってくることがしばしばあります。そのような場合、事前インプットとして各種書籍を紹介するのですが、私はこれまで通常のビジネス書に加え、いくつかマンガも交えて紹介していました。

この5月からも新しいメンバーが入ってくるのですが、改めてふと思いました。「ビジネスに役立つマンガ」というような括りだと既にいくつもWeb上にまとめ記事が存在するのですが、コーポレート組織という括りに焦点を絞ったまとめは恐らく存在しない。今後も継続的に異動や採用があるとすると、今ここで自分がまとめておくべきではないかと(笑)

なお、あらかじめ今回のご紹介の範囲を明確化しておきますと、いわゆる「マンガで分かる〇〇」のようなマンガで職種を解説してはいるが実質ビジネス書である作品、また「キングダム」や「アオアシ」など、前述「ビジネスに役立つマンガ」の常連ではあるものの直接的には企業活動に関係しないものは含めていません。特に以下に当てはまる方に読んでいただけると嬉しいです。

・コーポレート部門、管理部等でバックオフィスのメンバーとして働いている人
・これからバックオフィス関連の組織に配属、異動が決まっている人
・所属はしていないが、働く上でバックオフィスのことをもっと知りたい人

それでは年間500冊以上のマンガを読んでいる私が厳選した、コーポレート部門で働く人のためのオススメマンガをどうぞ!

1. 監査役 野崎修平

関連業務:内部監査、法務
実務関連度:★★★
巻数:12巻 (完結)

「監査役」というかなり珍しいテーマを扱っている作品。「サラリーマン金太郎」や「半沢直樹」に通じるところもある熱血漢な主人公が、社内のコンプライアンスや内部統制に関する問題を切っていくストーリーを通じて、企業における監査役という立場の重要性や会社法を学ぶことができる隠れた良作。他の役員と比べて一般的にはその役割や意義をあまり知られていない監査役だが、コーポレートに属する人にとっては必須の知識と言えるだろう。続編として「新・監査役 野崎修平」「監査役 野崎修平 銀行大合併編」「頭取 野崎修平」もある。

2. 女騎士経理になる

関連業務:経理、財務
実務関連度:★★★
巻数:8巻 (完結)

マンガではかなり限られている「経理」をテーマにした作品。その画風や女騎士というキャラクターから得てして内容を勘違いされがちであるが、実際の仕訳や財務諸表を始め、簿記の歴史まで含めて、実はかなりしっかりと会計のことを描いているマンガである。これを読むだけで経理の実務レベルが向上するということはさすがに無いが、これから経理を始めようという人が興味を持つ大変良いきっかけには確実になる作品。なお、既に経理を実務としてよく分かっている人が、経理あるあるをほくそ笑みながら読むという別の楽しみ方もある。

3. 市場クロガネは稼ぎたい

関連業務:上場、M&A、経理、財務
実務関連度:★★★
巻数:13巻 (完結)

Webコミック発祥だからか、タイトルの分かり難さで損をしているのか定かではないが、なぜかあまり知られていないものの、知識、ストーリー双方の観点で、非常に優れた隠れた良作。テーマとしては「経済」全般。お金を稼ぐことが目的である特殊な学校が舞台であり、会社と同じく株価という概念を持ち、上場やM&Aまで行われる種々部活動の運営を通じ、いかに会社を運営し成長させていくかを学べる作品。蛇足だが、学園都市という点や、序列が学園第○位と呼ばれることなど、個人的には「とある科学の電磁砲」を少し彷彿とさせる点がより熱い。

4. スタンドUPスタート

関連業務:新規事業開発、事業投資
実務関連度:★★☆
巻数:2巻 (2021年5月時点未完)

「起業」をテーマにした作品。いわゆる天才ではなく、どこにでもいる普通の人、むしろどちらかというと失敗や悩みを抱えている人が、天才投資家の助言の元に起死回生をかけて次々と起業に挑戦していくというストーリーに惹きつけられる。実際にスタートアップを経営している上野豪さんが監修していることもあり、ほぼ一話読み切りで毎回出てくる新規事業のアイデア自体が非常に面白い。新規事業投資や新規事業開発に関わっている、経営企画や経営戦略といった部署に所属している人達にとっては参考になる部分も多いのでは。

5. 王様たちのヴァイキング

関連業務:情報システム、新規事業開発、事業投資
実務関連度:★★☆
巻数:19巻 (完結)

天才エンジェル投資家×天才ハッカーのコンビによる起業物語。投資家とプログラマーという全く異なる両者の世界を同時に知ることができる貴重なマンガ。大枠では「起業」をテーマとしながら、プログラマーが主人公ということもあり、特にテック面については実際にあるセキュリティ攻撃やその対処法をかなり具体的に描写しており、情シスを始め情報セキュリティに関連する部署の人なら知識として読んでおくべき作品。なお、筆者の中ではプログラマーが主人公であるマンガの走りであり、今でもその中の代表的なマンガであると思っているため、特にIT企業で働く人にはぜひ読んで欲しい。

6. トリリオンゲーム

関連業務:情報システム、新規事業開発、事業投資、M&A
実務関連度:★★☆
巻数:1巻 (2021年5月時点未完)

前述「王様達のヴァイキング」を彷彿とさせるカリスマ×ITの天才コンビによる起業物語。起業がテーマという点では同じく前述「スタンドUPスタート」とも共通するが、科学系マンガ「Dr.STONE」の稲垣先生が原作なだけあり、相対的には内容はよりテック寄り。また、主人公がGAFA超えを目指しており、ライバルとしてソフトバンクを連想させる企業も出てくるなど、企業として勝ち抜くための大型の資金調達や企業買収など、より大掛かりな仕掛けも多く登場する。特に事業開発関連部署に所属する人は強く共感するであろう作品。

7. エンゼルバンク

関連業務:人事(中途採用)
実務関連度:★★★
巻数:14巻 (完結)

テーマは「転職」。大学受験がテーマである「ドラゴン桜」の三田紀房先生らしい論調で、転職市場の構造や、転職する上での考え方について、複数人の転職希望者の事例と共に描かれている。ドラゴン桜外伝という副題の通り、ドラゴン桜の舞台や人物が登場するが、物語としては完全に別なので、ドラゴン桜自体を読んでいなくても問題はない。1巻の発売が2008年ということで少し古く、現在の転職市場や時流と若干異なるところはあるが、それでも人事に所属し、中途採用に関わっている人なら基礎知識として読んでおくべき作品。

8. 銀のアンカー

関連業務:人事(新卒採用)
実務関連度:★★★
巻数:8巻 (完結)

こちらも同じく「ドラゴン桜」の三田先生の作品。テーマは「就活」。新卒採用市場における様々なデータを用いながら、就職活動における考え方、軸を、元カリスマヘッドハンターである主人公と、就活中の学生のやり取りを通じて紹介している。メインの読者ターゲットとしてはまさにこれから就職活動を行う大学生だが、企業で人事として新卒採用に関わる人もしっかりと抑えておくべき作品。1巻の発売が2007年と、前述エンゼルバンクと同じく決して新しい作品では無いが、考え方としては今でも共通する部分が非常に多く、やはり基礎知識としては読んでおきたい作品。

9. マネーの拳

関連業務:経営企画、経営管理
実務関連度:★☆☆
巻数:12巻 (完結)

前述「エンゼルバンク」「銀のアンカー」と同じ三田先生が、「経営」をテーマに描いた作品。前述2作品と異なり、ずばりコーポレート組織に直接関連する作品ではないが、元ボクシングの世界チャンプがビジネスの世界でも成功を目指すことを通じ、事業立ち上げや資金調達、買収などのストーリを交えながら、そもそも"商売の本質とは何か"を学べるマンガ。世の経営者でも愛読書として挙げる人が多い、ある意味マンガと言うよりちょっとしたビジネス書とも言うべき、特にコーポレートの中でも経営に近い人は読んでおいて損が無い作品。

10. インベスターZ

関連業務:財務、事業投資
実務関連度:★☆☆
巻数:21巻 (完結)

同じく三田先生がこの作品でテーマとしているのは「投資」。各学年の成績トップのみが参加できる「投資部」が存在する特殊な学園を舞台に、株、ベンチャー投資、FX、保険、金、不動産等、時には日本経済の歴史の話も交えながら、資産運用について幅広く学べる作品。企業が舞台ではないこともあり、コーポレート実務との関連度合いはそこまで高いとは言えないが、それでも経理、財務、経営企画など、お金周りに関連する部署に属する人は、知識として読んでおくべき作品。今回紹介している三田作品の中では最も連載が新しく、時流や世の中の出来事についても最新に近いものが学べる。

11. 透明アクセル

関連業務:広報PR
実務関連度:★★☆
巻数:3巻 (完結)

最後に紹介する三田作品のテーマは「戦略PR」。舞台が広告代理店なので、コーポレート組織に属するいわゆる企業広報とは若干異なり、実務関連度合いとしては高くはないが、メディアを巻き込み社会を動かしていく様は企業広報として学ぶところは大いにあり、また時には協業パートナーともなる広告代理店の業務について学べる点は得るものがあるだろう。なお、広報をテーマとしたマンガは世の中に非常に限られており(無い?)、今回のまとめの中でも、広報系としては唯一のマンガとして選んでいる。全部で3巻と巻数が非常に短いので、他の三田作品と比べても一気読みがし易い作品である。

12. ナニワ金融道

関連業務:法務、経理、財務
実務関連度:★★☆
巻数:19巻 (完結)

ビジネスにオススメのマンガとしても常連の作品。テーマはそのタイトルの通り「金融」。いわゆる消費者金融の世界を舞台としている。その画風のクセの強さから読まず嫌いの人も多い作品であるが、人生における法律の大切さ(特に民法)を学ぶことができる貴重な作品。かなりディープな世界ではあるため、一般企業における実務への直結度という意味ではそこまで高くはないが、ある意味生きていく上でお金に関わっていく以上、読んでおいて損が無い作品。続編として「新ナニワ金融道」「新ナニワ金融道R」「新ナニワ金融道外伝」がある。

13. カバチタレ!

関連業務:法務、人事(労務)
実務関連度:★★☆
巻数:20巻 (完結)

言うなれば前述「ナニワ金融道」の行政書士版。実際「ナニワ金融道」の青木先生が監修していることもあり、絵柄含め全体的にかなり通じるところがある。「ナニワ金融道」と同じく日常に潜む法律の怖さを描いたようなところが多く、企業におけるコーポレートの実務に多く直結する訳ではないが、労災、不当解雇、労働基準法等、行政書士がテーマという特性上、法律の中でも人事に関するテーマは比較的多め。また、人事以外の方でも、こちらも生きる上では必要な法律の大切さそのものを学べるため読んでおいて損はない作品である。続編として「特上カバチ!!」「カバチ!!!」がある。

14. クロサギ

関連業務:法務、財務、経理
実務関連度:★☆☆
巻数:20巻 (完結)

悪徳詐欺師を逆に詐欺にかけることを生業とする詐欺師(=クロサギ)の話であり、テーマはずばり「詐欺」。主人公自体は企業に属していないものの、融資詐欺、投資詐欺、M&A詐欺、粉飾決算詐欺、倒産詐欺等、個人間の詐欺にとどまらず、企業に関する様々な詐欺が登場する。とはいえ詐欺自体、企業において定常的に起こるものではないため、実務関連度合いとしては高くはないが、法律、会計周りに関連するコーポレートメンバーにとっては、いざという時の知識として知っておくべき非常に勉強になる作品。続編として「新クロサギ」がある。

15. 銀と金

関連業務:財務
実務関連度:★☆☆
巻数:11巻 (完結)

バブル崩壊直後辺りの日本の裏社会を舞台とした「お金の騙し合い」をテーマとした作品。「カイジ」や「アカギ」等で有名な福本伸行先生の作品であり、他と同じく各種ギャンブルがストーリーの中で登場はするが、冒頭の株の仕手戦などを始め、企業勤めの人にとっては他の作品よりも関連があるテーマが描かれている。テーマ上コーポーレートの実務に対する直結度は高くはないが、福本先生の真骨頂である"人間の欲"とそれを利用した高度な心理戦は、そもそも人が企業勤めとして生きていく上で大いに教訓となるところが多い。そしてなんと言ってもマンガとしてめちゃくちゃ面白い。

終わりに

いかがでしたでしょうか。改めてまとめてみると、このジャンルにおける三田紀房先生の存在感は凄いですね...(15選中5作品)
企業広報、企業法務、IR等に焦点を当てたマンガが現状無いように思えたので、個人的には今後そういうマンガも出てきて欲しいです。

巻数が多いものありますが、数話もしくは数巻で1つのストーリーという作品が多いので、自分の職種に関連するマンガがあれば、途中まででもぜひ読んでみてください。

なお、簡単に★でも示したように、マンガによって実務への直結度はまちまちですし、さすがにマンガを読むだけでその職種のことが理解できるということはもちろんありませんので、ご紹介したものはあくまで興味のきっかけや知識の補足という位置付けで、それぞれの職種をより詳しく説明した書籍は読んでいただくことをお勧めします。(笑)

他にもオススメのマンガがありましたらぜひ教えてください。Twitterでもコーポレート組織のことやマンガのことを呟いていますので、よろしければフォローしてもらえると嬉しいです!

https://twitter.com/takeshisumida_

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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