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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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2024年1月の記事一覧

【小説】 朝寒の柚子 

 寒の強い朝だった。  小さな通りの石垣の向こうに柚子が実っていた。  散歩がてらに見つ…

大枝 岳志
4か月前
11

【小説】 パンチングマシン、襲来 【ショートショート】

 今から数十年も前の話しだが、とんでもない目に遭った経験がある。  しかも、誰に話してみ…

大枝 岳志
4か月前
7

【小説】 おばけがでるぞ! 【ショートショート】

 O町の片隅に立つ廃倉庫には、夜な夜な幽霊が出ると噂されていた。  その幽霊は世にもおぞま…

大枝 岳志
4か月前
9

【小説】 ピエロは泣いてる? 笑ってる? 【ショートショート】 

 良く晴れた日曜日。伊豆までドライブに出かけていた僕らはサービスエリアの車内で、子供達に…

大枝 岳志
4か月前
10

【小説】 新型NEET制度 【ショートショート】

 新しく始まった「新型NEET制度」の内容がいまいち理解できず、銀行でもらって来たパンフ…

大枝 岳志
4か月前
10

【小説】 水切りの恋 【ショートショート】

 翔子は中学時代から一貫して女子校に通っていた。その持ち前の美貌から街で彼女を知らない者…

大枝 岳志
4か月前
5

【小説】 家電家族 【ショートショート】

 お母さんはいつも暑がりで、冬でもお風呂上りには「暑い暑い」と団扇を手放さず、おまけに冷房まで点けて私達を困らせていた。  そんなお母さんは、最近冷蔵庫に改造してもらってからずいぶんと機嫌が良い。 『はじめは心配でずいぶんドキドキしちゃったけれど、改造してもらえてよかったわぁ~。はぁ~、快適快適』  お母さんは今日もドアをバタバタと開閉させながら、大喜びしている。  家族の中で誰よりも空気を読むのが得意だったお兄ちゃんは、半年前にエアコンに改造してもらった。 『今夜は湿

【小説】 当たりや日和 【ショートショート】

 三十五歳になる飯田勇作はこれといった定職に就かず、夕山おろしでガタつく生家の二階に在る…

大枝 岳志
5か月前
7

【小説】 ただの屍のようだ 【ショートショート】

 勇者はタンスを調べた。  住人が帰って来て、おどろきの悲鳴をあげている。  住人はおび…

大枝 岳志
5か月前
4

【小説】 アダルトビデオマン! 【ショートショート】

 駅近くのマンモス団地に突如、頭バサミ怪人が現れて市民はパニックに陥った。  ワハハ! …

大枝 岳志
5か月前
4

【小説】 夕飯を思い出したい私は、何も知らない 

「十七歳なんだ? いいじゃん、飲んじゃいなよ」  大学生のセイくんはそう言って、私の頭を…

大枝 岳志
5か月前
9

【小説】 高架下にて 【ショートショート】

 深夜一時。  繁華街で飲み歩き、北口から南口へ抜ける高架下に入る。     人の気配も…

大枝 岳志
5か月前
9

【小説】 オニイチャン 【ショートショート】

 休みの朝。コンビニへ煙草を買いに向かっていると、公園の脇を通り掛けに左手前の茂みからサ…

大枝 岳志
5か月前
11

【小説】 真実は森の一番奥に 【ショートショート】

 とある村外れに広がる森は、一度足を踏み入れたら人は二度は出れぬ事で誰もが知るところの、不遇な名誉を与えられていた。  普段は誰も近寄らない森であったが、景気が悪くなると夜な夜な、または白昼堂々その森へ足を運ぶ者が後を絶えなくなる。  大抵の者はふらふらとした足取りで、意識をまるで誰かに操られているかのような動きで森へと入ってしまう為、いつしか森そのものが呪われているのだ、と噂されるようになった。  しかし、ある時期を境に森から生還する者が続出し始めた。  そして、命を投