おとぼけChefの浪人日記

東京都内で12年イタリア料理店を営んでいましたが、建物の契約満了(建て替え)にて一旦閉…

おとぼけChefの浪人日記

東京都内で12年イタリア料理店を営んでいましたが、建物の契約満了(建て替え)にて一旦閉店。移転先浪人に。 浪人生活と次へのリスタートに向けての徒然をつづります。 http://divino-cucina.com/

最近の記事

きっと上手くいく説

少し時を遡って…。 大方決まっていた移転先の話が頓挫し、移転先浪人と謳っていたがまさに本格的な浪人生活に。それから現在の物件契約に至るまでの空白期間の話を。 急遽というか順調に進んでいた移転先の話がなくなった時は、天から降りて来ていた蜘蛛の糸がゆっくりとちぎれてしまったような感覚で、それまでに過ぎた時間も相まってこれからどうしたらよいものかとしばし途方に暮れた。 途方に暮れるさなか、物件を探すもこれはといったものに出会えず(当たり前だが急に見つかるわけもなく)、これは東京

    • やんわりだけれど心はスタート

      急に寒くなったと思ったが、もう12月だ。 お店を閉めて11ヶ月にもなる。 いよいよ再スタート。 まずは店内の内装準備に入る。が、まだまだこれからで。 重要な事柄をいろいろ選定しなくてはならない。 契約したての物件には、打ち合わせの都度出向いているのだが、出向く回数が増えるにつれ、これからこの場所がお店になっていくのだと徐々に始まる実感とわずかな愛着を感じ始めている。 ここにテーブルを置くのかな…ここは厨房で…この角度で外を見るとなかなか景色も悪くないな…などと一人思いを馳

      • 仮免を取ったような気持ち

        あれよあれよという間に晩秋を迎えている。 私の移転先浪人生活もベテランの域に達した。 何にもない日は午前0時前には就寝。 無駄に早く起き、妻の居ぬ間に洗濯を畳み、お手伝いのお店に行く。 比較的早く帰るので夕ご飯を作って一緒に食事をする。 またとある日はレストランで夕食をしたり。 とある週末は友人とゆっくり過ごしたり。 と、この数か月は私にとっての新しい生活様式を送ってきたのでした。 その浪人生活もついに終わりを迎えようとしている。 ようやく新天地が見つかった。覚悟を決めた

        • オーケストラか独奏か

          ”俺はオーケストラをやっているけど、長さんは独奏だな”。この言葉がたまに頭をかすめる。 簡単に言えば、シェフが大人数の指揮を執って料理を作る事と一人で料理を作る事の比喩である。 10年程遡って。ディヴィーノをオープンして2年くらい経った頃だっただろうか。かの有名シェフが私に言った言葉。 どんな意味で仰ったのか、どういった経緯だったかなどのその前後の話は忘れてしまったが。当時開業から2年くらいの頃でほぼ一人で厨房を切り盛りしていたので当時は”まぁそうだな”くらいに思っていたの

        人気の記事

        人気の記事をすべて見る すべて見る

        移転先浪人

        レストランで働くことに考えを巡らせてみた

        雲行き変わって

        仮免を取ったような気持ち

          雲行き変わって

          随分と久しぶりとなってしまった。 そうこうしている間に梅雨と真夏を通り越して、秋の入り口に立っている。季節さながらその間に状況が変わってしまったのであった。 以前に移転先がほぼ決まったと申し上げていたのだけれど、事情により全てが白紙になってしまったのがひと月くらい前の事。 さらに遡るとそのさらにひと月前あたりから予兆は感じていた。 移転については実際、かなり細部の物事まで決まりつつあった。 がしかし…。 予兆は感じていたので青天の霹靂までとは言わないが、振出しに戻った状況

          旅行の話し

          先日、何年かぶりの旅行をした。 コロナ禍はもちろん閉店までの間の忙しさにかまけて久しぶりの旅行であった。行き先は鹿児島と宮崎。 当初は妻と友人の2人で旅行に行くと聞いていたのだが、車の運転に自信がない(普段車の運転は私がほぼしている)との理由から半ば強引に駆り出される事に。浪人生活中とはいえ、スケジュールのある生活をしているので当初は旅行する事を躊躇していたのだが、今しか行けないという妻の言葉と圧力に負け同行する事になっのだが…。結果、有意義な旅行となった。 到着当日は台風

          遡ってみて気が付く

          只今、移転準備中…。 折角だからこの機会にお店の名前を変えようかなと考えてみた。 というのもとある人から「再開後はお店の名前は変わるの?」と聞かれ、 そんな事を考えてもいなかったのだがそれも悪くないなと思いその考えに至ったというやや間抜けな話し。 私自身、どういう訳かあまり屋号や店名そういった事に頓着がなく、そのままで良いと思っていたのだが。 遡って13年前。数ヶ月滞在したイタリアから帰国した。 これが最後だと思いもっと長く滞在する予定でいたのだが、いろいろなご縁もあって

          遡ってみて気が付く

          実験農園

          先日も軽く触れたのだが、千葉にある家の庭を利用して野菜作りをお試し程度ではあるが始めてみている。 成長と退化を繰り返す様に、喜びと落胆を繰り返しながら毎週末の変化を楽しみにしている。 私の実家は、私が生まれる少し前までは農家(稲作)を営んでいたという事もあり子供の頃から田んぼや畑は身近なものであった。家業の農家を辞したその後も家庭菜園規模ではあるが祖母が毎日畑に向かい夏にはナスやトマト、冬は大根、春には玉葱を作っていた。その収穫された瑞々しいお野菜を食べて育ち、そして私は料

          レストランで働くことに考えを巡らせてみた

          フランス人シェフのお店に飛び込んで数か月経った。 研修という事情から、始めは出番も少なめで双方お試し感があったのだけれど。花見時期に差し掛かると連日の満席で私の出番も増えて今もなお。 私のお店とは違ってスタッフも多いし、若い人も多いし、そしてフランス人とフランス語。当初は戸惑いもあったものの、今は私のキャラクターを理解してもらったと勝手に判断し皆様と仲良くさせていただいている。フランス語については、それなりに時間が経ったにも関わらず相変わらずほぼなにを言っているかもわからない

          レストランで働くことに考えを巡らせてみた

          GWの終わりに感じた事

          今年のGWは中盤からお休みに。というか休みにした。昨年までもGWはお休みはしていたものの、今年は少し違った時間の使い方に。 当初は久しぶりの帰省も考えていたものの、日程の都合でまた後日とする事にし、他に旅行も考えたのだが千葉の自宅で過ごす事にした。 この数週間、用事も重なり手入れを怠っていた庭の草木は奔放に過ごしたせいもあり、木々は淡い若葉を繁らせ雑草はかわいい花まで咲かせていた。そこに生命の営みを感じ、この風景も悪くはないなと思いしばし放っておこうかと一瞬だけ考えたのだが

          GWの終わりに感じた事

          職業は料理人。趣味は料理。

          お客様や知人からのよくある質問。 お家でご飯作るの?料理人って家では料理作らないんでしょ?と聞かれることが多かった。 私の周りの料理人仲間に聞くと作る派、作らない派は半分半分くらいの回答。 私の場合は前者の作る派で、仕事柄夜遅くになるのだけれどお腹が空いていれば作って食べる。簡単なものをさっと作る日もあるし、時間かけて作る日もある。 休みの日も同様に。 その休みの日。仕事ではない料理も楽しい。 大体のルーチンも決まっていて、朝9時前に野菜直売所へ行き、最初に平飼い卵を手

          職業は料理人。趣味は料理。

          食べ歩く

          浪人生活となって一番得られた事は…。時間。勝手に忙しくはしているものの、お店を営業している時とくらべれば少し余裕がある。 という事で例年に比べるとレストランに行く回数が増えた。 家族での食事はそれほど増えていないものの、友人、ご縁をいただいた知人、懇意にしていただいている方々との会食の機会が増え有意義な時間を過ごしている。 高級店と呼ばれるお店からややカジュアルなお店までジャンルを超えて様々。お誘いを受けて伺う場合が多いので名店ばかり。どのお店も看板となるカラーがあってとて

          おとぼけ家長

          私的な話し。 妻との二人暮らしの家長。 先日、クリーニング屋さんに長々と冬物を預けていたので取りに行くという用事があった。 生憎小雨がパラつく天候だったものの、期日も迫っていたので足早に向かう。道すがら小腹が空いていたのでラーメン屋さんに立ち寄る事にした。雨足が強くなる事を恐れて先にクリーニング屋さんに行くかを迷ったのだけれど、荷物があるのもなと思い先に食事を済ます事にした。 少し話しは飛んで…。 子供の頃から、お使いついでにジュース買ってきて良いと言われると、用事を忘

          思い出はあるが振り返らず

          先日、夕方に用事が済んだので軽く近所で食事をと散策した時のこと。 特段用事もなかったのだけれど、妻のリクエストで久しぶりに旧DiVinoの前を通った。 元大家さんからは私達が退去後すぐにビルも解体すると伺っていたので、一応気にはなっていたものの、遠目には解体された様子もなく。 前を通って初めて解体の案内に気が付いた。 妻はずいぶんと大げさに驚いていて、 私よりうんと寂しそうにするので戸惑った。 私自身はというとそうでもなく。 創業の地に思い入れがあるのは当然だけれど、今進

          思い出はあるが振り返らず

          季節と食材

          以前にも書いたことがあるのだが、 週末(現在は不定期)、千葉県いすみ市に通っている。 花見時期の雨模様から打って変わり、 連日の晴天も手伝って週ごと風景が変わってゆく。 水田には水が張られ、早いところでは田植えが始まっている。 木々には淡い緑の新芽が勢いよく芽生え、下草も天を目指してまんべんなく背を伸ばす。 近くの野菜直売所に並ぶ野菜も同様、賑やかに。 タケノコ、ウルイ、フキ、葉玉ねぎ、アスパラガスなど。アスパラガスはイタリア料理によく登場する野菜も、その他は概ね和の食

          転ばぬ先の杖

          季節は春へ。桜も散り始め、季節は移ろう。 移転先浪人の移転先はほぼ決まった。 今、全体の図面設計、厨房の設計に取り掛かっている最中。肝心の詳細に関しての公開は少し先に。 再オープンに関しては2024年の年始となる見込み。 ということで私の浪人生活はまだしばらく続く。 最近は腑抜けな生活をする間もなく、研修先での出番も増えて忙しい毎日を送っている。自分のお店とは違う緊張感や戸惑いにも慣れて、勝手に責任感まで持って頑張っています。(笑) さておき、まだオープンまで時間の猶予