見出し画像

ついに幻の貝紫染を体験。

こんにちは。

以前より見聞きしていた貝紫。

このnoteの始まりの記事も貝紫染めがきっかけでした。


ついに、夢にまで見た貝紫染を体験しました!

画像17

以前もお話に出てきたのですが、初めからお話させてもらいます。

東京の大島でパレ・ラメールという貝の博物館に行ったことがきっかけで、もともと美大では染色をしていたこともあり、貝の染料があるのではないか?と調べたことがきっかけでした。

ありました…貝の染物!

その後、MoMAのオンライン講座でポサワンコという織物を知り、ネットの情報などを通じて貝紫染の様子を知ることができました。

メキシコのポサワンコは、生きたままの貝で糸を染色しています。岩場まで行き、貝の分泌物を糸に付けて、貝はまた海に返すそう。自然の循環を大切にしていて、貝が弱っている時には染めるのをやめるそうです。

そのお話を伺って、めちゃくちゃ泣きました。人と生き物と平等に暮らしている、生き物から分けてもらっているという感覚が、尊く感じられました。



日本でも、貝紫染の歴史があるそうです。

伊勢の海人さんが貝紫染めでセーマン・ドーマン(星と格子)の文様をほっかぶり(頭に巻く布)に描いてお守りにしていたそうです。ほっかぶりに、文様がついてない海人さんはあの世の人だから気をつけるようにと、海の事故に合わないための目印にされていた迷信があるのだそう。

調べていくとアッキ貝科の内臓から染料が作られるそうで、メキシコの貝のように染料を噴出しない(量が極少ない)ので、貝を割って、内臓を頂いて、染料にします。

今ではアカニシ貝など大きな貝を使うそうですが、海人さんたちはイボニシを使って染色されていたそう。アカニシ貝は売れるので、小さなイボニシを使われていたのではないかと、お話を拝見しました。


貝紫の書籍をしらべてあがったのが、竹内淳子さん著の『紫―紫草から貝紫まで 』でした。とても丁寧でわかりやすく、とくに紫根(シコン)が取れる、紫草(ムラサキ)について詳しく調べていられて、大変頭が下がる気持ちでした。

その時一緒にお借りしていた、書籍『日本の色』。京都の細見美術館で、吉岡幸雄さんの「日本の色」の展示を拝見し、草木染めの色の美しさを目の当たりにしました。また、高崎市染料植物園に伺い、なんと、紫草を栽培されているのを見学させてもらい、感動しました!

(話が脱線、長くなってしまいすみません。)


この著書と一緒にお借りしていたのが、西山和恆さん著の『蘇った古代文明の色』でした。こちらは、借りたものの読めずに、今回もう一度お借りしました。

活字が苦手で、苦戦してましたが、貝紫染めたことで再チャレンジしようかと。これから、またこれを読み進めるのが目標です。

画像1


さて、本題にはいります。

以前より、気になっていた貝紫染め。

どうやって貝を入手しようか、まずは築地本願寺近くの魚屋さんにアカニシ貝が手に入るか聞いてみました。取れたら連絡するよ!と快く言ってくださって、から連絡なく…。(1年前だったかな)

これは、自ら行くしかないよね!これもいい機会だと思い、奮起して海へ繰り出しました。

画像2

来ました海〜!青い海、白い砂浜!

今は人が少ないのですが土日はやっぱり混むそうです。

幼い頃に、潮干狩りに家族で行った思い出はあるものの、そんなに得意ではなかったな。

まずは散策。

画像4

画像5

画像8

小さな貝発見!

アカニシは、岩場のあるところに張り付いていたり、藻の生えている箇所にいたりするそうなのですが…。見つからない…。


画像3

藻を探しに浅瀬の海へ。

藻がない…。

海でベテランのつなぎを着たおじさんに、「この辺でアカニシ貝とれますか〜?」とさりげなく世間話のように聞いてみました。

おじさん「んー。見かけないねー。」

わー。涙。

もういいやと、潮干狩りをしました。

画像6

潮が完全に引き潮になる前から来ていたので、1、2時間くらいいました。ひとりで来ると自分の命は自分で守らないといけないので、潮の時間なども調べたり。

潮が満ちてくる前、帰り際にもう一度、岩場まで戻りました。

画像7

わわわ!!!卵産んでる!

これ、後で気づくのですがイボニシなんです。最初に取ったやつ。

この海では、2cm以下の大きさの貝は海に返したり、持ち帰っていいアサリは2kまでというルールがあります。まだまだ小さな貝だけど2cmあるかな?

画像9

そして、真水で洗って持ち帰りました。海の近くなら良いんですけど、移動時間がかかるのが結構たいへん。

しかし、西山さんの著書を読んでみると、そんなこと言えなくなります。西山さんは友禅染めの染色家さんで、貝紫の着物を作られています。初めの頃は貝を運ぶのに車で往復12時間もかけられていたとか。本当に頭が下がる気持ちでいっぱいです。

家に持ち帰った貝。

(割らせていただくので、グロテスク注意です。)

画像10

画像11

ついに、この時が来ました!

夢にまで見た、貝紫染ー!!!

オレンジ色の中に、黒と黄色のスジがありますが、この黄色いスジが貝紫の染料。

うん少ない。けど、これ染めになるかな…。とか思いませんでした笑。

ただただ、新しい染料にワクワクが止まらない。点一つでも染まれば嬉しい!

画像12

初めは、内臓の色、黄色ですが、だんだんと緑色、赤っぽくなって、紫色になります。

染まる量は、貝、一粒で点がひとつ。

足りないので、水で薄めたり。

かすれた汚れのように見えるのは、直接貝の分泌物をこすりつけた痕跡です。ポサワンコのように、生きた貝からの分泌液を直接塗布する方法を知っていたので、試してみたら染まりました!

意図したカタチと、貝の口を使った自然のカタチ。それでも、貝が分泌液を出すか出さないか、予想が付かなくて、なかなか難しい。

全体を埋めるのに貝がいくついるのか考えると、途方もなく思えます…。

画像13

貝紫は、藍染と同じく、空気中に触れて染まります。堅牢度が高いので丈夫な染料なんですね〜。

しかしこの染料、欠点がありまして。

とにかく匂いがキツいんですね。

以前作ったドクダミ染料も量によって、鼻を突く匂いなんですが。染料を煮出してしまえば、匂いも落ち着くんです。

貝紫は、染めている最中もずっと強い匂いが続きますので、注意してやらないと、匂いにやられてクラクラしてきます。

また、西山さんの著書にあったのですが。不純物を取り除いて匂いを抑えると記載してありました。方法があるそうなんですね…。まだ読み進めていないので、その方法が書いてあるのか分かりません。

なので、本も読み進めていきたいとおもいます。


やっと、できました!

画像14

星座のようでかわいいです。

画像16

ハンカチで遊んでみました。巻貝みたいなカタチに笑。


今回は、本当に私にとって、いい体験になりました!

次こそは!アカニシ取りに行きたいな!

ここまでのお話に、お付き合いありがとうございました。


そして、染色のモチーフについて、以前、「次回書きます」とお話させてもらいましたが。

自分の中でモチーフについての説明をもう少し練り直す必要があると思いなおしました。なので、もうしばらくお待ちくださいm(_ _)m

今後の目標のいくつかあるうちの一つが、ポートフォリオ制作なので。その頃にはモチーフの説明も付けていけたらいいな、と思います。


また来るね〜海〜。

画像16




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?