Fujimori Takahito

小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話『Origin』 の小説版【…

Fujimori Takahito

小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話『Origin』 の小説版【https://m.youtube.com/watch?v=xLdmOC5H3pQ

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オンライン家庭教師

今年は自分の研究も音楽ももっと規模を大きくしていきたいので,資金集めのために4年ぶりにオンライン家庭教師の生徒さんを募集します!来年には日本にいないと思うので今年限りです!このノートも今年のうちには消すので、しばしのお目汚しをお許しください! 概要: 僕が大学受かったと2019年にすぐ自分で立ち上げたオンライン家庭教師を今年一年限定で復活させます!どんな感じかざっくり説明すると,定期的にセッション(ビデオ通話)して,「全体像, 今の時期やるべきこととその独学法と教材」など

    • 小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 最終話 What our future holds

      このオンボロアパートの天井は低い。扉の縁は特に低くて、気を抜いてゴツンとぶつかってしまうことが今までに何度もあった。お風呂もその例外ではない。「小人の家か」とツッコミを入れたくなるようなお風呂はタイル張りで、とても小さな湯船の頭上からは、謎の冷たい水滴がポツンポツンと落ちてくる。きっと上の階の風呂から水漏れしているんだろう。冷えたタイル、謎の水滴、小さな浴槽の三つが相まって、湯船に入ったほうがむしろ身体が冷えてしまう。 おまけに窓を閉めてても突き抜けてくる電車の轟音は、風呂

      • 小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第16話 意味の果て

        意味は備わっているものでなく、与えるものだ。見出すものだ。 もし現役で落ちたあの時の悔しさに意味を持たせていなければ、もし悔しくて一人で泣いたあの夜に意味を持たせていなければ、もし励ましてくれたあの笑顔に、嗤われたあの屈辱に、灼熱の夏に息を切らしたことに、凍てつく冬に駆けたことに、意味を持たせていなければ、きっと今はない。 意味の連続が、僕をここに連れてきた。 そうした果てに今はある。 そして今もそうだ。僕は午前の試験に意味を持たせる。この休憩時間に意味を見出す。

        • 小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第15話 力の結晶

          東からオレンジ色の陽が昇る。 冬空が次第に色づいて、世界を青く包み込んでゆく。 鼻息すらも白く帯を引く。 桜舞うあの日から歩き出した道は、 真紅に燃え盛る煉獄に繋がっていた。 僕がブルーな時には、 赤の他人が僕を助けてくれた。 僕が臆病になっている時、 友達との薔薇色の青春が、 家族の海のように大きな愛が、 僕を支えた。 山を超えて、 荒野に彷徨い、 それでも空を見上げて、 僕はここまで来た。 … 自分で修理した自転車で毎日下り降りた坂をくだり

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        • 小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 最終話 What our future holds

        • 小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第16話 意味の果て

        • 小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第15話 力の結晶

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第14話 恐れを砕く者と変化を望む者

          「大丈夫、今日は」 … 「…1月の24日 今は、手術が終わった後。 まだ数時間しか経ってない」 … … …よかった…まだ1月か… 「目が覚めたらもう1週間前でしたー!!」 みたいな浦島太郎状態はごめんだったので、ひとまず安心。 1/24 ちょうど、二次試験まで一ヶ月だ。こうして考えると、まだ余裕がありそうに思える。しかし朦朧とする意識のなか、手術前のことを少しずつ思い出す。 …。 そうだ。僕は結局、数学に関しても化学に関してもまだ3割取れるかどう

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第14話 恐れを砕く者と変化を望む者

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第13話 In a nap

          …ッピ… ッピ…ッピ…ッピ… 周期的に電子音が聞こえる。 ん… 何だろうか。 すごく体が重い。 外から光がさしている。 今は、昼…? いや夕方…? ここがどこだか、思い出せない。思い出せたとして、ここにいる理由がわからない。 ただ、モーレツに喉が痛い。頭もひび割れそうなくらい痛い。 …すごく体がだるい。何だろうかこの感覚。小さい時にインフルエンザにかかった時のような感覚。天井がぐるぐる回っていて、意識がまとまらないことだけ、まとまっていない意識でもわかる

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第13話 In a nap

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第12話 二日目

          スーーーーーー… 強張る体をリラックスさせるために深く深呼吸を試みる。 … ッゲッホゲホゲホッ! おはよう、 センター試験2日目 今になって少し説明を挟みたいと思う。センター試験の形式は単純明快、4〜択のマークを制限時間内に塗りつぶして提出する。テキトーに塗りつぶしてもいいけど、ちゃんと答えを導いてからのほうが自分の得点ためだろう。その結果を自分の志望大学に送りつけて、「私はこのレベルの基礎力があるので、あんたの大学うけるわよ」と申告する。大学側は、そこで足切

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第12話 二日目

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第11話 狼煙

          あれから一年が経った。 信じられない。 もう何十年と前のことのようだ。 バスから降りて歩を進める。道には、どこぞの塾から来た応援だろうか、オトナたちがカイロを配っている。僕もしれっと頂戴する。歩道橋を渡り、正面玄関にたつ。ふうと一息。やっぱり緊張する。 これは運命なのだろうか、 センター試験の会場は、神戸大学・鶴甲キャンパス ー去年の二次試験の会場だ。 ーフラッシュバックが起こる。 ここでパニックになった記憶、 ここで自分がただのワガママなガキであることを思

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第11話 狼煙

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第10話 W-A-R-C-R-Y

          キュコキュコ ペダルを踏むたびに、そんな音が鳴る。 ギヤを六段目にセットすると、周期的にチェーンが車体のどこかに当たる危なっかしい音がする。怖気付いてギヤを5段目に戻す。 この自転車には、この一年で無茶をさせすぎたと思う。 この前、自転車屋さんに油をさしてもらった時にこう言われた。 「どんな使い方したら一年でここまで壊せるの」 チェーンはボロボロ。 ブレーキだって擦り切れている。 いつ走行中に何かのはずみでパーツが弾けても仕方がないと。 「修理パーツはこれこれの

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第10話 W-A-R-C-R-Y

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第9話 かくてもあられけるよ

          ん… 夢というのは誰もが経験する現象だろう。夢を見るのは脳が記憶を整理するからだとか、未来の脳波と共振するからとか、何かに憑かれるからとか、「科学的」なものからオカルト地味たものまでその理由は様々だ。別にそれについてどうこいうつもりはないのだけれど、夢はやっぱり神秘的で不思議だ。 特に夢について不思議なのは、夢のなかだと非常識なことでも当たり前に思えてしまうことだ。「あれ!?今まで、自転車を横に倒してその上に乗ったら、空中に浮かんだのに!浮かばへん!」「あれ!?急にジャン

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第9話 かくてもあられけるよ

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第8話 Whole to Detail

          12月 いよいよ吐息が白い季節になった。 白い吐息が出るのが楽しくて何度も息を吐くと、次第に温度差がなくなってただの吐息に戻る。口を閉じて、もぐもぐと息を温めたらもう一度白い息を出す。 今年の冬は一層寒い。六甲山脈を控えたこの小さな街では、雪が降らない。六甲の鋭鋒が雪雲をせきとめてしまうからだ。たとえ、降ったとしても積もりはしない粉雪だ。その代わりに、「六甲おろし」と呼ばれる冷たい風が吹きつける。雪雲で冷やされた風だけが、山から海のほうに向かって吹き降りてくる。 芦屋

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第8話 Whole to Detail

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第7話 ツァラトゥストラはかく語りき

          駅前の百貨店の灯りが落ちて、あたりはすっかり活気を失った。飲み会帰りのサラリーマンたちが千鳥足で横断歩道を渡っている。 僕はそんな彼らを横目に、信号を無視して駅の通りを滑り降りる。事故らない程度にスピードを殺しつつ、ある程度の勢いでそのまま駐輪区画に入る。 2時間まで無料と書いてある駐輪機にはあえて留めない。これは僕のささやかな反抗心だ。 違法駐輪を誰かに注意されないかキョロキョロとあたりを見回して、そそくさと店内へ入る。 「いらっしゃいませ。当店10時閉店ですがよろ

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第7話 ツァラトゥストラはかく語りき

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第6話 THE FOOL

          昼間っから自習室に高校生が来ることはなくなった。 それで分かった、  夏が終わった。 … お時間の区別なんてのはとうの昔になくなって、四季なんて考えることを忘れていたけれど、「夏が終わった」という響きはどうしてこんなにも哀愁を帯びているのだろうか。 「春が終わった」「秋が終わった」「冬が終わった」 「だからなんだ」という感じだ。「冬が終わった」なんて響きはむしろ、万々歳だ。「男子三日会わざれば、刮目して見よ」よろしく、一夏を超えた僕にも何かしらの変化が起こってい

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第6話 THE FOOL

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第5話 僕が始めた物語

          ーやめたければやめればいい。 … 8月 ついに引っ越しが目前に迫った。 家には、段ボールやプチプチが運び込まれて、罪悪感が重くのしかかる。 … 溜息をつきながら、クローゼットから荷物を引き出して、捨てるものを決める。 埃がすごい。クリスマスツリーの電飾が絡まっているのだろうか、クローゼットが全開しない。半ば引きずりだすようだ。 クローゼットからは懐かしいものが次々と出てくる。おままごとセット、自作ゴムパチンコに、プラモデル、トミカ、映画館のギフトコーナーで買っ

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第5話 僕が始めた物語

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第4話 決断

          セミは外国にはいるのだろうか。 いたとして、それは日本のセミたちと同じなのだろうか。 姿かたち、鳴き声、習性、どこまで同じなのだろうか。 もしセミが一年中鳴いている国の人には、ただの害虫だろうか。 「Oh!コレハ、オジャマなムシね!」 もしセミが一年中いない国の人には、不思議な生き物だろうか。 「Oh!コレハ、おジャパンのムシね!」 …。 幸いにも、日本には四季があり、彼らは夏に鳴く。 幸いにも、僕は日本人なので、彼らの声を聞くと夏を想起する。 セミの声が

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第4話 決断

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第3話 螺旋

          桜はもう散り始めている。けれど、まだまだ春の風だ。 僕は気持ちの良い風に吹かれて手放し運転をする。 「じゆうだああああ」 と声を出しながら走る。変人だ。 家から自転車で15分ほど走ったところにそれはある。家からほぼ道なりに進み、坂を傾斜のまま下り、長い線路沿いの道を進むと、見えてくる 。 市民センターだ。 地元っ子には市民センターというよりも、ルナホールと呼んだほうが耳馴染みが深いだろう。ルナホールというのは、市民センターの施設の一部で、そこでは毎年合唱コンクール

          小中不登校、ヤンキー高校から一年間の独学で阪大に受かった話 [Origin] 第3話 螺旋