2017年初夏からインプレス社刊行のデジタルカメラマガジンにて連載していた12回分の記事をまとめたマガジンに、その後似たようなテーマで書いた文章を追加してます。
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#雑記
便宜上付与された壊れたスイッチとしての「私」(あるいは「作家性」と「物語性」について)
1.幽霊として古い写真仲間が時々僕のことを「たっくさん」と呼んでくれます。とても古い名残。写真をオンラインで投稿し始めた頃、今とは違って本名は使っておらず、タック・バルキントンという名前でやっていました。ちょっと恥ずかしい過去なんですが、10年近く前に、ふとした思いつきで数秒で決めたその偽名で今でも呼ばれることがあるのは、とても不思議な気持ちです。
それはそれとして、その名前の由来について、まず
キルケゴールを読んで絶望したあの頃
人生でいくつかあった衝撃の一つは、他の人からみたらすごくささやかに見えるだろう、ある一冊の本との出会いです。それは僕にとってかなり決定的な出来事の一つでした。下の引用がその本の冒頭部分です。
人間は精神である。しかし、精神とは何であるか?精神とは自己である。しかし、自己とは何であるか?自己とは、ひとつの関係、その関係それ自身に関係する関係である。あるいは、その関係において、その関係がそれ自身に関
写真と文学 第一回「そこに風の歌は聴こえるだろうか?」
【承前】
次回からはこの前置きはなしでいきなり本文に入りますが、noteで初のマガジンを作ります。12回完結です。内容は、2017年から2018年まで、一年間、「デジタルカメラマガジン」で連載した「写真と文学」という記事の全文公開です。デジタルカメラマガジン編集部及び出版元インプレスさんの理解を得て、この12回分の連載記事を公開することが可能になりました。
この文章、僕にとっては多分、これから