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「文章の区切り」「文字のまとまり」を見つけづらい読字障がい ~はっきり区切って、くっきりまとめる!~

 こんにちは!たっきーです。

 読字障がいのお話をシリーズでしようと思い立って、これまで3つの記事を書きました。
 読字障がいの子ってどんな困難さを抱えていて、実際にどんな支援を必要としているのか、その障がいを抱えている長男坊を見てきた経験もあわせて、お伝えしてきました。

読めるけど読むのが大変な『読字障害』の子が抱える「本当のつらさ」

文字が見えづらくなる読字障がい子への「誰もに読みやすく」の意識

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 さて、今回は、読字障がいの子が「文章」を読むときに感じている難しさと、文章を読みやすくするための支援のお話です。

〇 読字障がいの子は、文章の区切り(文節)や文字のまとまり(単語)を見つけるのがとても苦手です。

〇 でも、文章にスペースやスラッシュなどで区切りを入れると、文節や単語を見つられます。
教科書や本を読むときに有効な方法です。

〇 また、文章の文字自体を拡大することでも、見つけられるようになります。
拡大コピーできるテスト用紙や配布プリントで有効な方法です。


「文章の区切り、文字のまとまり」で読んで理解する

 私たちが文章を読むとき、「文章の区切り=文節」、「文字のまとまり=単語」がはっきり示されていると、読みやすい文章、理解しやすい文章と感じます。

 そのため、文章の書き手は、文節がわかりやすいように「改行」や「句読点」と使い、文字のまとまりがわかりやすいように「漢字、熟語」を使って、読み手が理解しやすくなるように意識します。


 なぜ「区切り」や「まとまり」を示すと読みやすくなるのでしょうか。

 それは、私たちが文章を読むとき、ただ文章を読む」だけではなく、「内容を理解すること」も同時に行っていて、内容を正しく理解するために「文節や単語を見つける」ように読んでいるからです。



読字障がいの子は「区切り」や「まとまり」を見つけるのに苦労している

 読字障がいの子は、「文字を音に変える」ことを苦手にしているため、文章を読むときは、1文字1文字を拾い読むような「逐次読み」という読み方をすることがあります。

 また、文字を読むことができても、内容を理解しながら読むことを苦手にしている子もいます。

 この理由には、文章の中にある「区切り」や「まとまり」を正しくとらえることの難しさを抱えていることがあげられます。
 このことを「チャンキングの障がい」(chunking、大きなかたまりに切り分けること)と言います。

 チャンキングの障がいを抱えていると、文章の内容を理解するために何度も読み返す「2度読み、3度読み」が見られます。
 その結果、文章を読み始めてから理解するまでに時間がかかるため、それだけ「力」を使うことになります。


「区切り」や「まとまり」は大げさなくらいにはっきりと!

 私が小学生のころに使っていたノートの裏ページに、「区切り」や「まとまり」を変えると意味が変わる「言葉遊び」が書かれていました。

《例文》
 ここではきものをぬいでください。

 おそらく読んだことがある方は多いと思いますし、わざわざ説明するまでもなく、2つの読み方があります。

《読み方①》
 ここで、はきものをぬいでください。
 ここで履物を脱いでください。
《読み方②》
 ここでは、きものをぬいでください。
 ここでは着物を脱いでください。

 正しく伝えようと思えば、「読点」や「漢字、熟語」を使って「区切り」や「まとまり」を示せばいいよね、といった話です。


 しかし、読字障がい、チャンキングの障がいを抱えている子には、不十分な「区切り」や「まとまり」かもしれません。
 スムーズに伝えるためには、大げさなくらいはっきりと「区切り」や「まとまり」を示した方がよい子もいます。

《読み方①》
 ここで、はきものをぬいでください。
《読み方①改》
 ここで、 はきもの を ぬいで ください。
 ここで、/ はきもの / を / ぬいで / ください。

 この他にも、文字の大きさを変えたり、色を変えたりすることでも、「区切り」や「まとまり」を見つけやすくなります。


長男坊は「文字の大きさ」を変えて読みやすく

 小学校1年生の頃の長男坊は、「逐次読み」も「チャンキングの障がい」もありました。

 そんな中で、毎日の課題であった「音読」。
 音読をするときは、イスから半分落ちたように姿勢で読んだり、イライラして教科書をたたきつけたり、やる気も出せずにベットにもぐり込んだり。

 音読したとしても、1ページを読み終えるだけでもやっと。
 読字障がいのことを知らなかったときは、どうしてこんなにも読めないのだろうか、と疑問でした。
 どうやったら取り組んでくれてくれるのか、と頭を悩ます毎日でした。


文字を音に変えるのが苦手。
読んでもすんなり理解ができない。
わからないから読み直し。
読むのはつらいし、やっぱり分からない。

 こんな気持ちだっただろう長男坊。
 たくさんの方のアドバイスでこのことに気付かされてからは、「読みやすくする工夫」をいろいろと試しました。

 スラッシュや色分けは、逆に見づらくなってしまったようで、長男坊には合わない方法でした。
 それと、スラッシュも色分けも、親か先生が準備する必要があるのですが、準備が間に合わなかったり、他のことに追われて忘れることもあって...「継続性に難あり」でした。


 長男坊の読みやすさに効果があって、周囲も継続できたことは、文字を大きくすることでした。

 教科書の音読では、デジタル教科書を使いました。
 デジタル教科書は、パソコンやタブレットで使用できるアプリに保存されるため、使い始めも簡単でした。
 また、タブレット上で指先を動かすだけで文字のサイズを変更できるため、スラッシュや色分けよりも圧倒的に取り組みやすかったです。

 ほかにも、文字を大きくする取り組みとして、クラスのみんなにはA4サイズで配るプリントをA3サイズに拡大するようにしました。
 また、拡大プリントが難しいときは、デジタル写真を撮って、タブレットで拡大して見ることができるようにもしました。


 このような取り組みを続けて2年くらいしたところで、長男坊の言動に少しずつ変化が見られてきました。

「プリント、大きくしなくてもいいよ~」
「タブレット、持って行かなーい」

 年齢が進むにつれて「周囲と違うことをしたくない」と思い始めただけかもしれません。
 でも、クラスの子と同じように授業やテストを受けられるようになりました。
 きっと、2年ほど取り組んだ結果として、読む力がグッと伸び、長男坊の読みづらさも軽くなっていったんだと考えています。 


 前回記事からだいぶ間があいてしまいましたが、読字障がいの子が「文章」を読むときに感じている難しさと、文章を読みやすくするための支援のお話を書きました。

〇 読字障がいの子は、文章の区切り(文節)や文字のまとまり(単語)を見つけるのがとても苦手です。

〇 でも、文章にスペースやスラッシュなどで区切りを入れると、文節や単語を見つられます。
教科書や本を読むときに有効な方法です。

〇 また、文章の文字自体を拡大することでも、見つけられるようになります。
拡大コピーできるテスト用紙や配布プリントで有効な方法です。

〇 これら読みやすくする工夫を続けることで、少しずつ読みへの苦手意識を軽くすることができそうです。


 ここまで4回にわたって書いてきた「読字障がい」のお話。
 今回にて、いったん、お休みにします。

 1つのテーマを続けた方が書きやすいのかなと思って始めてみたのですが、ついつい深掘りしちゃって記事が進まなかったり、書き悩んでしまうこともあったりしまして...

 ということで、そのとき書きたいと思ったものを書くことにします!
 1つのテーマにまとめたくなったら、あとからマガジンにまとめたりもできますからね。
 気分あらたにして、次回の記事に向かおうと思います。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
 マイペースでフラフラと書いていますが、また読みにきてくださると大変うれしいです!

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