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読めるけど読むのが大変な『読字障害』~それを抱える子の「本当のつらさ」~

 こんにちは。たっきーです。

 今回から3回くらいのシリーズで、長男坊の「読む」に焦点をあてた記事を書いていこうと思います。シリーズの中では、長男坊の「読むこと」にどんな困難を抱えているのか、読み方にはどんな特徴があって、実際にどんな支援をして、どんな効果が得られたのか、など紹介していこうと思います。

 第1回目は、長男坊が抱える『読字障害』について、一般的な話と私たちが長男坊を通じて経験した話を交えて紹介します。


長男坊が抱える読み書き障害は『学習障害』の1つ

 長男坊が抱える『読み書き障害』とは、「読むこと」 や 「書くこと」を身につけることや、様々な場面で実際に使うことが困難な状態のことです。「読むこと」が困難であると、「書くこと」も困難となることが多いため、『読み書き障害』として呼ばれることが多いです。

 「読むこと」と「書くこと」の困難さをそれぞれ『読字障害』(または『ディスレクシア』)、『書字障害』(または『ディスグラフィア』)といいます。いずれも、発達障害の中の『学習障害』に位置づけられます。学習障害は、英語で " Learning Disability " といい、その頭文字をとって" LD "と略されることもあります。

 学習には、「読む、書く」以外にも、「聞く」、「話す」、「計算する」、「推論する」力が必要になります。これらのいずれかに困難さを抱える場合も『学習障害』となります。どういった能力に困難さを抱えているかは医療機関などで実施される知能検査(KABC-Ⅱなど)によって診断されます。


得意、不得意の範囲を超えた学習能力の困難さ

 知能検査では、同年齢の子と比較してどうなのか?、という視点で実施されます。学習障害を抱える子どもは、同年齢の子が身につけているであろう能力に比べ、とても低いレベルまでしか身についていないことが特徴になります。また、全ての学習に関する習得度が低いのではなく、いろんな能力の一部にだけ困難さを抱えていることが多いです。

 長男坊の場合は、計算や推論(いわゆる算数)は同年齢の子よりもできていました。しかし、読み書きの習得度はとても低く、同年齢の子にくらべて、2年ほど遅れているようなレベルでした。

 学習では、「理系科目はできるけど、文系科目は苦手」のように、誰しも得意科目や不得意科目があるかと思います。そういう意味で、学習障害を抱える子どもも、「算数は得意だけど、読み書きする国語が苦手な子」とみられがちです。しかし、学習障害を抱える子どもの学習の困難さは、一般的な得意、不得意の範囲を超えたものです。

 長男坊が『読字障害、読み書き障害』と診断されたのは1年生の終わりごろでした。そのあと、読み書きに関して特別な支援はしていきましたが、1年後、2年後に再度受けた検査でも、2年ほどの遅れは変わっていませんでした。長男坊の読んだり書いたりする力は、毎年成長が見られていても、「不得意の範囲を超えて困難である」ことには変わりなく、これが長男坊の特徴なのだと思います。


「頑張ればできる!」ように見えるからこそのつらさ

 『読字障害』を抱える子は、全く読めないわけではありません。1つの文章を読み終えるのに、障害のない子どもに比べて、ものすごく時間がかかるのが特徴です。長男坊の場合、ある文章を読むのに、同年齢の子の2倍くらいの時間がかかっている、と言われました。

 また、全く読む力が成長しないわけでもありません。読むトレーニングをする時間を設けることで、少しずつ文字を読めるようになっていきます。実際、以前の記事でも紹介した「音読指導アプリ」を使うことで、長男坊はひらがなを読むことができるようになりました。

 このように「全く読めないわけじゃない」、「全く読む力が成長しないわけではない」は、一見するとプラスな点に見えます。頑張れば読むことができる場面が増えますから。でも、読字障害を抱える子にとって、この「頑張ればできる!」だけをフォーカスした接し方をしてしまうと、精神的なつらさにつながりやすいといった側面もあります。

 『読字障害』を抱える子は「読むこと」そのものに相当な苦痛を感じていると思います。それも想像をはるかに超えるレベルで…。そんな苦痛を感じながら読み終えることができたとき、周囲からかけられる「頑張れば読めるじゃん!」という言葉。
 この声かけに、本人は喜びを感じている一方で、読むことに相当な苦痛を感じていたことは理解されていないんだという『孤独感』を感じ、精神的なストレスになる場合もあります。

 また、「頑張れば読める」姿を見ると、「読めるようになるから頑張ろう!」と純粋に応援したくなります。これは、多くの方の心に自然に生まれる感情だと思います。
 しかし、読字障害を抱える子にとって、読む練習すら簡単なチャレンジではありません。練習しようと決断することにも、ものすごい勇気を必要としています。そんな思いでいる子に対して、単に読めるようになることだけを期待することは大きな負担となる場合があります。


長男坊もつらい思いを・・・

 長男坊の学校では「音読練習」が毎日の課題でした。長男坊にとっては毎日が苦痛との戦いですし、実際にすごく嫌がっていました。それでも、頑張って読むことを先生や私たちから期待され、本当に苦しい毎日だったと思います。
 音読練習をするのが嫌で嫌でしょうがないときは、長男坊は机をたたいたり、教科書を投げたり、えんぴつを折ったりもしました。家の中のいろんなものが壊れました。これは、私たちが長男坊の苦しい気持ちを理解できていなかったために起きたことだと思います。長男坊が負担に感じていることも知らずに期待だけしてしまった結果だと思います。


 今回は、『読字障害』とは何か?について、一般的な話と私たちが長男坊を通じて経験した話を交えて紹介しました。この記事をとおして、読字障害を抱える子、障害を抱えているかもしれない子のことを知り、その子の心に隠されている " つらさ " に気づいてくれる方が増えたらうれしいです。

〇 読字障害とは、読めるには読めるけど、スラスラと読むことはできないことを特徴とする学習障害のことです。

〇 読字障害を抱える子は、同年齢の子の読みに関する能力にくらべ、習得が大きくおくれています。

〇 練習すれば上手に読めるようになりますが、同年齢の子に追いつくには大変な努力が必要です。

〇 スラスラと読めない以上に、読む大変さ、苦しさを理解されないことにストレスを感じることがあります。

 次回も引き続き、『読む、読字障害』に焦点をあてた記事を書きたいと思います。最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました!

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