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「セルフ終身雇用」とは何か〜電通が社員を個人事業主化する時代の働き方〜

本日Abema Primeに出演させていただき、電通の個人事業主化の制度「ライフシフトプラットフォーム」について議論しました。

YouTubeではこちらでご覧になれます。

その中で番組の最後に「セルフ終身雇用」という話をさせていただきました。「会社がくれていた終身雇用を自分でつくる働き方」。これについて解説します。(時間内に収まらず失礼しました・・・!)

◆もう会社は社員を「守れない」「セルフ終身雇用」が求められる時代背景◆

電通の「ライフシフトプラットフォーム」は主に労働法や個人事業主やフリーランスの働き方のデメリットの観点からも社会からの牽制は続くでしょう。しかし、これが電通に限らず「会社の本音」であることは、働く個人は知っておく必要があります。

つまり、株式会社は社員の生活や雇用を最優先にする存在ではない。さらには、コロナや世界経済に影響を受ける株式会社は、「雇用したくてもできない」と考えているのが本音です。つくれるのに終身雇用や定年退職を手放しているのではないのです。これらは経済が安定的に伸びていて、会社も10年20年と安定成長が見込める時代の産物です。

この長期安定成長が大前提ではなくなったいま、会社は個人を守る能力を失っています。

◆終身雇用は自分でつくれ〜「セルフ終身雇用」という働き方〜◆

この時代に個人ができることは自分で終身雇用のように働き先をつくる「セルフ終身雇用」です。具体的には、現役世代の40年ほどで経験する転職や副業(複業)によってできた複数の会社との関係を持ち続けるということです。

より具体的には「いつでも出戻りしてくださいよ」と言われる会社を、4社5社と持っておく。そうすれば、65歳で定年を迎えた後も働き口を持てる可能性が高まります。

もちろん、そのための方法論は大いに議論されるでしょう。大きな方向性は強みや「好きなことを仕事にする」ではなく、希少性が発揮できる場所を探す・競争が起きないポジションを見つけるになるはずです。

いずれにせよ、起業したいほどのビジョンはなく、フリーランスやノマドといった個人事業主一本の働き方では不安が大きすぎる私たち一般人が目指すべき働き方は「退職後も会社(とそこで出会ったひとたち)と一緒に働ける関係をつくる働き方」になります。

「会社は個人を使い潰す」でもなく、「個人は会社を踏み台にする」でもない新しい個人と組織の関係(Organization Relationship)を模索する時代になっています。

その関係とは蝶々結びのような関係です。退職や転職をきっかけに一度は解けた関係を、蝶々結びのように何度も結び直す。そんな「個人と会社が何度も出会い直す」関係がスタンダードになるのではと考えています。

◆働き方は「始め方」以上に「終わり方」を議論する時代◆

いま、個人の働き方やHR界隈では就職や転職、副業(複業)や兼業といった「始め方」のサービスや議論が盛んです。でも、実はその裏には「終わり方」である退職のあり方とそれに付随する個人と組織の関係(Organization Relationship)も議論する必要があります。

個人は退職をいかに自分のキャリアにつなげて「セルフ終身雇用」を実現するか。会社はいかに採用する前の段階から「どんな退職が最高か」を求職者と同意しておくか。

そんな退職でつながる個人と組織の関係(Organization Relationship)について議論が生まれればと思います。

私はこの退職を学問化する「退職学」、円満退職を超える「最高の会社の辞め方」チームを運営しています。何かコンテンツやサービスを一緒に作ったり、議論してくださる方がいればお気軽にご連絡ください。
s.sano@writing-partner.net
https://taishokugaku.com/  


出演者の皆様、長野からのzoomにも関わらず温かく議論してくださり誠にありがとうございました!!

【本日の出演者様】
MC:西村博之様
進行:平石直之様 テレビ朝日アナウンサー
進行アシスタント:佐々木一真様 テレビ朝日アナウンサー
コメンテーター:ハヤカワ五味様/安部敏樹様/井上裕介様

ご覧いただきありがとうございます。また気軽に遊びに来ていただき、時には声を聴かせていただけると嬉しいです。 いただいたサポートは、「最高の会社の辞め方」プロジェクトの研究費用に使わせていただきます。 円満退職をアップデートし、退職をデザインする文化をつくります。