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ハリー・ポッターと炎のベンチャー part5 配属
「もし話を進めたいなら、最低でも半分だな。半分にまで減らせ。」
アルビノのように白い肌と、鼻の欠落した顔、オールドファッションな魔法使いの着る黒いローブが対峙する者を威圧する。
テーブルを挟んでこの異形の男に相対する者は、白いTシャツにジーンズを身にまとっている。しかしこの場の雰囲気は、彼の服装のように軽快なものでもないようだ。
ここはとあるM&A仲介企業の一室。この企業は先端魔法技術を活用
ハリー・ポッターと炎のベンチャー part4
「では、説明したいと思います。君ら二人のうちどちらかがクイズを出題する教師役、どちらかが回答する生徒役になります。生徒役はあの素敵なイスに座ってもらいます。」
ディメンターが例の電気イスを指差す。ひじ掛けや脚は古い高級家具を思わせる造形だが、蔦のように絡まった電線と、ひじ掛けに取り付けられた電極パッドがグロテスクなアクセントを添えている。
この先は何となく説明を受けなくても察することができた。
ハリー・ポッターと炎のベンチャー part3
「無理というのは、嘘吐きの言葉なんです。」
ディメンターが優しい笑みを浮かべながら、研修生を諭す。欲望を寸前で保っていた先ほどの様子とは打って変わって、極めて丁寧な物腰だ。
いや、静かに狂っているのかもしれない。声は冷静だが、そのトーンはどこか獲物を前にした高揚を秘めている。
激詰めされている女性研修者は目に苦痛の涙を浮かべながら俯いている。
今行われているのは社訓の暗記だ。といっても、ペ
ハリー・ポッターと炎のベンチャー part2
(世の中には、4種類の魔法使いがいるフォイ...
ひとつめは、労働者の魔法使い。二つ目は、自営業の魔法使い。三つめは、ビジネスオーナーの魔法使い。そして、四つ目は投資家マルフォイだフォイ。
世の中の大半は一つ目か二つ目だフォイ。でも、富の分配は残りの...)
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早朝
目覚まし魔法が鳴り響く。今朝は絶対に遅刻してはならない研修初日という意識もあり、5分刻みで音が鳴るようにセッティ
ハリー・ポッターと炎のベンチャー part1
僕はハリー。ホグワーツ魔法魔術学校を卒業し、今日から晴れて社会人だ。
「アット・ホームな、環境です!」「幹部候補として圧倒的に成長できます!」「未経験マグルでも大歓迎!」っていう内定先の謳い文句に、期待と不安が入り交じる。
正直、ホグ卒で入る職場としてはスタンダードじゃない。でも、魔法省の総合職とかホグワーツの教職ってのはもう時代じゃないのも確か。ベンチャーで経験を積んで、フリーランスの魔法使