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本棚と思い出。(441文字)


             
本がぎっしり詰まった壁一面の棚。
私にとって、【頭でっかち】な両親の象徴だった。
私は本なんか読まない。本を読むより、外の世界を自由に見たい。
圧迫感ある本棚に対する反抗かのように
思春期はとくに外で遊びまわった。
留学や、一人旅に行った。

外の世界にでてみると、私が開くのは本だった。

困ったとき、寂しいとき、楽しいとき、楽しみたいとき、恋をしたとき、したいとき、自由になりたいとき。

私も本が必要な人だった。


実家に帰り本棚を眺める。

「な~んだ!」
本棚には頭が硬い人が読む本なんて
これっぽっちもなかった。
漫画や絵本もかなりある。

一緒に寝ていた小さなころから、
母は毎晩難しい顔をし、遅くまで電気スタンドのもとで本を読んでいた。
本を開くとき、母はいつも自由だったのかもしれない。

両親は上海にもひょいっと来てくれた。
朝から散歩にでて屋台で朝食をかい、
市場で買った野菜で料理をつくり、
現地の人と身振り手振りでコミュニケーションをとった。


実家にはいつでも自由が詰まった本棚がある。

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