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11年ぶり夫婦の寝室。(827文字)


寝返りをうったのか
暗闇で夫の顔が横にあった。
「ぎょっ」
すっかり目が覚める
この11年、横にいたのは息子
まだ男性になりきっていない
つるんとした息子。

二度目の上海生活と共にできた、
息子の一人部屋
初日から息子は一人でぐっすり。
私の方が慣れない。
さみしい。

スタートは、
夫と私の夫婦二人。
しあわせ家族、なかよし親子も全て
夫がいなきゃ始まっていない。

けれど
先日の夫とのひさしぶりデートも
自分だけがぎこちなかった。
二人だけ、という非日常空間に
ドギマギ。



結婚14年目。
夫とは兄弟のようで親子のようで
親友であり、仲間。
似ているところも
真逆のところもある。

約2年間、
年に1、2度あう単身赴任生活では、
喧嘩にもならなかった。
いいところだけをみて、みせて生活することができた。
でも今は違う。


ほんの些細なことに腹がたつこともあるし、
がっかりも、やきもきすることもある。

そして圧倒的幸せと、愛、力をくれる存在。
甘えあって
許し合って
認め合って
励まし合える。



一緒に生活をともにし、生きている。

仲裁のため、息子が書いてくれたイラスト。絶対的中立を保つ素晴らしさ。子は鎹。



先に眠ろうと
寝室で目を閉じていると、そーっと夫が入ってきた

「どうしたの?」
「ごめん、タオルを取ろうと思って」

寝室のクローゼットに用があったらしい。

「そうなんや、おやすみ」
「おやすみ~」

白いタオルを手に出て行った。


久しぶりに暮らす上海の空は毎日、嘘みたいにキレイ。


翌日、リビングには乾いたタオル数枚と、
無造作に放りだされた白いタオル。
「タオル、いっぱいあったやん・・・」

問いてみると、
笑いながら顔を真っ赤にして照れる夫。

褒めてほしいときは
得意のけん玉をもくもくと始めるし、
笑ってほしくて、
模型にポーズをこっそり取らせたりもする。
満面の笑みで仕事から帰宅する顔も、しあわせな子供の様。


自分の子のように愛おしくも、
まだまだ知らないところがたくさんある人。


息子がいつか巣立ったとしても
夫とはずっと一緒。
いつまでもなかよくいたい。



いただいたご厚意は、今後の執筆の原動力にさせていただきます。 これからも楽しんでいただける記事を執筆できるよう 精進していきます。 今後とも応援宜しくお願い申し上げます。