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いよいよ明日、夫が上海へ。(1195文字)
TVのチャンネル権が占領できなくてもいい。
1つしかないトイレにゆっくり入れなくてもいい。
集中してPC作業している途中にしゃべりかけられてもいい。
洗面所やトイレを使う時間がかぶっても、洗い物や洗濯物が増えてもいい。
一人ゆっくりリビングでお茶をのめなくてもいい。
予定通りに事がすすまなくても、
予定外のことだらけでもいい。
自分とは已己巳己(いこみき)のようにそっくりで、
不可解でいて、分かりやすい人。
そんな夫が明日大阪を後にし上海へ発つ。
追いかけられる恋愛や、むかいあい見つめあうことは苦手。
べたでわかりやすい愛情表現は、するのもされるのも苦手。
歯の浮くような言葉には軽くアレルギー反応がでそうになるし、
壁ドンや顎クイッなんてまっぴらごめん。
頭ポンポンなんてされた日には一気に体温急低下。
そんな自分におもいがけずぴったりの相手が現れたのは、ちょうど13年前のこの季節。
それから13年。
概況の変化がわりと多めな私とは違い、基本的に夫はかわらない。
わたしの詳細を覚えられないのは、わたしに興味がないからではなくて、
「すきだったら、詳細はどうでもいいから」
わたしの動向に興味がなさそうなのは、
「自分を生きるのにいつも精一杯だから」
これは、13年間かわらず体現し続ける彼からまなんだこと。
13年前、
「好き」の気持ちなんてさ、ピークを境に色あせるしかないんやろう。
どこかそんな冷めたイメージしかなかったわたしが聞いて驚くだろうな。
あのさ、実はね・・・・
「好き」なんかをもっと超えちゃう気持ちがたくさんあったんだよね~。
煩わしい。面倒くさい。
でも愛おしい。
可愛い。
安心。
信頼。
そして好きがもっと大きくなった、「だいすき」
死ぬわけじゃないし、金輪際の別れになるわけでもないんだから。
そうやって自分に言い聞かせ、カウントダウンがはじまってからずっと明るく元気に努めていたつもり。
そしたらね、不意打ちは反則ですよね。
パッキング中に一息つく夫が手を止めて、笑顔で肩にやさしく手を回してきた。
だめよ。
泣かせないでよ。
見つめないけど、なぜか見ているし、
聞かないけど、いつの間にか知っている。
案外ポイントを押さえていて、肝心なところは外さない。
そんな不思議な人。
明日夫は上海に旅立つことになっていますが、予定はあくまでも予定。
どうなるかはまだ予測不可能。
想定外や不慮のことは日常茶飯事ということもまた、彼との出会いで知ったこと。
TVのチャンネル権が占領できなくてもいい。
1つしかないトイレにゆっくり入れなくてもいい。
集中してPC作業している途中にしゃべりかけられてもいい。
洗面所やトイレを使う時間がかぶっても、洗い物や洗濯物が増えてもいい。
一人ゆっくりリビングでお茶をのめなくてもいい。
予定通りに事がすすまなくても、
予定外のことだらけでもいい。
ほんまにいいの?
いやごめん。期間限定ならいいけど、ずっとはいやだな。
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