95歳の祖母から学ぶ、長寿の秘訣。(1391文字)
祖父94、祖母95。父方の祖父母は未だ健在だ。
生まれ育った島根から、子どもたちを頼り還暦を過ぎてから上京。
所縁はあれど、歳をとってからの見知らぬ土地。
ご近所さんも、言葉も、生活様式も、何から何まで勝手が違う。
そうとうなストレスだっただろうけれど、二人でともにここまで長生きしてこられた。
そんな二人に共通する長生きの秘訣を考える。
変化を面白がる
時代や環境、人や自分、変化だらけの毎日を「あら~」といいながら笑う。
素直で正直
嬉しければ喜び、寂しければさみしがり、おかしければ笑い、怒ることがあれば怒る。
くよくよしない
くよくよ気弱な二人を見たことがない。いつもどこかであきらめているし、腹をくくっている。
あ~ら~、あ~あんた
まぁ~ きてくれて ありがと~
元気だったかね~
認知症症状もときどきはあるものの、会話は普通にできる。
記憶と夢、誰かと誰かの情報が錯綜したりするけれど、そりゃそうさ。
脳も95年使っていれば疲れがくるのも当然。
95年も同じ脳で、からだで生きているんだもの。
37歳だって、9歳だって、神経衰弱なんて何度めくっても覚えない。
揃わないし、減っていかない。
昨日食べたものさえも、翌日になれば2人そろって覚えていない。
祖母の初めてのデイサービス通い。
「知らない人だらけで、気を遣う」そう愚痴をこぼす。
疲れるったらないわ。
家に居れば好きときに寝て食べて、テレビを見られるのにね。
まぁお風呂とごはんはあるけどね。
わりとメリットもそれなりに享受できているようだ。
デイサービスのある日もない日も、
「呆けないように」と新聞を毎日読み、「それくらいは」と布団の上げ下ろし。
食事の支度もまだときどきはやっているよう。
「あらあんたに子どもがいたかね?」
「うん、小学4年生になったよ」
「そんなに大きくなったかね~」
何度目かのやりとりをしながら、祖母をマッサージ。
一年中だしっぱなしの炬燵をどける。
おばあちゃん臭いかもしれんよ~
臭いのに、悪いわ~
汗も油も分泌がすくなく、くさいはずがない身体。
ゆっくり触らせてもらうと、感動すら覚える。
95年も赤ちゃんからよくぞここまで。
目、子宮、甲状腺、
そして大腸にできたおっきなガン腫瘍を見た衝撃は今も忘れない。
第二次世界大戦も幾度となくやってきた震災も、コロナも、そんな全てをくぐりぬけ、今こうして生きている。
アンパンマンみたいにパーツを取り換えることなく、寿命まで同じからだで命を全うするんだもの。すごいな~
みんなに迷惑かけんようにしたいわ。
つぶやく祖母。
迷惑どころかみんな勇気と元気をいただいている。
アンパンマンの勇気リンリン。
小学生のころの記憶。
おばあちゃんと一緒にお風呂にはいっていたとき、なぜか私は「喉が渇いた~!」と一緒につかりながら浴槽のお湯を飲んだ。
おばあちゃんは今までにみたことのない取り乱し方をし、怒った。
「あんた そんな汚いもん のんじゃいけん!!!」
そりゃ汚い。
でも笑いながら、また飲んだ。
今思えばいつも変わらないおばあちゃんの違う姿を見て見たかったんだと思う。
そしておばあちゃんは汚くない、ということを見せたかったんだと思う。
私は怒られたけれど、満足だった。
来月10歳になる息子に聞く。
「どう、10年生きてきた感想は?」
「ん~ ぼくはどんどん進化しているなぁ~」
人間は生きている限り進化し続けるのかもしれないな。
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