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【煮物に飽きたあなたに】たけのこと蒸し鶏の柚子胡椒和え×「鈴鹿川 吟醸」~日本酒ペアリング研究会 報告書No.7~

※「日本酒ペアリング研究会」は、日本ソムリエ協会が認定する日本酒・焼酎のソムリエ資格「SAKE DIPLOMA」を持つ筆者が、ご家庭でもできる料理と日本酒の合わせ方を提案する企画です( ˘ω˘ )。
ついでに日本酒は三重の地酒を中心に取り上げ、料理で使う食材はほとんど三重の地物食材です。料理のレシピも詳しく解説していますので、ぜひお読みください( ˘ω˘ )。


 

〇はじめに

 こんばんは( ˘ω˘ )。
 今回は日本酒ペアリング研究会の第7回目でございます。

 春も本番になりまして、そうなると食べたくなるのがやはり「たけのこ」。ということで、今回の料理は「たけのこと蒸し鶏の柚子胡椒和え」の作り方をご紹介します。久しぶりにお手軽なレシピです( ˘ω˘ )。

たけのこと蒸し鶏の柚子胡椒和え×「鈴鹿川 吟醸」

 このレシピは、煮物やたけのこご飯に飽きたらぜひやってみていただきたいです。とはいえ、たけのこのなかでも「モウソウチク」はそろそろ後半戦にはいるかもってとこですけどね…。ほんとはこの記事は先々週ぐらいに出したかったんです…。体調不良やら新入社員研修の資料作りやらが重なりまして…(笑)。

 それはいいとして、お酒のほうは「鈴鹿川 吟醸」を選びました。久しぶりに鈴鹿市の清水清三郎商店さんのお酒ですね。

 それではさっそくやっていきましょ~( ˘ω˘ )。


◯材料と作り方

◇材料

たけのこ     自分で茹でるなら1本+その姫皮。水煮なら2本分。
鶏むね肉     200gぐらいのを1パック。
料理用の清酒   大さじ2ぐらい。
塩        少量
ごま油      目安は大さじ3
柚子胡椒     好きな量。目安は大さじ2ぐらい。

 ごま油はあまり香りが強くないものがおすすめです。柚子胡椒は好きな量いれてもらったらいいんですが、柚子胡椒自体がかなり塩辛いので入れすぎには注意しましょう。

 また、せっかくなのでおすすめの鶏肉をご紹介。三重県の独自品種「伊勢赤どり」です!!!

この鶏は臭みや脂っぽさがなく、やわらかくて旨味がしっかりあって美味しいんですよ。地鶏というより、すごく丁寧に育てられたブロイラーってかんじらしいです。
詳しいことは桑名のお肉屋さん「鳥文」さんのページをご覧ください


 「伊勢赤どり」は、三重県内なら大きめのイオンやマックスバリュで売ってるはずです!鈴鹿だと、イオンモール鈴鹿とそよら白子、マックスバリュの鈴鹿店・鈴鹿中央店・鈴鹿住吉店では売ってるのを確認しております( ˘ω˘ )。ぜひお試しください~。

 そして、「姫皮ってなに?」と思った方もいるかもしれません。姫皮というのは、たけのこの皮のなかでも内側の方にある黄色くて柔らかい皮のことです。

 たけのこを茹でて身を取り外して…

 皮の部分をとり外したら、何重にも重なっている皮のなかでも、内側のほうは黄色く柔らかいです。

 その食べられる部分だけ取ります。これが姫皮。

 これ、特に和え物にはぴったりで美味しい部分なんですよ。もし今まで捨ててたのなら、かなりもったいないです。ぜひ使っていきましょう。

 それでは、続いて作り方です( ˘ω˘ )。

◇作り方

1.たけのこを茹でる。
 僕はいつも「白ごはん.com」で紹介されている茹で方をしてます。ぜひ参考にしてください。

 ただ、サイズや量にもよりますが、食感を残したいので茹で時間は50分にして、あとは完全に冷めるまで放置するってやり方でやってますね。いつも直売場で買ってるので、鮮度がいいからというのもあるかもしれませんが(ごくまれに米ぬかで茹でる必要のない朝どれものが手に入るレベル)、問題なくアクは抜けてます。しかし、たけのこのアクは収穫してから時間がたつほど強くなるので、他のとこで買ったたけのこで同じようにアクが抜ける保証はできません。

 そしてもちろん、面倒なら水煮パックでOKです。たけのこを茹でるのは時間がかかりますし、なにより米ぬかで茹でるとゆで汁の処理が面倒ですからね…。ただ、食感や香り、そして頑張ったぶん美味しく感じられる補正は、自分で茹でたほうがより良いです。あと、水煮には姫皮がないです。これは重要。

2.蒸し鶏を作る。
➀鶏むね肉の余分な脂や皮を取り除く。

 端っこや皮の下についている白い塊が余分な脂です。臭みの原因になるので取り除くことをおすすめしますが、気にならなければやらなくてもよいです。

皮はパリパリになるまで焼いて食べましょう。旨い。

鶏皮。

➁薄く塩を振って10分ほど置く。
 余分な水分を抜いて味を凝縮させるイメージです。こちらも臭みのもとになりますしね。ただ、ここで塩をかけすぎると、柚子胡椒を入れた時にさらに塩辛くなるので注意しましょう。

 また、肉を常温に戻して火が均一に入るようにするという意味もあります。


③鶏むね肉から出た水分を拭きとって耐熱皿に乗せ、料理用の清酒大さじ2をかけてラップをする。
 このあと電子レンジでチンするんですが、鶏肉だけでやると鶏肉の水分が抜けてパサついてしまいます。それを防止するために、料理用清酒を入れて酒蒸しのような形にします。ついでに清酒がもつ旨味や風味もプラスします。



④電子レンジでしっかり火が通るまで加熱する。
 目安は4分半~5分ぐらい。しっかり全体の色が変わって、中まで火が通っているか確認しましょう。ただ、やりすぎると硬くなります。

 また、皿に残る汁は捨てないでください。鶏と酒の旨味がつまったスープですので、あとで和えるときに使います。

赤いところがないか必ずチェック。
割って確認。


⑤じゅうぶん冷ましたのち、ほぐして完成。
 もちろん、スライスしてそのまま蒸し鶏として食べてもOKです。


3.たけのこと姫皮を食べやすい大きさに切る。
 たけのこは上の部分と下の部分で硬さが違うので、下の写真の右側のように分けて切っていくとよいです。

 上のほうは柔らかいので、そのまま縦にスライスするとよいでしょう。あんまり小さくしすぎると存在感がなくなります。

たけのこ上部

下のほうはやや硬いので、繊維を断つようにいちょう切りにするとよいでしょう。硬いのが好きなら繊維に沿うように、縦に細く切ってください。

姫皮はざく切りでいいです。


4.フライパンか鍋ににたけのことほぐした蒸し鶏、蒸し鶏を作ったときに皿に残っていた汁をいれて、汁気が飛ぶまで加熱する。
 あんまりやりすぎるとパサつくので注意。全体があったまるぐらいに加熱したら、汁気は飛ぶかと思います。


5.火を止めて、ごま油と柚子胡椒を和える。
 ごま油は加熱すると香りが立ちますし、柚子胡椒は逆に香りが飛びます。それを逆手にとって、火を止めることによって、ごま油の香りを抑えつつ柚子胡椒の香りを活かすイメージです。

 ごま油と柚子胡椒は先に混ぜておくと和えやすいです。


6.盛り付けて完成
 お好みで刻みねぎを散らすと、より見栄えが良いです。


◯今回のお酒とペアリング考察 

 今回は、「鈴鹿川 吟醸」を合わせていきます。

<蔵元情報>
清水清三郎商店(三重県 鈴鹿市)
公式ホームページ


◇お酒の基本情報とコメント

「鈴鹿川 吟醸」(清水清三郎商店)

「鈴鹿川 吟醸」表/裏ラベル

区分:吟醸
米:国産米 精米歩合60%
度数:15度
公式商品紹介ページ:

筆者のコメント:
 香りとしては、リンゴや洋ナシを思わせる果実様の香りが豊かです。ただ、熟した芳醇な香りというよりは、アルコール添加のお酒らしい若い青さ、爽やかさを感じます。若いメロンや青りんごのような感覚もあるでしょうか。教科書的には青竹や新緑、セルフィーユと表現されますね。また、を思わせるようなフローラルな香りもあります。そこに上新粉や白玉粉のような上品な米の香りが加わるとともに、教科書的には石灰と表されるようなフレッシュさを感じます。

 味わいとしては、口当たりはクリア上品な甘みが感じられます。酸味も穏やかで優しく、このお酒の爽やかさをさらに演出するようです。中盤からは米の旨味ほのかな苦みが味わいを豊かにし、最後は吟醸らしくすっきりとした後味でキレよく終わります。ややドライでありながらも、特に中盤の味幅の広がりがとても印象深いです。

 同じく清水清三郎商店の「作」にはない「吟醸」というラインナップ。個人的には、吟醸というともっとコンパクトにまとまったドライなお酒が多い印象ですが、このお酒は吟醸らしいすっきりとしたクリアな味わいはありつつも、綺麗な甘味果実感味幅を持たせながらもしつこくない米の旨味を兼ね備えています。それゆえに、味・香りともに綺麗な広がりのある、まるで大吟醸クラスのような高い完成度をもっています。もちろん、大吟醸よりは米の味わいが深くてふくよかですけどね。ぜひ、冷蔵庫でしっかりと冷やして、ワイングラスで飲んでみてください。


◇今回の料理との合わせ方

「鈴鹿川 吟醸」×たけのこと蒸し鶏の柚子胡椒和え

 上にも書きましたが、今回の吟醸のようないわゆる「アル添酒」(※1)は、青竹や新緑、セルフィーユと表現されるような若さを感じる青い香りが特徴です。正直、あまりピンと来てはいないんですけどね(笑)。ただ、その爽やかな印象というのは分かります。そして、ペアリングの基本としては似た香りや味わいのものを合わせるので、同じく青い香りのある青柚子やスダチ、ホウレンソウや菜花などの青菜やインゲンなどの青豆に合うとされます。

 また、個人的には「アル添酒」のクリアな味わいは、は塩味や辛味にも対応できるという利点があると思っています。特に今回の料理のような塩を効かせて素材の旨味を引き出したようなシンプルな味付けのときは、純米のようなふくよかで味わい豊かなものを合わせると、逆にそのふくよかさが料理のシンプルさを崩してアンバランスになるような気がしています。貝の酒蒸しなんかもそうですね。そういう時にはやはり吟醸や本醸造がよいと思います。ただ、大吟醸は料理の旨味に酒の存在がかき消されそうなので、やるとれば蒸し鶏を抜いてたけのこだけで柚子胡椒和えにするなどして、旨味を抑えたほうがいいと思います。

柚子胡椒ってすごくいい調味料ですよね…。

 以上を踏まえて、今回は「たけのこと蒸し鶏の柚子胡椒和え」に「鈴鹿川 吟醸」を合わせました。吟醸らしい爽やかな青い香りには、柚子胡椒の青柚子の香りがよく馴染みます。また、たけのこの香りにも合っているのではないかと思います。穏やかではありますが、たけのこならではのあの独特な香り…なんて表現しましょうかね(笑)。あれともすごく相性がいいです。

 味わいとしては、たけのこだけでなく蒸し鶏を加えることで料理全体にまっすぐな旨味を加え、それが「鈴鹿川 吟醸」がもつ中盤からの味わいの広がりに同調するようイメージしました。また、上品な甘みが料理にさらなる深みを持たせているように感じます。そして、吟醸らしいクリアな味わいによって、塩味と鶏の旨味を核とした料理の味わいを崩すことなく全体をまとめあげることができたように思います。

 ぜひ試してみてくださいね~( ˘ω˘ )。

※1 醪を搾る前に醸造用アルコールを添加する清酒。味わいをクリアにする、香りをより立たせる、火落菌の殺菌などの効果がある。江戸時代は醸造アルコールではなく焼酎を添加していた。現在も焼酎でアル添した清酒がある。泡盛でアル添した清酒なんてのもある。


〇終わりに

 今回は、「たけのこと蒸し鶏の柚子胡椒和え」「鈴鹿川 吟醸」を合わせてみました。この料理は毎年この時期によくやるメニューで、たまに家で開催している宅飲み会でもかなり高評価をいただいてます。個人的にも好きな料理であり、数少ない自信を持って得意といえる料理のひとつです(笑)。

 そして最初にも書きましたが、たけのこというとどうしても煮物やたけのこご飯が中心で、出汁+醤油の味わいに偏りがちです。なので、ちょっと違う食べ方がしたいな~と思った時はぜひこちらを作ってみてください。前菜にもメインにも、そしておつまみにもなれます。メインにするときは、蒸し鶏は厚めに、たけのこは少し大きめに切って、柚子胡椒とごま油を合わせたものをかけるかつけて食べるかというかたちがよいかと思います。

とはいえ、やっぱりたけのこご飯は美味しい。

 また、こちらも最初に書きましたが、たけのこにもいくつか種類がありまして、いま出ている、かつもっとも一般的なたけのこである「モウソウチク」はもうしばらくしたら終わっちゃうんですよね…。今年は出始めが遅かったんでどうなるか分かりませんが、鈴鹿だとだいたい5月1週目ぐらいで終わるはずです。全国的に見れば5月までは獲れますかね。

 ただ、そのあとは「ハチク」という種類が出てきまして、今回のレシピはそちらでも美味しく作れます!ちょっとあっさり目になりますけどね。そのあとの「マダケ」はあんまり合わないかも…?とはいえ、水煮パックなら年中売ってるんであんまり関係ないですけども(笑)。

 とにかく、どんなかたちであれ、たけのこを見かけたらぜひお試しを。その際は、今回紹介した「鈴鹿川 吟醸」も一緒に買って楽しんでいただけたら嬉しいです。

 それでは、また次回お会いしましょう。
 素敵な日本酒ライフを~( ˘ω˘ )。



「日本酒ペアリング研究会 報告書」のまとめを作りました。
他のメニューとペアリングもあわせてお読みいただけると嬉しいです( ˘ω˘ )。

 本企画とは別でやっているエッセイ企画「淡い雲をとどめて」のまとめです。ぼちぼち書いていきますので、こちらもぜひに。


 

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