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【簡単】しゃぶしゃぶ×僕なりの「自家製ごまだれ」×「作 穂乃智」~日本酒ペアリング研究会 報告書No.2~

  ※「日本酒ペアリング研究会」は、日本ソムリエ協会が認定する日本酒・焼酎のソムリエ資格「SAKE DIPLOMA」を持つ筆者が、日本酒とご家庭でもできる料理の合わせ方を提案する企画です( ˘ω˘ )。
     ついでに日本酒では三重の地酒を中心に取り上げ、料理ではほとんど三重の地物食材を使っています。また、料理のレシピも詳しく解説していますので、ぜひお読みください( ˘ω˘ )。


〇はじめに

   こんばんは( ˘ω˘ )。

    今回は日本酒ペアリング研究会の2回目ということで、引き続き三重県鈴鹿市のお酒「作」を取り上げます。前回とは傾向を変えて、「穂乃智」を選びました。

   料理の方は「自家製ごまだれ」で食べるしゃぶしゃぶです。レシピとしては、ごまだれのほうがメインです。お手軽にできて、なおかつ万能です。普段の献立のレパートリーにぜひ加えていただけたらと思います( ˘ω˘ )。

自家製ごまだれ
「自家製ごまだれ」×しゃぶしゃぶ×「作 穂乃智」


それではさっそくやっていきましょ~。


◯材料と作り方

◇材料

<ごまだれ>
・白練りごま     大さじ2
・ごま油          大さじ2
・薄口醤油         大さじ1
・砂糖              小さじ2

    白練りごまとごま油は、どちらも九鬼産業さんのものを使っています。ごま油は、あまり濃すぎないほうがいいのでスタンダードタイプを選びました。ちなみに、練りごまは深煎りしたゴマを使用したタイプもありますが(たしかトップバリュのものがそう)、それを使った場合はゴマの香ばしい風味がより強く出ます。どちらを使うかは好みではありますが、今回のペアリングには普通の皮むき白いりごまを使用したタイプが良いです。

   醤油は濃口だと少し醤油感が強すぎるかなと思って薄口を使用しています。なければ濃口でもいいと思いますが、量は減らした方がいいかもしれません。

<しゃぶしゃぶ>
好きな具材でOKです。今回のペアリングを考えると、豚肉はロースが、魚なら白身魚がいいと思います。
あとは「昆布茶」。理由はあとで解説します。

◇作り方

 まずは「ごまだれ」から。
 …と言っても、大きめの器に全ての材料を入れてよく混ぜるだけです。あとはいろんな料理に使ってください。

 シンプルに茹でた野菜にかけたり和えたり、

茹でたさやいんげんとブロッコリーに。

今回のようにしゃぶしゃぶのつけだれに使ったりと幅広く使えるかと思います。豚しゃぶはもちろん、写真のように魚のしゃぶしゃぶにも合います。下の写真では、前浜の美味しいクロダイを使っています。

前浜(鈴鹿)産クロダイの鯛しゃぶ×ごまだれ

 また、砂糖を減らしてラー油をいれるとピリ辛の坦々風ごまだれになります。そちらもぜひお試しください。夏にそうめんと一緒に食べたら美味しそうですね~。棒棒鶏のタレとしてもいけそうです。

 続いてしゃぶしゃぶですが、特に作り方というものはないです。とはいえせっかくなので、より美味しく食べるための僕なりのポイントを2点紹介します。
 
 まず1点目は、沸騰させないことです。葉物の野菜はともかく、肉や魚は急に高い温度で火が入ると硬くなります。そのため、70~80度になるよう調整しましょう。ただし、肉はしっかり火を通してください。魚は刺身用かしゃぶしゃぶ用と書かれたのものを使ってください。絶対に。
 
 続いて2点目は、ただのお湯ではなく、そこに塩辛くならない程度に昆布茶を入れることです。ふつうに昆布茶として飲める程度を目安にしましょう。

不二食品さんの昆布茶がおすすめ

 そうすると、肉や魚などの動物性の旨味に昆布の植物性の旨味が加わり、肉も魚も野菜も、そして締めの雑炊までより美味しくいただけます。昆布茶ではなく味の素と塩でもいいかもしれません。もちろん昆布出汁でも。
 
 あとはお好きな具材をしゃぶしゃぶして楽しみましょう。

前回と同じく山崎ファームさんの豚肉でしゃぶしゃぶ。今回はロースを使用。


◯今回のお酒とペアリング考察

   今回は、上の写真にあるごまだれをかけた茹で野菜としゃぶしゃぶに、三重県鈴鹿市の清水清三郎商店さんがつくる「作 穂乃智」を合わせていきます。

◇お酒の基本情報とコメント

蔵元情報は公式HPへ。


「作 穂乃智」(三重県鈴鹿市 清水清三郎商店)

「作 穂乃智」表/裏ラベル

区分:純米
米:国産米 精米歩合60%
度数:15度
公式商品紹介ページ:

 筆者のコメント:
<香り>
バナナやメロンを思わせるそような香りが主体。個人的にはキウイという表現もよいと思う。ラベルにはライチと書いてある。
     +
純米らしい炊いた米や餅のような香り。
ローリエのようなハーブ感

 特に上記のような果実香が純米らしからぬ豊潤さで香る。また、香りが「広がる」というよりは、「まっすぐに届く」ような印象。

 <味わい>
 ふくよかな甘みがよく感じられるが、そこに酸味・旨味がバランスよく合わさっている。この加減はかなり絶妙。全体としては、まとまりと透明感があってとても飲みやすいが、中盤からは純米らしい米の旨味がしっかりと感じられ、余韻にまで続く。また、後味には少し大人っぽいほろ苦さもあり、綺麗なお酒ではあるが純米酒らしい味わいもちゃんとある。

<総評>
  このお酒は単体で飲んでも美味しいが、作のなかでは合う料理の幅も広い。また、冷酒だけでなく燗酒にしてもよい。このように楽しみ方の選択肢が多いため、「とりあえず作を1本買うならどれ?」と聞かれたら個人的には「穂乃智」をおすすめする。純米らしさと「作」らしい綺麗さが絶妙に両立しており、「やっぱり作って美味しいよなぁ」と改めて感じさせられるも。


◇今回の料理との合わせ方

 今回取り上げた「作 穂乃智」は「バナナ・メロン系統」の香りで、作のなかでは比較的食事に合わせやすいモデルとなっています。ただし、甘口であり、酸味や旨味も絶妙に調和した完成度の高いお酒であるぶん、味が濃い料理や脂のある料理、あるいは少しクセのある料理と合わせると、どうしても甘すぎたり、お酒自身の絶妙なバランス感が邪魔されてしまうように思います。いい例が魚のあら煮です。余談ですが、あら煮は作なら「玄乃智」がいいです。
 
 それは置いといて、上記のことから、やはり穂乃智に合わせるなら濃すぎず上品すぎず、油分や水分もちょうどいい、それこそバランスの良い料理がいいと思いました。そこで選んだのが、普段からよく作っている僕なりのごまだれを使った料理です。

自家製ごまだれ×豚しゃぶ×作 穂乃智

 「ごまだれ レシピ」で検索するといろいろ出てきますが、多くは酢や出汁、酒・味醂、そして味噌やマヨネーズなどを加えています。おそらく、練りごまのまろやかさやコクを活かした濃厚かつ複雑な味わいを目指しているのかなと推測します。それに比べて、今回のレシピは材料的にはすごくシンプルで、練りごまが持つコクやまろやかさは活かしつつもあまり濃厚にはなりすぎないように、そしてやや甘めに仕上げています。練りごまを風味を抑えたごま油で薄めるようなイメージで、できるだけまっすぐな味わいを目指しました。
 
 もちろん、これでもごまだれ単体だと味は濃いです。しかし、そこにしゃぶしゃぶを合わせることで、全体としての味わいがちょうどいいバランスになる……と思っています(笑)。ごまだれのコクや甘味・塩味、香ばしさ。しゃぶしゃぶが持つ肉や魚の脂と旨味、出汁や野菜の水分、そして温かさ。こういった要素が合わさることでごまだれの濃さが和らぐとともに、様々な食材の良さが調和したまとまりのある味わいになります。なんというか、あたたかくて滋味深い美味しさがあります。

 そして今回の考察では、そんなバランス感のあるしゃぶしゃぶに、同じくバランス感のある「作 穂乃智」を合わせることで、双方の味わいを「同調」させて増幅させることを意識しました。お互いの良さを損なわず、むしろそれらが馴染んで強調されるようなイメージです。材料のところに「豚肉はロースが、魚なら白身魚がいい」と書いたのもそういう意図があります。例えば、しゃぶしゃぶでは定番な豚バラや寒ブリを使うと、やや脂が多いような気がします。

 また、しゃぶしゃぶの温度に着目して「作 穂乃智」を熱燗にするとより相性が良くなると思います。温めると旨味がより豊かに感じられ、お酒の印象(質感?)も柔らかくなるので、同調の度合いがより高まります。お猪口に注いだ時に40度ぐらいになるように、銚釐(ちろり)ではもう少し高めに温めるとよいかなと思います。

 ぜひ試してみてくださいね( ˘ω˘ )。
    年末年始のメニューにもいいんじゃないでしょうか( ˘ω˘ )。

銚釐は前川金属工業所さんの「酒タンポ 2号」を使っています。


〇終わりに

 今回は、僕なりの「自家製ごまだれ」と「しゃぶしゃぶ」に「作 穂乃智」を合わせてみました。個人的な話なんですが、「作 穂乃智」は僕が日本酒を好きになったきっかけのお酒で、とても思い入れがあります。初めて飲んだお酒は作の新酒だったんですが、舌がアルコールにやられたのか、お猪口1杯も飲めませんでした(今はもちろん全然飲めます)。

    その後、次に飲んだ日本酒が「作 穂乃智」だったんですが、これがするする飲めてしまいまして…(笑)。そのときはこのお酒の美味しさ、飲みやすさにほんとに感動しました。このことがきっかけで日本酒が好きになり、いまやSAKE DIPLOMA(日本酒・焼酎のソムリエ資格)をとるまでになっています( ˘ω˘ )。

今回はしゃぶしゃぶにしましたが、旬のクロダイなら刺身でも合いそうです。

 そして上にも書きましたが、やはり合わせられる料理の幅が広いというのも好きなポイントです。特に自分がつくる料理の傾向(和食メイン)にはけっこう合います。もちろん、そのレパートリーのなかでは今回のごまだれで食べるしゃぶしゃぶがいちばん合うと思いますが、それ以外だと野菜の煮物や白身魚の刺身にも合わせたりします。揚げ出し豆腐とかも良さそうですかね。もしこんな料理も合うぞという例やアイデアがあれば、ぜひ教えてください。

 それでは、今回はここまでにしたいと思います。「作 穂乃智」はいちおしのお酒ですので、見かけたらぜひ一度お試しいただきたいです。三重県なら、日本酒に力を入れている居酒屋であればほとんどのお店に置いてあると思いますので、旅行でいらっしゃった方はもちろん、すでに三重県に住んでいる方にも飲んでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

 それでは素敵な日本酒ライフを~( ˘ω˘ )。




「日本酒ペアリング研究会 報告書」のまとめを作りました。
他のメニューとペアリングもあわせてお読みいただけると嬉しいです( ˘ω˘ )。


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