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アニメ「境界の彼方」十周年記念を祝う企画についてのアンケート
以下、鳥居なごむと橿原デジタルコンテンツで実現可能な企画を提案していきます。興味があるものを教えてもらえるだけで嬉しいですし、やってほしいことを教えて頂けるとかなり助かります。
①奈良ホテルさん協力によるイベント
過去に奈良ホテル館内ツアーや食事会が開催されており、リアル名瀬家を体験したい方にはかなりおすすめです。あの威風堂々とした迫力を是非知ってもらいたいですね。※過去に五回実施されています
そんな世界は嘘である ~誕生日~
きっかけは僕の一言だったかもしれない。
「明日、誕生日なんだよ」
「あらそう。つまり私の欲しがっていた二万円の鞄を買ってくれるというわけね?」
「どういう理屈だよ! というか金額が現実的過ぎて笑えねえよ!」
「まあいいわ。とりあえず明日、私、空いているのよね」
長い黒髪の美少女である天宮千秋はそう言った。正直なところ、気分はいいんだよな。まあ友人と呼べる存在がこいつしかいない時点で僕の人生
そんな世界は嘘である ~クリスマスイブ~
サンタクロースという想像上の赤服爺さんを幼稚園に上がる頃まで信じていた僕なのだが、今ではミニスカサンタのコスプレをした女の子の太股にしか興味を抱かない穢れた大人になってしまった。
「おい、千秋」
「なによ?」
パソコンの画面から顔を上げて天宮千秋は僕のいるベッドの上を振り仰いだ。
「僕の一人称になんてことをするんだ」
ちなみに突っ込みを入れるまでの語りは友人こと天宮千秋の独り言である。
幸せの形「第三章004」
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病室で一日を過ごすのは憂鬱だ。
大部屋なら事情が変わるのかもしれないけど、少なくとも個室では巡回のナースさんと二言か三言しゃべる程度で、起きている時間の大半をぼんやりと過ごさなくてはならない。せめてゲームや読書ができればいいのだけど、現在の私にはそれすら重労働になっていて、体調がすこぶるいいときに母が持ってきてくれた文庫本を読み進めるくらいである。
幸せの形「第三章003」
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翌朝、私は当初の約束通り入院した。
文化祭を通じて仲良くなったクラスメイトが見舞いに来てくれた。一時的な入院だと思っているらしく、どうでもいいような会話ばかりになってしまった。でもそれが楽しい。楽観的なのは涼子や二ノ宮も同じだった。誰も私がいなくなるなんて想像もつかないのだろう。当然のことだ。漠然と明日はやって来るものだと信じている。
淡々と
幸せの形「第三章002」
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こんな寂れた高校の文化祭が盛り上がるのだろうか?
去年の私はそう思っていた。ところが文化祭の盛り上がりは尋常ではなく、もはや心配したのがバカらしく思えるほどだった。周囲に一つしかない高校とあって、同じく一つしかない中学生が必ず訪れるらしい。夜になると運動場の真ん中に大きなファイヤーストーム(キャンプファイヤーの学際バージョンみたいなもの)まで出
幸せの形「第三章001」
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こんな寂れた高校の文化祭が盛り上がるのだろうか?
去年の私はそう思っていた。ところが文化祭の盛り上がりは尋常ではなく、もはや心配したのがバカらしく思えるほどだった。周囲に一つしかない高校とあって、同じく一つしかない中学生が必ず訪れるらしい。夜になると運動場の真ん中に大きなファイヤーストーム(キャンプファイヤーの学際バージョンみたいなもの)まで出て
幸せの形「第二章006」
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――あれは。
病院のベッドで私が眠っている。個室のようで診察室ではないらしい。
どういうことだろう? 私には入院した記憶なんてない。
というか、自分が自分を見下ろしていることにまず疑問を抱こうよ私。
夢?
それにしてはリアルだ。モノクロじゃなくてカラーの夢。その中の私は空気のような存在で、ふわふわと浮かんでいて好きなところへ移動できた
そんな世界は嘘である
金曜日の夜、友人と二人でファミレスへ通うのが恒例になっていた。
席に案内されると友人こと天宮千秋はダッフルコートを脱いで椅子の背にかけた。露骨に胸を強調した服装があらわになる。ちなみに下は黒のキュロットだった。長い黒髪と妖艶な唇が小悪魔的な魅力を醸し出している。
毎度お馴染みの注文を済ませて、僕は恒例行事のようにドリンクバーへ向かう。二人分の烏龍茶を持って席へ戻る。すると千秋は一人の店員
幸せの形「第二章005」
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放課後。
病院へ向かおうとする私を涼子が呼び止めた。大方の予想はついている。
「あのあの、明日のデート――じゃないかもしれないけど、休日に男女二人で映画を観に行くというデート以外のなにものでもないようなイベントについて、ご指導ご鞭撻を受け賜りたいのであります」
涼子は最敬礼した。ときどき彼女のことがわからなくなる。なんとなくだけど、二ノ宮と
幸せの形「第二章004」
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私は二ノ宮に会うのが億劫になっていた。前日の出来事が理由なのは言うまでもない。私が倒れたというのに二ノ宮は先に帰ってしまったのだ。それがわからない。逆の立場で二ノ宮が目の前で倒れたとしたら、きっと私は彼が目を覚ますまで病院に残っていたと思う。こじつけとかじゃなくて本音だ。誰だって目の前で人が倒れたら安否を気にする。それが知り合いなら尚更だ。それなの