鳥居なごむ
小説置き場です。
日常のあれやこれやを書き留めたものです。
主に自己管理用です。
初めまして鳥居なごむと申します。 大学院修了後レジャー企業に就職、受賞を機に個人事業主として開業。 つぶやきには向いていないであろう個人的な備忘録に活用したいと考えて「note」を利用することにしました。具体的には「自分自身の話」と「趣味の話」が中心になりますが、整理と落とし込みが主目的になるため、なにかしらの発信というより発散の要素が強くなるかもしれません。 どうぞよろしくお願い致します。
君と出会ったのは大学生の終わり頃だったね。確か大学院の試験に臨むとき眼鏡を変えた。面接で困ったとき中指で眼鏡を持ち上げる癖は最後まで直らなかったけど結果は合格。そのあと税理士の資格を取って就職するまで一直線だったね。そうそう、いつも冷静沈着な君が二年間同棲していた彼女に振られたときの狼狽ぶりは今でも笑えるよ。君は真面目過ぎるから柔軟な対応を学ぶ必要があるかもしれないね。前置きが長くなったけど新しい相棒とは上手くいっているのかい? こっちは来世も君に選ばれることを願っているさ。
午後十時半、私はグループトークをしていた。参加者は大学進学を機に離れ離れになった友人たちである。真鍋春人、夏目ふみ、堂本冬馬、そこに私こと秋山真帆を加えると春夏秋冬が揃う。今でも連絡を取っているのは趣味も共通していたからだ。 「送った写真、確認してくれた?」 「地蔵が倒れているやつ?」 「そうそう、山の中で地蔵が倒れてるとか絶対になにかあるよな?」 「地蔵だと弱いよ、人間が倒れていたらなにか遭ったんだろうけどさ」 「いやいや、それは普通に事故か事件だから!」 「あはははは
以下、鳥居なごむと橿原デジタルコンテンツで実現可能な企画を提案していきます。興味があるものを教えてもらえるだけで嬉しいですし、やってほしいことを教えて頂けるとかなり助かります。 ①奈良ホテルさん協力によるイベント 過去に奈良ホテル館内ツアーや食事会が開催されており、リアル名瀬家を体験したい方にはかなりおすすめです。あの威風堂々とした迫力を是非知ってもらいたいですね。※過去に五回実施されています。 ②アニメ「境界の彼方」十周年記念ファンアート募集 十周年ということもあり
肉体面は同年代の中でも上位に入るくらい仕上がっているのですが、精神面は七年間同棲していた恋人に振られて完全に崩壊状態ですね。三月頃の話で二週間くらい浴びるほど酒を飲んで過ごしていたのですが、今回の再飲酒に関しては主治医も「それは仕方ないかも」と同情気味でした。 酒に逃げてもろくなことにならないことは嫌というほど理解しているのですが、現実逃避にこれほど手っ取り早くて効果的な手段ってほかに見当たらないんですよね。 うーん、困ったものです。
①英語学習 【ハリーポッターの原書を辞書なしで読める程度の語学力を目指す】 ②囲碁 【野狐で四段昇格を目指す】 ③運動習慣 【コロナの状況にもよりますが、マラソン大会に参加して完走する】 とりあえずGW中に②の囲碁四段昇格は達成しました。これまで二段と三段の行き来を繰り返していたので、自身としては一つ階段を上がったかなという感じです。もちろん①と③も順調に進んでいるので、年内にすべて達成できるといいなあ。
きっかけは僕の一言だったかもしれない。 「明日、誕生日なんだよ」 「あらそう。つまり私の欲しがっていた二万円の鞄を買ってくれるというわけね?」 「どういう理屈だよ! というか金額が現実的過ぎて笑えねえよ!」 「まあいいわ。とりあえず明日、私、空いているのよね」 長い黒髪の美少女である天宮千秋はそう言った。正直なところ、気分はいいんだよな。まあ友人と呼べる存在がこいつしかいない時点で僕の人生終わってるんだけどさ。 「僕の誕生日を祝ってくれるのか?」 「せっかくの誕生日
サンタクロースという想像上の赤服爺さんを幼稚園に上がる頃まで信じていた僕なのだが、今ではミニスカサンタのコスプレをした女の子の太股にしか興味を抱かない穢れた大人になってしまった。 「おい、千秋」 「なによ?」 パソコンの画面から顔を上げて天宮千秋は僕のいるベッドの上を振り仰いだ。 「僕の一人称になんてことをするんだ」 ちなみに突っ込みを入れるまでの語りは友人こと天宮千秋の独り言である。 「だって本当のことじゃない? 反論があるならホットペッパーのCM風にアテレコ
幸せの形「序章」へ 前話「第三章004」へ 面会時間が終わるまで二ノ宮は病室に残っていた。 よほど恥ずかしかったのか、ずっと明後日の方向を見つめている。 それでも傍にいてくれるのは嬉しかった。最期の時間を少しでも一緒に過ごしたい。一分一秒でも長く一緒にいたかった。それだけで幸せな気持ちになれる。不意に二ノ宮が話し始めた。 「俺さ、高校を卒業したら都会の大学へ進学するよ」 受かるとは思えないけど口には出さない。 「どうして?」 「真理亜が生まれ育った土地を肌で感
幸せの形「序章」へ 前話「第三章003」へ 病室で一日を過ごすのは憂鬱だ。 大部屋なら事情が変わるのかもしれないけど、少なくとも個室では巡回のナースさんと二言か三言しゃべる程度で、起きている時間の大半をぼんやりと過ごさなくてはならない。せめてゲームや読書ができればいいのだけど、現在の私にはそれすら重労働になっていて、体調がすこぶるいいときに母が持ってきてくれた文庫本を読み進めるくらいである。人間の身体は一度崩れ始めると脆いなあと実感した。 そんなわけで、面会時間は私
幸せの形「序章」へ 前話「第三章002」へ 翌朝、私は当初の約束通り入院した。 文化祭を通じて仲良くなったクラスメイトが見舞いに来てくれた。一時的な入院だと思っているらしく、どうでもいいような会話ばかりになってしまった。でもそれが楽しい。楽観的なのは涼子や二ノ宮も同じだった。誰も私がいなくなるなんて想像もつかないのだろう。当然のことだ。漠然と明日はやって来るものだと信じている。 淡々と日々は流れて一週間が経過した。 ある夜、容体が急変した。 ◇◇◇ 今週
幸せの形「序章」へ 前話「第三章001」へ こんな寂れた高校の文化祭が盛り上がるのだろうか? 去年の私はそう思っていた。ところが文化祭の盛り上がりは尋常ではなく、もはや心配したのがバカらしく思えるほどだった。周囲に一つしかない高校とあって、同じく一つしかない中学生が必ず訪れるらしい。夜になると運動場の真ん中に大きなファイヤーストーム(キャンプファイヤーの学際バージョンみたいなもの)まで出てくる。祭りの一つとして捉えられているのか、家族総出で文化祭を楽しむ人たちも多か
幸せの形「序章」へ 前話「第二章006」へ こんな寂れた高校の文化祭が盛り上がるのだろうか? 去年の私はそう思っていた。ところが文化祭の盛り上がりは尋常ではなく、もはや心配したのがバカらしく思えるほどだった。周囲に一つしかない高校とあって、同じく一つしかない中学生が必ず訪れるらしい。夜になると運動場の真ん中に大きなファイヤーストーム(キャンプファイヤーの学際バージョンみたいなもの)まで出てくる。祭りの一つとして捉えられているのか、家族総出で文化祭を楽しむ人たちも多かっ
幸せの形「序章」へ 前話「第二章005」へ ――あれは。 病院のベッドで私が眠っている。個室のようで診察室ではないらしい。 どういうことだろう? 私には入院した記憶なんてない。 というか、自分が自分を見下ろしていることにまず疑問を抱こうよ私。 夢? それにしてはリアルだ。モノクロじゃなくてカラーの夢。その中の私は空気のような存在で、ふわふわと浮かんでいて好きなところへ移動できた。窓の外の景色から冬だとわかる。それともう一つ、ここは中学まで住んでいた場所だっ
金曜日の夜、友人と二人でファミレスへ通うのが恒例になっていた。 席に案内されると友人こと天宮千秋はダッフルコートを脱いで椅子の背にかけた。露骨に胸を強調した服装があらわになる。ちなみに下は黒のキュロットだった。長い黒髪と妖艶な唇が小悪魔的な魅力を醸し出している。 毎度お馴染みの注文を済ませて、僕は恒例行事のようにドリンクバーへ向かう。二人分の烏龍茶を持って席へ戻る。すると千秋は一人の店員を見つめながら口を開いた。 「平原さん、また痩せたわね」 「あれは痩せたんじゃ
幸せの形「序章」へ 前話「第二章004」へ 放課後。 病院へ向かおうとする私を涼子が呼び止めた。大方の予想はついている。 「あのあの、明日のデート――じゃないかもしれないけど、休日に男女二人で映画を観に行くというデート以外のなにものでもないようなイベントについて、ご指導ご鞭撻を受け賜りたいのであります」 涼子は最敬礼した。ときどき彼女のことがわからなくなる。なんとなくだけど、二ノ宮と同じ種類の人間なのかもしれないと思った。 私はかぶりを振る。今はそんなことにつ