株式会社T7

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アド業界がなぜ儲からなくなったのか、マイケルポーター的に振り返る

マイケルポーターの5 Forceという有名なフレームワークをアド業界に当てはめて考えてみようと思います。 昔に比べて市況感が厳しいと言われていますが、何が起こってそうなっているのかの整理をしていきます。 まずポーターの理論でいくと以下のような要素が利益を圧迫していきます。 真ん中に自分と競合を含めた業界があります。 その周りに以下の四つの要素が圧力をかけてきます。 新規参入、代替品、供給元の交渉力、買い手の交渉力 まず同じ広告業界の中でもテレビ広告の代理店について見てい

    • コンセプトと競争優位性の二つが揃っていないと長期的には勝ち続けられない

      持続的に勝ち続けるには、 ①コンセプトが当たる ②その事業が競争優位性がやればやるほど強化されるサイクルがある という二点が必要になる。 Amazonのグルグル図はやればやるほど競争優位性強くなりができて他者が模倣が困難になることを示している。 やればやるほど強化さえるようなストーリー、線としての打ち手をやれている企業が持続的に勝てている。 広告の業界はこのループが弱いが、その中でも構造的にやればやるほど強くなる要素を孕んでいる会社はある。 ①ウォーターサーバー黎明期に

      • 我々はモノを通じて、自分が望む関係性を購入する。

        自分の価値をシンボルにするための消費、人と関わる口実を作るための消費、他者へ自分の優位性を示すための消費をまとめて「関係消費」と呼ぶことにします。 今回は、その非関係消費を関係消費に転化することで売上を伸ばしているサービスを紹介したいと思います。 下の図をご覧ください。 まず自動車ですが右に行くほど、購買意思決定に「他者」が密接に絡まってきます。高級車は社会や女性からの評価を得るため。ファミリー車もその先にある家族との団欒であると言うことはテレビCMを見てもわかると思いま

        • 開始1年で年商数億のワインD2C

          ワインを飲みながら学べるD2Cが開始一年で登録者3000人を超えているそうです。月の会費は1.3万円と高額にもかかわらず、順調に会員数を伸ばしています。継続率は月で95%の驚異的なものになっています。 https://shop.homewine.jp/lp 初期は広告よりも、PRを中心にユーザーを獲得して、粗利(LTV)は広告費に対して6倍と通常のD2Cに比べるとかなり高い水準です。 広告戦略や商品設計の詳細はこちらのnoteで取り上げられているのでぜひ読んでみてください

        アド業界がなぜ儲からなくなったのか、マイケルポーター的に振り返る

          LTVは「商品力」ではなく、「商材ジャンル」で決まっている。

          世の中には『月額2000円で20年間定期購入されている』なんていう健康食品があります。LTVにすると48万円… その他にも、プレミアウォーター社のウォーターサーバー&宅配水は、 月次の解約率が1.5%程度で推移していて、 月額4000円で、平均継続期間が62.5ヶ月、LTVは約250,000円、加入者獲得費用約42,000円というとんでもない水準になっています。 そんだけLTVあったら、広告ぶんまわしまくれるやん!と思い、 「2年以上定期購入をしている人」に対して30

          LTVは「商品力」ではなく、「商材ジャンル」で決まっている。

          アド広告で5万円のものが売れるのか?

          単品リピート通販の業界では、初回オファーを極限まで下げる競争が行われ、初回980円、果てには初回無料というオファーまで誕生してきました。 化粧品や健康食品業界では特別オファーで初回が安いから、他商品と比較をせずにそのままLPで購入する。そして、初回のハードルを下げて契約を取った後にLTVをあげていくという戦略とる企業が増えていきました。 YouTubeやTIKOTKで流れてきた広告で、「衝動買いを誘う」のがアド広告ですが、それは初回の単価が安いから成立することであり、高単

          アド広告で5万円のものが売れるのか?

          地方企業がわずか数年で骨盤ベルトを累計40億売り上げるまで

          売れに売れまくっているこちらのベルトをご存知でしょうか? こちらの動画広告単体で500万再生。その他媒体でも視聴者に受け入れられ、広告とは思えないほどリアクションの量も多く、ポジティブな反応です。 福岡市の数十人ほどのユニークな会社で、発売からわずか数年で約40億ほど売上げていると推測されます。 私も実際に買ってみましたが、この動画広告の通りつけた瞬間の「体感」が得られやすいなとは思いました。効果があるか?というのは使い続けないとわからないと思いますが。ただ、最初の「体

          地方企業がわずか数年で骨盤ベルトを累計40億売り上げるまで

          ヒツジのいらない枕のヒットの裏側を勝手に予想してみた

          ヒツジのいらない枕をご存知でしょうか? クラファンで数千万円の支援額を連発し、寝具のD2Cで成功しているブランドです。注目すべき点が、クラファンでの成功後、一般販売でも成長を続けているという点です。 こちらはAmazonでの売上推移です。クラファンで一発屋で終わることの方が多い中、期間終了後も着実に売上を出しています。 ヒツジのいらないシリーズの始まりが2019年なのですが、 実は、2016年にアメリカで同じようなコンセプトの枕がクラファンで成功しているのをようです。

          ヒツジのいらない枕のヒットの裏側を勝手に予想してみた

          日商1億/年商数十億の寝具スタートアップ「NELL」

          社長は1997年生まれとお若い。スタンフォードに短期留学経験もあり、VCからの調達を受けてアプリ開発をしていたが、軌道に乗らず断念。その後、ピボットして寝具事業を開始。 1.商品開発/ビジネスモデル設計 「寝返り」に特化したマットレス。ポケットコイルの多さが特徴。 工場20社くらいに問い合わせしていく中で、福岡県大川市の老舗マットレスメーカーさんと繋がる。そこからリリースまで一年程度。 最初は50%引きで友達に販売して、フィードバックをもらっていた。リーンスタート、仮説検

          日商1億/年商数十億の寝具スタートアップ「NELL」

          深圳発の脱毛機「JOVS」のヒットを時系列で整理していく。

          自宅用脱毛機であるJOVSという商品が日本で2022年4月にローンチされ、現在では推定二桁億以上の事業になっている、 一番メインの商品でAmazonだけで月2000万円程度。その他数個の商品ラインナップがある。 アド広告でもD2C的に販売。LPもそれ用にしっかり作り込まれていた。 この「JOVS」という商品の源流を辿ってみると、イギリスの美容機器ブランドCurrentBodyで、製造場所は中国の深圳。 こちらの記事によると、 大元のメーカーもベンチャー企業であり、A

          深圳発の脱毛機「JOVS」のヒットを時系列で整理していく。

          中国OEM輸入で年商64億企業の差別化戦略

          差別化ポイントは「デカくて重い商品」に照準を合わせて商品を仕入れること。 アマゾンのFBAで取り扱えないようなデカくて重い商品を取り扱うことで競合との差別化を図る。これによって個人レベルの転売屋や中国のセラーとの消耗戦から脱出することに成功している。 小さい商品は2LDKでも始められるくらい参入障壁が低い。 代表的なものでハンドリフト(工場の中で荷物を持ち上げる機器)があるが、これはアマゾン内にも10社いないくらいらしい。 ハンドリフトは一番売れていると言っていたのでお

          中国OEM輸入で年商64億企業の差別化戦略

          【P&G出身起業家が2ヶ月で2.4億売り上げた美容液のマーケ戦略が勉強になりすぎる】

          実はこの会社の代表である石井さんのYouTubeチャンネルのファンで、過去の動画全て閲覧しておりまして、ライブ配信でも何度も質問させていただいておりました。めちゃくちゃ勉強になるのでおすすめです。 https://www.youtube.com/@MD-kt8ix そんな方がコンサルを経て、ついに自社商品を出すとのことで楽しにしていた。実はこのカプセルセラムの前にもお茶のD2Cもやられていて、そちらも愛飲させていただいております。 そんな石井さんの会社の第二弾ということ

          【P&G出身起業家が2ヶ月で2.4億売り上げた美容液のマーケ戦略が勉強になりすぎる】