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日商1億/年商数十億の寝具スタートアップ「NELL」

社長は1997年生まれとお若い。スタンフォードに短期留学経験もあり、VCからの調達を受けてアプリ開発をしていたが、軌道に乗らず断念。その後、ピボットして寝具事業を開始。

1.商品開発/ビジネスモデル設計

「寝返り」に特化したマットレス。ポケットコイルの多さが特徴。
工場20社くらいに問い合わせしていく中で、福岡県大川市の老舗マットレスメーカーさんと繋がる。そこからリリースまで一年程度。
最初は50%引きで友達に販売して、フィードバックをもらっていた。リーンスタート、仮説検証がしっかりとなされている。

「WEBでしか販売しないマットレス」というのを売り文句にしていた。従来の寝具とは利益構造が全く異なるとのこと。
ここからは予想だが、原価を高くしているため卸で採算が合わないモデルであると考えらる。広告手法もインフルエンサー/オウンドメディアが主体であるので、原価40-50%でも成り立つモデルなのかもしれない。

数十億の規模になっても通常の店舗出てきていないのを考えると、原価構造的に従来のチャネルでは成り立たない可能性がある。

「高い買い物だから店頭で試したい層」と「WEBで良いものをコスパよく買いたい層」がいて、後者に向けての商品となっている。

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000034237.html

LPでもメイン訴求となっている「120日間フリープラン」
送料無料で返品/返金ができるというオファーでネット販売での抵抗を払拭。実際の返品率は数%に収まっている。

2.マーケティング施策

InstagramとYouTubeのインフルエンサー施策がメイン。化粧品と違って年単位で利用する商材であるから、同じ人が何回もポストしてくれることが多い。また、高単価商材のためインフルエンサーがインフルエンサーを紹介してくれるサイクルに入っている。(ギフティングされる方も高価なものの方が嬉しい!)

インフルエンサーの投稿はNELLの自社アカウントとのタイアップ投稿になっている。しっかりと自社のフォロワーも集め、10万人程度行っている。

もう一つはオウンドメディア。月間60万ユーザーが訪れる。7-8割の記事には購入同線がない。寝具はいつか買い替えるものであるから長期的にリレーションシップを築こうとしている。サイトを訪れて数ヶ月以内に購入する人が200人程度。2000万円程度のインパクトがある。

僕の調べた感じだとAmazonには販売していない。販売手数料の問題なのか、120日間フリープランの影響なのかわからないが。いずれにせよモールに頼らず自社サイトのみで数十億はすごい。

3.組織設計

従業員が10名程度。上記のSNS施策も外部の会社に委託している。関わっている人の数は100人くらいいる。メーカーとしてのコアコンピテンシーに注力して、ミニマムの組織でやっていくっていうのはとても共感できる。
メーカーをやっていくにあたって、必要な施策を委託できるプロフェッショナルのネットワークを築いていることは重要。また、どの施策がハマるかもわからないので最初からマーケを内製化しておくのは危険だとも感じた。

考察

赤字を掘るモデルではないD2Cを最近調べているのだが、最もうまく行っている事例の一つかもしれない。立ち上げて2-3年で年商数十億、利益で数億。広告もオーガニックに近い形で取れている。インフルエンサー施策も「NELL」でInstagram検索したらその商品で占められているという点で資産性がある。

今後も、アド以外のマーケティング施策でグロースさせている物販メーカーのサンプルを集めていきたい。


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