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我々はモノを通じて、自分が望む関係性を購入する。

自分の価値をシンボルにするための消費、人と関わる口実を作るための消費、他者へ自分の優位性を示すための消費をまとめて「関係消費」と呼ぶことにします。

今回は、その非関係消費を関係消費に転化することで売上を伸ばしているサービスを紹介したいと思います。
下の図をご覧ください。

まず自動車ですが右に行くほど、購買意思決定に「他者」が密接に絡まってきます。高級車は社会や女性からの評価を得るため。ファミリー車もその先にある家族との団欒であると言うことはテレビCMを見てもわかると思います。

逆に軽トラは「機能」「価格」の二つの要素しか関わってこないと言っても良いでしょう。軽トラで見栄を張る人はあまり見たことがありません。

次に徐々に「非関係消費」から「関係消費」に移行した例として野球観戦が挙げられます。昭和の頃の野球は男性が中心でした。熱狂的な野球ファンが贔屓の球団を応援に行くというスタイル。

しかし、現在では女性の観戦も増えていき、カープ女子なんて言葉が生まれるほどに。その結果どうなるかというと、野球というコンテンツを通じて野球場がコミュニケーションの場となります。
野球というスポーツがビジネス上優れている理由は、「試合数」と「間のスポーツ」であることだと思います。

三時間の試合があって、実働してるのは一時間くらいで、行った人同士でコミュニケーションが取りやすいスポーツなんですよね。野球観戦デートはあっても、サッカーってあまりないというか。
イギリスでプレミアリーグを見に行ったのですが、観客はガチ勢しかいません。みんな飲み食いとか全くしない。そのため関係消費という側面は薄いと言えます。

これと同じことが競馬や競艇にも言えます。昨今ではコミュニケーションとして活用されるようになりました。

次に企業戦略として関係消費を持ち込んで成功している事例。
ジャパネットたかたのサービスでグルメ宅配便というものがありますが、こちらは月に一回、すき焼きなどが届くというサービスです。
インサイトとして、その月一回の宅配を口実に子供や孫に会えるというものがあります。ちなみに月1回で8,980円。
「モノ」単体の価値よりも、それを通じて生まれる人間関係的幸福に人はお金を払うのだと思います。

極論、女性にモテない高級車など論外ということです(笑)

メンズ脱毛は、事業開始の時点では非関係消費だったのですが、広告のコミュニケーションによって関係消費に移行(したように見える)例です。

最近のメンズ脱毛広告は、エロい女性が「パイパンにさせてください❤️」みたいな発言をしているものがよく流れています。
脱毛というどの会社も似たり寄ったりになるサービスに、「(女性との)関係価値」を匂わせることによって付加価値の増大につながっています。

モノだけを売るのではなく、その先にある人間関係の充足を売っていくことが付加価値をあげるポイントだと考えさせられました。

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