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南の島のお部屋

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#海

自由な海の世界

自由な海の世界

その夏の日、ウサギとカメは白砂の前浜ビーチを背にして、来間島へと泳ぎ出した。宮古島の陽射しは力強く、波はエメラルドブルーに輝き、その光は海の深くまで届いていた。

カメは波に揺られながら、その美しい景色に心を奪われていた。ウサギは静かに彼の隣を泳ぎ、二人はまるで夢の中にいるかのように、穏やかな時間を共有していた。

彼は右、左とストロークを繰り出しながら、顔をあげて来間島の位置を確認した。水中では

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日本最南端の図書館

日本最南端の図書館

ブルーの海に囲まれた南の島で、ウサギとカメはサンゴ礁や熱帯魚との出会いに心を躍らせていた。海を後にした二人は、温かな日差しを背にして車で南へ向かった。冬とは思えない暖かさに包まれ、二人は海の風を感じながら、海人の半袖シャツを選んでいた。

石垣市街地に着いたウサギとカメは、ビーチサンダルを履きながら、のんびりと街を散策し始めた。二人の目に飛び込んできたのは、交差点の脇にある、青く「730」と書かれ

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二人だけの海

二人だけの海

波照間島で過ごした星空の夜は、ウサギとカメにとって時間が止まるような体験だった。目を閉じれば今でも、瞼の裏には満天の星があざやかに蘇る。

翌朝は波が穏やかになり、ウサギとカメは波照間島から石垣島へ向かう船の中にいた。ウサギは「泡波」という珍しい泡盛を愛おしそうに抱えていて、「波照間といえば、これがなくちゃね」と、どこか遠い世界を思い浮かべるようにつぶやいた。

石垣島に到着した二人は、車で島を北

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心地よい風の中で

心地よい風の中で

夕映えの西表島で、冬の柔らかな残光が恋人たちのささやきのように降り注いでいた。
白い砂浜には誰の足跡もなく、ウサギとカメはそっと寄り添いながら歩いていた。二人は時折立ち止まり、彩り豊かな貝殻を拾い集めながら、海風に髪をなびかせていた。

ウサギがカメを見つめて、「ここにいると、時間が流れるのを忘れてしまうわね」と囁けば、彼は優しく微笑みながら「本当だね。
ここでは時間がゆっくりと流れている」と、言

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