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「死にたい」を繰り返す私 【小説 1148文字】


自殺を推奨している訳では
ありません。
不適切な表現があります。
物語として読んで頂ければ
幸いです。


薬を飲んでも改善されない。
世の中すべてが敵に見える。

布団と病院しか居場所はない。

母親として子供達の
お弁当を作ることも
保護者会に出席する事もできない。

駄目な母親。
駄目な人間。

まだ未成年の子供達に
日々謝り、
「ごめん」「死にたい」
「楽になりたい」「殺して」
と繰り返す私。

子供は、何も言わず
姉弟で、買い物にいき
食事や弁当を作る。

普通の事ができない自分。
普通の母親になれない自分。

「死にたい」と
SNSで呟く。
スグに「イイね」が付き

「がんばって!」
「治るよ」
「大丈夫」
「応援してる」
コメントがつく。
みんな素敵なコメントだ。
しかし、私には
突き放されているような感覚がある。

「4ねば?」
「かまってちゃん乙」
「社会のゴミ」
「死ね」
辛いコメントも書かれている。
ああ…やっぱり私は
死ぬ方がいいのだ。
それが子供の為であり
社会の為になる。


朝の忙しい時間。
子供達は自分達で作った
朝食を頬張っている。

私の為にも冷蔵庫に
入っているから、体調が
良さそうなら食べて
と言われて、
自分が情けなくて涙が
出てきた。


泣いてる私に慣れている
子供達は、特に気にする事は
ないようだった。

「ママ、死んでもいい?」
二人に問いかける。

二人は顔を見合わせてから
「いいよ。」
「いつにする?」
と答えた。

「ママが死ぬなら、私も死ぬよ」
「俺も一緒に死ぬから安心しろよ」

悲しくて流した涙が
嬉し涙に変わった。

「ごッ…めん」
うまく発せられない言葉。

「え~ごめんじゃなくて
『ありがとう』って言ってよ」
と笑う娘。

「いつにする?方法決めた?」
何故か、はしゃぐ息子。


まっすぐな瞳で私を見る子供達。


「ごめん」
呟いた。
「ありがとう」
声が掠れてた。


「絶対1人で死なないでよね」
「ママ絶対自殺失敗しそう(笑)」
二人は日常会話の様に続ける。

「あっ!ママ勝手に自殺したら、
失敗するよね!」
「するする。死にたい人ほど
死ねないからね~。」
笑いながら会話を続けている。

冗談でも「一緒に」なんて
言ってくれる子供達。


「もう少し、考える」
自分の意思を主張するほどの
強い自殺願望は薄れていた。

イスに座った私に
あたたかいジャスミン茶を
出してくれる娘。


あたたかいジャスミン茶は
自律神経に効き目があると
先生から教えてもらって
買いに行った。


あたたかいジャスミン茶が
喉を潤し、
胃の中でポカポカとしてきた。


朝食の目玉焼きを食べながら
息子が私に
「ママが自殺失敗したら、
延命装置で120歳まで強制的に
生きさせるから」
と笑いながら言った。

「それ、残酷過ぎでしょ」
私は、つい笑ってしまった。


いつでも死ねる。
いつでも死ねるんだ。



もし子供達が、死にたくなったら
私も「一緒に死ぬよ」って
言ってあげよう。


両手で持ったマグカップと
私の体と心はポカポカとしていた。

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