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「巻き込む」考え方に終止符を!

まちづくりやビジネスにおいて、「巻き込む」という言葉はよく使われます。
「住民を巻き込む」「ユーザーを巻き込む」「協力者を巻き込む」
・・・このように考えている人・組織から、あなたは巻き込まれたいですか?

私は、絶対に巻き込まれたくないです!!(笑)

「巻き込む」の意味

「巻き込む」とは、巻いて中に入れる意です。
事件、紛争、喧嘩などの場合は、関係をもたせて引き入れるという意味になります。
良くない事態について多く用いる言葉です。

なのに、「人に来てもらいたい」「集まってもらいたい」「利用してもらいたい」などと考えるときに、なぜか「巻き込む」って言ってしまうのが普通だと思います。

巻き込むと、あとが大変!

例えば、そのイベントに参加してもらえさえできれば良いのであれば、文字通り・意味通り「巻き込む」です。特に単発イベントの場合はそうです。

しかし、本当はこうではありませんか?
❶参加してもらう。
❷思いや課題、価値観、人間関係などを共有する。
❸一緒に味方になってもらう。理解者・協力者になってもらう。

活動や学びの原理は「主体性」にあります。
「巻き込む」という考え方で巻き込んだ相手の主体性を育むのは、物凄くテクニックが必要です!!
だから、「巻き込む」という考え方を改め、主体性を育む言葉と行動をシンクロさせていくことが、とても大切になります。

「巻き込む」の言い換え

「巻き込む!」と思っている人の真意は、他者の主体的な動きを育むことにあります。
例えば、
「私も共感した!一緒にやってみたい!!」
「なるほど、自分でもそのように行動してみよう!」
「楽しいな!私もお手伝いしてみようかな」
といったことを思ってもらいたくて、巻き込もうとしているはずです。

ですので、他者が上記のように思ってもらうための「動機付け」を本来したいはずなのです。
もちろん、相手方に対して「参加者を巻き込もうと思っています!」などと直接言わないことと同様、「参加者の皆さんへ動機付けしようと思っているんです!」などと直接言うことは決してありません。
しかし、自分を中心にした「巻き込もう」という考え方と、
他者を中心にした「動機付けをしたい」という考え方は、
全く違うものです。
それは、態度や行動にも出てしまうでしょう。

繰り返しますが、他者の立場や思いを中心に考えることが重要なのです。
目的に向かって周囲の人を動かしていくこと自体は同じですが、他者の主体性を育むこと、つまり、動機付けできるか否かで、その後が大きく変わります。

他の言い換えとして、以下のようなことも考えられます。
◆働きかける
◆求心力
◆影響を与える
人に参加してもらう・集まってもらう・理解してもらうという意味では同じですが、中心はどこにありますでしょうか? 自分が中心になっていませんでしょうか?

巻き込むより、巻き込まれよう!

どうしても「巻き込む」という考え方から離れられないケースもたくさんあると思います。私も年に数回「巻き込む」って言ってしまうこともあります。
そこで、行動を見直すためにお伝えしたい言葉がこちらです。

例えば、「住民を巻き込みたい!」と思っている役所の職員さんがいるとします。
この職員さんは「役所の事業に住民に参加してもらいたい」と思っているはずです。
そのような方には「巻き込む」ではなく、まず自ら「巻き込まれる」という行動を選択することをオススメします。
例えば、住民の団体や自治会、Facebookなどのコミュニティなどに、自ら意図的に入ってみてはいかがでしょうか?
その方が、共感を得られる可能性がずっと高くなると思います。「住民の皆さんと何か一緒に取り組みたい」という思い自体は間違っていないのですから。
しかも、「行政目線で感じていた課題感」と「住民目線で感じられる課題感」の差異などにも気づけるはずです。

施設、店舗、スタジオ、学校など、拠点を持っている人も同じです。
その拠点に集まってもらいたいのなら、「巻き込む」ではなく、まず「(自ら)巻き込まれてみる」ことをオススメします。

余談(若者が来ない公民館)

余談ですが・・・
実際に、私は公民館を担当していた2010年頃に「若者が公民館に来ない」という課題がありました。
きっと集まるだろうと安易に思って「みんなで頑張るダイエット講座」を開講したら、10人しか集まらず、どんどんリタイアも・・・
そして、考え改めました。
「高校生Teacher講座」という高校生の部活動単位に呼び掛けて、プロから「教え方」を教わって、小学生相手に部活動体験イベントを企画・広報・主催する方法をとりました(私も高校生に伴走する形で「イベントの仕方」をお伝えしました)。
百数十名の高校生・小学生・保護者などが集まるイベントを数多く実施できました。
それには、私が、高校の学校教育に自ら巻き込まれに行って、高校の部活動や高校生のことを深く知り、関係性を作ることが必要でした。

高校生たちの笑顔や満足を見て感動しました。「人生で2番目の経験だった!」と言われたときには、胸がじーんとしました。
2番目というのがリアルに響きますよね(笑)

高校生Teacher講座「女子バレーボール部活動体験イベント」の様子

おわりに

私たちサステナブルタウンでは「地域に暮らす一人一人が環境・社会・経済にとって最良な選択を見つけられる”サステナブルな地域社会”を日本中にたくさん作る」ことをミッションに活動しています。

まちづくり活動全般

市民協働、官民共創、生涯学習、社会教育、住民主体、市民活動など

ローカルイベント学

講座、講演会、展示会、体験会、音楽会、フェアなど、プログラム作成・運営ノウハウなど

ソーシャルプロジェクト

コーディネート、コミュニティ活性化、ワークショップデザイン、ファシリテーションなど

オープンイノベーション・ソーシャルイノベーション

産官学民による共創など

サステナビリティ

SDGs、SX、DX、D&I、ダイバーシティマネジメント、ジェンダー平等、男女共同参画、多文化共生、ポートランドのまちづくりなど

観光・おもてなし・多文化共生

やさしい日本語、多言語音声翻訳、多言語対応など

公共施設建替え

ソフトづくり、協働・共創の関係づくりなど

オリンピック・パラリンピック等メガイベント

気運醸成、レガシー創出、プロジェクト支援など

さまざまな分野にて、2012年より、全国各地にて、その地域の課題に合わせてワークショップや講座、講演会等の内容・方法を考えて取り組んできました。
学びの力でより良い社会づくりを目指す活動を行う専門家として、これからもご要望に応じて取り組んでいきます。

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