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世界のランニングあれこれ

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私が自分の目で見てきた世界の陸上・ランニングについて書きます。
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#陸上長距離

駒澤大・佐藤圭汰選手のアメリカ・OACへのトレーニング参加について

駒澤大・佐藤圭汰選手のアメリカ・OACへのトレーニング参加について

5000mのU20日本記録(13:22.91)保持者である駒澤大の佐藤圭汰選手がアメリカ・コロラド州ボルダーを拠点に置くプロチームのOACの練習に参加しているので、OACとはどんなチームなのか、などについて以下にまとめる。

佐藤圭汰選手がOACのトレーニングに参加している様子。以下の内容の200mのトラックセッションの模様。

OAC(オンアスレティクスクラブ)とは

2021年9月15日にニュ

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1972年(50年前)のデーブ・ウォットルから2022年のクーパー・ティアに至るまで

1972年(50年前)のデーブ・ウォットルから2022年のクーパー・ティアに至るまで

トップ画(Joe Haleより)

現在、Twitterにて以下のプレゼントの応募を受け付けている。このツイートは7月29日のもので明後日の9月5日中に締め切って当選者を決めたい。

ところで、このポスターがモノクロなのは、1972年に撮影された以下の一番左の写真のオマージュだからである。

The iconic photo of Sid Sink and Dave Wottle was take

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男子10000mエチオピア選考会のハイライト動画と3人の日本人選手の結果(相澤晃、市田孝、伊藤達彦)

男子10000mエチオピア選考会のハイライト動画と3人の日本人選手の結果(相澤晃、市田孝、伊藤達彦)

2022年6月5日にオランダのヘンゲロで男子10000mのエチオピア選考会が開催された。これは、FBKゲームという国際陸上大会に付随したレースであるが、毎年この時期に世界大会のエチオピア選考会が開催されている。

エチオピアの中長距離選手達は、世界で最も高地であるという環境で試合が行われているが、高地の記録は平地よりも劣ってしまうため、標準記録の突破も兼ねて平地で10000mが開催されている。

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マラソンサブ2:05の選手を7名擁するケニア🇰🇪カプサベトの「2 Running Club」について

マラソンサブ2:05の選手を7名擁するケニア🇰🇪カプサベトの「2 Running Club」について

ケニア、エチオピア、ウガンダなどに拠点を持つNN Running Teamは、キプチョゲやその他のスター選手が所属していることから「世界最強の長距離チーム」だといわれている。そして、彼らは概ねナイキ契約の選手である。

それでは、アディダス契約の選手で構成された最強の長距離チームはどこか?男子マラソンでいえば、エチオピアの名コーチのGemedu Dedefoが率いるトレーニンググループが強豪チーム

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エリウド・キプチョゲ、マラソン16戦14勝

エリウド・キプチョゲ、マラソン16戦14勝

エリウド・キプチョゲのマラソンにおける強さを明らかにするための物差しの1つとして、東京マラソン2021の写真を以下に並べる。

NNのチームメイトをペーサーとして起用できるのは心強い。普段の練習相手が引っ張ってくれるのだから、安心してレースを走れているだろう。

この下の写真では上半身の逞しさがうかがえる。高いレベルの高速レースでペースを落とさずに走るためには下半身だけでなく上半身にも高い筋力が要

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BTCのグラント・フィッシャーの活躍:大事なのは過去の選手との比較でなく今の立ち位置

2022年の陸上の世界選手権はユージンで開催される。これは、アメリカで初の屋外の世界選手権開催である(室内では2016年にオレゴン州ポートランドで室内世界選手権が開催された)。

東京五輪の中長距離種目ではBTCの男女選手の活躍があった。

男子はモー・アーメドが5000mで銀メダル獲得。女子は3000mSCで2000mからのロングスパートで一時は金メダル獲得かと思わせたコートニー・フレリクスが銀

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男子マラソン選手の戦績と勝率が示すもの

男子マラソン選手の戦績と勝率が示すもの

エリウド・キプチョゲのマラソンにおける強さを明らかにするための物差しの1つとして、男子マラソン選手の戦績と勝率を以下に並べる。

男子マラソン選手の戦績と勝率 2022年3月時点

【参考までに】
・記録は年々向上しているが、勝率で見ると“強さ”がわかりやすい
・半世紀以上前の選手はA.ビキラを除いて除外(調べるのが大変...)
・キャリア6戦未満の選手は除外 / 勝率30%以上の選手のみを掲載

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東京マラソンと名古屋ウイメンズの海外招待選手

東京マラソンと名古屋ウイメンズの海外招待選手

楽しみですね。

特に、東京五輪以外でコロナ禍の日本のレースにおいて、世界トップクラスと日本人選手が対決することはなかったので、今日本のマラソンの記録水準が上がっていることを考えると、今回の東京マラソンと名古屋ウイメンズは良い試金石のレースになるだろう。

東京マラソン:ロンドンが秋にあることで男女ともに史上最強メンバーここ数年の東京マラソンが良い点は、もうなくなってしまったびわ湖や福岡国際とは違

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2022年のOnアスリートの展望と新スパイクの開発

2022年のOnアスリートの展望と新スパイクの開発

(トップ写真:https://www.on-running.com/より引用)

2022年1月11日に、今年の中長距離で「プーマとオンの時代がやってくるであろう」という趣旨のツイートをした。

ということで今回はオンについて書いてみる(記事執筆は2月上旬)

オンはマラソン選手も契約選手が多くいて、英国のクリス・トンプソンはユージン世界選手権の英国代表に内定しているがクラウドブームエコー3.0は

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五輪連覇を達成し今後はWMM全制覇を目指すエリウド・キプチョゲの最新ワークアウト

五輪連覇を達成し今後はWMM全制覇を目指すエリウド・キプチョゲの最新ワークアウト

★サムネイルの写真は2018年のベルリンマラソンでキプチョゲがマラソンの世界新を出したレースで私が撮影した1枚(後ろの集団にW.キプサング)

今回はいかにも目を惹きそうなキャッチーなタイトルがをつけてみたが、それでもマラソンで五輪連覇を達成し、今度はWMM全制覇を掲げているキプチョゲのトレーニング内容は多くのランナーの気になるところだろう。

アイルランドのフリーのスポーツジャーナリストであるC

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東京五輪陸上4日目:男子3000mSC決勝 / 三浦龍司🇯🇵はメダル獲得なるか? / 女子5000m決勝 / 廣中璃梨佳🇯🇵は日本人初の14分40秒台に突入するか?

東京五輪陸上4日目:男子3000mSC決勝 / 三浦龍司🇯🇵はメダル獲得なるか? / 女子5000m決勝 / 廣中璃梨佳🇯🇵は日本人初の14分40秒台に突入するか?

東京五輪も中盤に差し掛かり、陸上競技4日目は日本人選手が出場する決勝種目が男子3000mSCと女子5000mの2つある。

午前中には男子走幅跳で橋岡優輝が6位に入賞したが、本人はメダル獲得を目指していただけに悔しさも感じたことだろう。

しかし、今夜の決勝では特に、3000mSCの三浦龍司にメダル獲得の期待がかかっている。予選では1組2着とアフリカ勢相手に互角に勝負し、日本人初の8分1けたとなっ

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東京五輪陸上競技1日目(7月30日)の振り返り(男子3000mSC予選 / 女子5000m予選 / 10000m決勝)

東京五輪陸上競技1日目(7月30日)の振り返り(男子3000mSC予選 / 女子5000m予選 / 10000m決勝)

東京五輪の陸上競技が開幕し、日本勢では初日から男子3000mSCの三浦龍司が予選1組2着の日本新(8:09.92)で49年ぶりの予選突破という素晴らしい結果となった。

その他、中長距離種目では女子5000mで1組9着の廣中璃梨佳が自己新(14:55.87)で決勝進出。

陸上競技で最初の決勝種目の男子10000mではエチオピアのバレガが最後の1周を53.9でカバーしてシニアの世界大会で初優勝(2

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東京五輪陸上1日目:男子10000m決勝 / 相澤晃 / 伊藤達彦🇯🇵はアフリカ勢相手に善戦できるか。

東京五輪陸上1日目:男子10000m決勝 / 相澤晃 / 伊藤達彦🇯🇵はアフリカ勢相手に善戦できるか。

男子10000mは20世紀の終わりから21世紀にかけて金メダリストの世代交代があり、H.ゲブレセラシェ🇪🇹(エチオピア)K.ベケレ🇪🇹(エチオピア)モー・ファラー🇬🇧(イギリス)の3人の選手が五輪連覇を達成した種目。

前回王者のファラーは今回の出場権を得ることができなかったので、今回の五輪では新王者が生まれることとなる。

日本では2020年の暮れの日本選手権10000mの1日だけで

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東京五輪陸上1日目:女子5000m予選 / 萩谷楓 / 廣中璃梨佳 / 田中希実🇯🇵は予選通過なるか。

東京五輪陸上1日目:女子5000m予選 / 萩谷楓 / 廣中璃梨佳 / 田中希実🇯🇵は予選通過なるか。

女子5000mは1996年アトランタ五輪で志水見千子が当時の日本新の15:09.05で4位入賞を果たした種目である。

この4位という順位は、五輪トラック種目における日本人女子の1928年以降の最高順位だった = ロードやフィールド競技を除いて、1928年のアムステルダム五輪女子800m銀メダリストの人見絹枝以来、五輪のトラック種目での日本人のメダル獲得者はいない。

快挙ともいえるアトランタ五輪

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