地方財政ー経常収支比率と財政力指数

地方自治体の財政をみる指標として、経常収支比率と財政力指数がある。経常収支比率は高いほど、財政の硬直性を示している。つまり、経常収支が高い自治体は自由に政策を打ち出すことが難しくなっていると言えそうだ。財政力指数は高いほど、自主財源が強く、財政力があるとされる。指数が1になるとき、全ての政策が自身の財源によって運営されていることを示している。

さて、上記の図は横軸が財政力指数、縦軸が経常収支比率を表す散布図である。2000年から2015年のデータが全てプールされている。

まず経常収支比率は、多くの自治体が75%を超えていることに着目したい。75%を超えるとその組織の資金繰りはかなり厳しいと言われており、日本の地方自治体のほとんどはその基準に照らし合わせると大変厳しい状況にあると言うことがわかる。

そして財政力指数とのクロスでわかることは、高い財政力を誇っていても指数が1を超えない限りは経常収支比率が高いまま推移していると言うことである。言い換えるならば、財政力指数が1を越えない限り自由に政策を打ち出せない状況に地方自治体は置かれていることとなる。

単回帰ではあるが、いくつか回してみたら以下のような結果となった。

編集が面倒だったので、統計ソフトのアウトプットをそのまま載せる。すいません。


Y:経常収支比率 X:財政力指数

(1.のところ)プールの単回帰では、財政力指数は負の有意な結果となった。財政力が高い自治体ほど経常収支比率が低いと言うことを示す。あれ、さっきと言ってること違うじゃん。と言うことでパネル分析をして、年度ごとのトレンドを考慮してみよう。(その他の方法として、財政力指数が1以上の自治体と1未満の自治体を分けてダミーでコントロールするって言う方法もありうる)

(5.のところ)ハウスマン検定で固定効果が採用されたので、固定効果の結果が採用ということになります。

(2.のところ)案の定正の有意な結果となった。つまり、財政力がある自治体ほど、経常収支に余裕はない。(まぁほんとは有意じゃない方がありえるかなーとも期待していましたがね・・・財政力のたかによって経常収支は決まらないって方が綺麗な気はするので)

もちろん、この結果は単回帰ですので全面的に信頼すると言うことはできません。ただ、散布図の状況とパネルの単回帰を鑑みると、少なくとも財政力が高い自治体といえども自由に政策を打ち出すことができる状況にないとい言うことはいえそうかなと思われます。


中堅大学院生のすずひろくんです。小中高の成績は良くないけど、こんな奴がPh.D取れたら面白い!!と思い、進学しました。地方財政・公共政策が専門です。そんな院生を支援してもいいなーと思ったらぜひよろしくお願いします。