データドリブン・コンサルティング

楽天、国内大手ゲーム会社、トライトと3社で20年以上CMO/マーケティング責任者を歴任…

データドリブン・コンサルティング

楽天、国内大手ゲーム会社、トライトと3社で20年以上CMO/マーケティング責任者を歴任してきた堀内公博が立ち上げたコンサルティングファームです。 マーケティング、特に、デジタルマーケティングに関する情報を発信します。本物のマーケティングを知りたい方にはきっと役立つと思います。

マガジン

  • マーケティングのグローバル展開

    世界のGDPの5%としかシェアを持たない日本市場のみにビジネスを展開しても事業成長に限界は直ぐにやってきます。しかし、コモディティ化がするむ環境において、海外で顧客獲得をするためにはマーケティングの力が不可欠です。海外市場で日本企業がマーケティングをする際のポイントを議論します。

  • ブランドマネジメント戦略

    ブランドエクイティを向上させるためのブランドマネジメント戦略は、重要だと思いつつも、現実にはなかなか実行することが難しい領域です。特にデジタルマーケティングとの相性は悪いと思います。ブランディングとデジタルマーケの両立について悩んでいる方にお勧めです。

  • 多様化するデジタルマーケティング

    デジタルマーケティングは、新しいデジタルメディアの発展とともに進化し、多様化を続けています。その中には、一過性の流行で終わってしまうものから、スタンダードなマーケティング手法へ進化するものまでさまざまです。 ここでは、SNSマーケ、コンテンツマーケなど新たなマーケティング手法をどのように活用すべきかを検討しています。

  • マーケティングクリエイティブを創る

    マーケティングの成功の最後のキーを握るのはクリエイティブです。 デジタルマーケティングにはデジタル独自のクリエイティブ制作の思考法があります。単なる作業にならないデジタルマーケティングについて考えたい方に読んでいただければと思います。

  • CRMマーケティング成功の秘訣

    ロイヤリティプログラムやMAツールを導入したが思ったようにパフォーマンスが出せない企業が多く存在しています。CRMマーケティングの手法はまだまだ発展途上でメソッドが確立しているとは言えません。大規模な顧客DBを保有しているのに使いこなせていないと悩むマネジメントの方にお勧めの内容です。

最近の記事

(番外編)なぜ楽天のグローバル化が上手くいかなかったのか?

楽天の海外展開は当初の想定レベルで成功したのか?私が楽天を退職後大手ゲーム会社で米国に駐在していた期間(2012-2014年くらい)が、楽天がグローバル展開を本気で推進していた最盛期だと思います。その間、楽天はViberやebatesなど、数千億円規模で海外の様々な企業を買収していました。私は2011年の前半に退職したので、それ以降の内部情報は知りません。そのため、ここで述べることはアウトサイダーとしての私自身の見解に基づいており、内部の視点とは異なるかもしれないことはご了承

    • 現地に任せるか、グローバルでマネジメントするか?

      マルチローカル VS グローバル組織前回はモバイルアプリゲームの海外展開について話しました。モバイルアプリゲームはプラットフォーマーが多くの部分を整えてくれるため、マーケティング以外の準備はほとんど不要です。しかし、今回はより一般的なビジネスの海外展開におけるマーケティングチームの管理について話します。具体的には、マーケティングチームをグローバルに管理するべき場合と、マルチローカルに進めるべき場合についてです。これを説明するために、私が大手ゲーム会社でグローバルマーケティング

      • グローバルへのマーケティング展開

        日本でも海外でもマーケティングの基本は何も変わらない私のこれまでの経験から考えると、グローバルマーケティングを展開し、世界で通用するマーケティングを実施するにはいくつかの重要なポイントがあります。まず人材についてですが、パフォーマンスマーケティングの観点では、GoogleとMetaが世界的に中心的な役割を果たしていることが挙げられます。これにより、マーケティングツールの使用方法や各媒体の特性は国を問わずほぼ統一されています。そのため、このBlogでこれまで述べてきた基本的なデ

        • 国際本部って本当に必要?

          プロフェッショナルスキルで評価されるグローバル社会グローバルマーケティングについてまず話したいのは、組織体制のことです。私が海外のマーケターと話して感じるのは、専門的なスキルに対する厳しい評価です。日本以外の多くの国では、新卒時点から職種別の採用が基本です。そのため、スキルの高低は別として、個々の人材はその職種のプロフェッショナルであるか、またはプロフェッショナルになりたいと思って会社に入ってきます。この前提に立つと、当然上司や同僚を評価する際にも、その職種のプロフェッショナ

        (番外編)なぜ楽天のグローバル化が上手くいかなかったのか?

        マガジン

        • マーケティングのグローバル展開
          5本
        • ブランドマネジメント戦略
          2本
        • 多様化するデジタルマーケティング
          5本
        • マーケティングクリエイティブを創る
          3本
        • CRMマーケティング成功の秘訣
          5本
        • マーケティング人材の育成
          8本

        記事

          なぜ日本企業はグローバルなマーケティングができないのか?

          グローバル展開で苦労した体験から学んだこと大手ゲーム会社で、私はグローバルのマーケティング責任者として8年間活動しました。その間、日本企業が海外市場でグローバル企業(多くは米国企業)とどのように戦い、顧客を獲得するのかを必死で考え続けました。結果的に、私自身にグローバルでの成功したと言いきれる実績が残せたわけでもなく、そもそも自分をグローバル人材というほどの十分な英語力もないことを自覚しているので、このテーマでの執筆には迷いがありました。しかし、実際に経験したことから、成功の

          なぜ日本企業はグローバルなマーケティングができないのか?

          ブランドマネジメントの障害とその克服

          ブランドマネジメント=一貫性ブランドマネジメントを成功させるための重要な要素は、一貫性です。ブランドマネジメントとは、企業やブランドが行うすべての活動を通じて外部とのコミュニケーションを管理し、そのブランドの価値を高めていくことです。これには、まずブランドのあり方や姿を明確に定義し、それを企業内外のすべての関係者が理解し、行動に移すことが不可欠です。 製品やサービスの開発段階からマーケティングや営業活動に至るまで、すべての業務がブランドのメッセージや価値観を反映するようにす

          ブランドマネジメントの障害とその克服

          ブランドマネジメントとは?

          ブランドの価値=ブランドエクイティとは何か?ブランドマネジメントは、専門的なマーケティング分野であり、世界中にはこれを専門とする研究者が多数存在しています。したがって、私がここで述べる内容が、専門家から見れば稚拙な議論になる可能性もありますが、実務家としての視点から考えてみたいと思います。 まず、ブランドの定義についてですが、専門家によるとても複雑な定義が存在しますが、簡単に言えば、「ある企業、商品、またはサービスを他者と区別するための名称や記号」と言えます。例えば、一般的

          ブランドマネジメントとは?

          OOH

          デジタル化で再注目されるOOHOOH(Out of Home)広告は、屋外看板や交通広告(電車や駅の看板)などを指し、従来からある広告形態です。最近では、デジタル技術の進化により、従来の静止画から動画やインタラクティブなコンテンツに至る表現力が大幅に向上しました。例えば、渋谷のスクランブル交差点などで見られる大型LEDモニターがその一例です。 しかし、OOH広告の最大の問題は、オフラインメディア共通の効果のトラッキングが困難であることです。OOHも近年でこれまでの看板や紙の

          スポーツマーケティング

          デジタルマーケターにしては豊富(?)なスポーツマーケ経験私個人としてはスポーツ系のスポンサードマーケティングにはあまり積極的ではありませんが、楽天をはじめこれまでのキャリアを通じてそれなりに多くのスポーツスポンサーシップ系のプロジェクトに関わってきたので、その活用法などについて簡単に議論できればと思います。まず、私のスポーツマーケティングの経験の振り返りからしたいと思います。最初は楽天が東京ヴェルディのユニフォームのメインスポンサーとなったことでした。これは楽天市場の従量課金

          クリエイティブが疲弊した?

          マーケティングにおけるクリエイティブの疲弊という言葉は、主にSNSやディスプレイ広告などのパフォーマンスマーケティングにおいて使われることが多いです。具体的には、あるクリエイティブが一定期間にわたって良好な成果を上げていたにも関わらず、突然その効果が低下する現象を指します。この時、マーケティング担当者や広告主は、この劣化したパフォーマンスの原因を「クリエイティブの疲弊」として説明することがあります。 しかしながら、私は言葉がハッキリ言うと好きではありません。なぜなら、単にク

          クリエイティブが疲弊した?

          インフルエンサーマーケティング

          SNSやYoutubeから生まれた新しいメディア近年のマーケティングにおいて、インフルエンサーマーケティングは顕著な影響力を持つ手法です。従来から有名人による商品・サービスの推薦という手法は存在しましたが、ソーシャルメディアや動画プラットフォームの普及により、誰でも情報発信が可能になりました。これにより、従来の有名人中心から、一般の人がが自ら情報を発信し、製品やサービスを広める新しい形が生まれました。これは大きな拡散力とアピール力を持ち、従来の方法とは異なる新たなマーケティン

          インフルエンサーマーケティング

          コンテンツマーケティング

          中長期視点でMiddle Funnel向けに行うコンテンツマーケティングコンテンツマーケティングは、事業会社がオンライン上で自社のターゲット顧客に向けてコンテンツを作成し、配信することで、顧客との関係を築く手法です。この手法はメルマガやSNSでの情報配信との境界が曖昧であり、明確な定義が存在しません。私の解釈では、既存のCRM施策とは異なり、コンテンツマーケティングは即効性のある効果だけでなく、長期的な関係構築を重視する傾向があります。 私にとって、コンテンツマーケティング

          SNSマーケティング

          SNSにより情報拡散量が圧倒的に強化されたここまでで、最近のデジタルマーケティングのトレンドについては触れてこなかったので、それらについて私の考えを述べることにします。ただし、私自身の成功体験があまりないため、各手法についての注意点をまとめる程度の話として理解していただきたいです。 まず今回は、SNS系のマーケティングについて、まず取り上げます。FacebookやInstagram、X(旧Twitter)を使った方法です。FacebookやXはすでに登場してから20年以上経

          デジタルマーケティングのクリエイティブ戦略

          デジタルマーケティングのクリエイティブ制作3つのポイント以前、データドリブンマーケティングにおけるクリエイティブの考え方について語ったとき、私はUser Insightに過度に頼りすぎることが問題であると指摘しました。今回の議論もそのテーマにかなり重なるかもしれませんが、クリエイティブを考える際には避けて通れない話題ですので、再度振り返ってみたいと思います。 以前に紹介したように、マーケティングにおけるクリエイティブのアプローチでは、大まかに言って8割がロジック、残りの2割

          デジタルマーケティングのクリエイティブ戦略

          良いクリエイティブを創るには?

          クリエイティブ制作の8割はロジックで決まる私はアーティストでもコピーライターでもないので自分でクリエイティブを作ることはできません。しかし、マーケティングにおいてクリエイティブを理解する能力は重要であると考えています。私の経験から、クリエイティブに関わる能力は一定の割合でセンスに依存していますが、その割合が重要です。私の見解では、センスがないとできないことは2割程度であり、残りの8割はクリエイティブなセンスがなくても理解できるロジックの世界であると考えています。 私がアーテ

          良いクリエイティブを創るには?

          顧客情報の鮮度と密度を高める

          CRMの成果を改善するオールマイティな方法CRMの成功には、リピート顧客の増加が不可欠です。接触回数をただ増やすのではなく、各接触がリピート率を向上させる可能性を持つことが重要です。。MAツールやロイヤリティプログラムの適切な活用は、これを実現するための効果的な手段として考えられます。 今回は、リピート顧客を増大させる様々な手法に対してオールマイティに貢献できる素晴らしいポイントを議論したいと思います。それは顧客データベースの質についてです。具体的にはデータの新鮮さ(Upd

          顧客情報の鮮度と密度を高める