股関節への牽引療法。45秒間は牽引力をかけ続けよう!
📖 文献情報 と 抄録和訳
持続的な5分間の高強度長軸牽引モビライゼーションにおける下腸骨大腿靭帯のひずみの経時的変化
[背景・目的] 股関節ROMを増大させるために、股関節長軸牽引モビライゼーションを適用することがある。しかし、治療用量は、加える力の大きさ、振幅、方向、振動数、反復回数(セット)、治療時間によって特徴づけられるため、動員力の大きさだけでなく時間も考慮することが必要。
●目的:下腸骨靭帯にかかるひずみの経時的変化を分析すること。
[方法] デザイン実験動物を用いた横断的研究。セッティング解剖学研究室。参加者新鮮凍結死体9体(平均年齢75.6±7.8歳、N=13)の股関節13関節。介入オープンパック体位での高力牽引療法を5分間持続した。主要評価項目下腸骨大腿靭帯のひずみをマイクロミニチュア差動式可変リラクタンス変換器を用いて経時的に測定した。ひずみの測定は、最初の3分間は15秒ごとに、次の2分間は30秒ごとに行った。
[結果] ひずみの主な変化は、高荷重牽引療法の最初の1分間で生じた。下腸骨大腿靭帯のひずみが最も増加したのは最初の15秒であった(7.3±7.2%)。30秒後のひずみの増加は10.1±9.6%で、これは5分間の高荷重牽引療法終了時の総増加(20.2±8.5%)の半分であった。ひずみ測定における有意な変化は、45秒間の高荷重牽引療法で生じることが示された(F=18.11;P<.001)。
[結論] 5分間の高荷重牽引療法を行った場合、下腸骨大腿靭帯のひずみの大きな変化は、モビライゼーションの最初の1分間で生じた。関節包靭帯組織のひずみに有意な変化をもたらすには、高荷重牽引療法モビライゼーションを少なくとも45秒間持続させる必要がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
牽引療法というのは、学校では習った手技である。
だが、臨床上使う頻度が高いかというと、それではなかった。
その理由の1つが「現象がイメージしにくい」というものだった。
牽引力をかけた時に、どのような変化が関節やその周辺組織に及ぶのかがイメージしにくく、あまり意味がないように思われたからだ。
今回の抄読研究は、そのようなイメージを与えてくれる貴重なデータだった。
股関節の関節包靭帯が伸長される。
特に最初の1分間において。
筋による制限ではなく、関節包による関節可動域制限が疑われた際には、使ってみたい。
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