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スポーツ専門化と用語の定義

📖 文献情報 と 抄録和訳

マルチスポーツの経路は1種類だけか?早期アスリート育成におけるマルチスポーツへの関与に関するスコープ・レビュー

📕Ramsay, Gillian, Alexandra Mosher, and Joseph Baker. "Is There Just One Type of Multisport Pathway? A Scoping Review of Multisport Engagement in Early Athlete Development." Sports Medicine-Open 9.1 (2023): 96. https://doi.org/10.1186/s40798-023-00644-x
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🔑 Key points
🔹このスコーピングレビューでは、アスリート育成におけるマルチスポーツの経路を考慮したすべての公表された研究を検討した。
🔹その結果、マルチスポーツのパスウェイを説明するために複数の用語が使用されており、それらの用語の運用も異なっていることがわかった。
🔹このことは、マルチスポーツ経路がどのようなものか、また、どのようなメカニズムがこの経路を青少年アスリートにとってより有益なものにする可能性があるのかについて、混乱を招くことになる。
🔹本研究では、一般的に使用されているマルチスポーツの用語であるサンプリングと多様化を区別し、アスリートが関わる可能性のあるマルチスポーツの強度のレベルの違いを考慮することを提案する。

[背景・目的] マルチスポーツへの参加は、青少年育成の進路における専門性へのアンチテーゼとして位置づけられている。しかし、マルチスポーツの道筋を説明するためにさまざまな用語が使用されており、道筋がどのようなものであるべきかについて混乱を生じさせている可能性がある。このレビューでは、マルチスポーツのパスウェイを検討するすべての出版された研究について、用語に焦点を当て、どのように異なる用語がこの研究のさまざまな解釈につながったかを調査した。

[方法] 4つのデータベースから、2021年12月までに発表されたすべての査読付き研究を検索した。収録された論文はすべて全文が英語で、マルチスポーツ選手の取り組みに焦点を当てたものであった。

[結果] 合計で1974の抄録が適格性を審査され、その結果82の論文が本レビューに含まれた。一般的な結果では、ほとんどの研究が経験的なものであり(71%、n=58)、スポーツ専門化に至る具体的な経路を調査することを目的とした回顧的なアンケートを用いて、アスリート育成の経路を調べたものであった。しかし、マルチスポーツのアスリートは生涯に多くのスポーツをプレーするというコンセンサスがあるにもかかわらず、これらのスポーツがいつ、どの程度の強度(プレーか練習か)でプレーされているかについてはほとんど調査されていない。さらに、この経路を説明するために使用される用語に一貫性がないため、プラスまたはマイナスの効果をもたらす潜在的なメカニズムを理解することが困難になっている。

✅ 競技レベル軸と単一-複数軸を考慮した用語の定義の提案
①Diversification(多様化):競技レベルで、かつ複数スポーツの経験
②Sampling:レクレベルで、かつ複数スポーツの経験
③Specialization(専門化):競技レベルで、かつ単一スポーツの経験
④Specialized sampling:レクレベルで、かつ単一スポーツの経験

[結論] 多様化とサンプリングという重要な用語の違いを明確にすることが推奨され、プレーと練習のさまざまなレベルの強度に基づくマルチスポーツの発展における異なる道筋を表している可能性があるため、同義語とみなすべきではない。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

子路が言った。
「衛の君が、先生をお迎えして政治を為すなら、先生はまず何を第一にしますか」
先生(孔子)がおっしゃった。
「必ずや名を正さんか(まず必ず物の名前を正すことから始めるだろう)」

臨床研究とは、個人の前進を、人類全体で共有する営み。
そのなかで、大切なことがある。
それは、「名前」
これがあるから、「Aという現象」を、他者と「Aという現象」として共有することができる。
当たり前のことではあるが。

その中で、スポーツ専門化というのは、これまでの文献においては、競技レベルとレクレベルがごっちゃになっていたらしい。
これは、なかなか大きなことだと思う。
競技レベルでの経験と、レクレベルでの経験は、全然意味合いが違ってくるからだ。
競技レベルにおいては、真剣な、量的にも大きい、心理的なプレッシャーの中で営まれることが多い。
それはおそらく、スポーツ障害や競技レベルに大きな影響を与えるものになるだろう。
だが、レクレベルでは、どうだろう。
そこに響くほどの強さで、身体を打つことは少ないのではあるまいか。

その部分に切り込んだ今回の抄読研究は、重要なものだと感じた。
まず、その言葉の定義を明らかに知ること、示すこと、考えること。
それは大事なことだ。

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