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コーヒーの適量。死亡率と摂取量にU字関係

📖 文献情報 と 抄録和訳

砂糖入り、人工甘味料入り、無糖のコーヒー摂取と全死亡および特定原因による死亡との関連性。大規模前向きコホート研究

📕Liu, Dan, et al. "Association of Sugar-Sweetened, Artificially Sweetened, and Unsweetened Coffee Consumption With All-Cause and Cause-Specific Mortality: A Large Prospective Cohort Study." Annals of Internal Medicine (2022). https://doi.org/10.7326/M21-2977
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[背景・目的] これまでの観察研究では、コーヒー摂取と死亡リスク低減との関連が示唆されているが、これらの研究では、砂糖や人工甘味料を含むコーヒー摂取と含まないコーヒー摂取を区別していない。目的:砂糖入り、人工甘味料入り、無糖のコーヒーの摂取と全死亡および原因別死亡率との関連を評価すること。

[方法] デザイン:前向きコホート研究。設定。UK Biobankからデータを抽出した。参加者ベースラインで心血管疾患(CVD)またはがんを発症していない合計171 616人(平均年齢、55.6歳[SD、7.9])を対象とした。UK Biobankのベースラインの人口統計学的データ、ライフスタイル、食事データを使用し、フォローアップは2009年に開始し、2018年に終了した。砂糖入り、人工甘味料入り、無糖のコーヒーの摂取量は自己申告とした。全死亡,がん関連死亡,CVD関連死亡を推定した。

[結果] 中央値7.0年の追跡期間中に、3177人の死亡が記録された(がん死亡1725人、CVD死亡628人を含む)。罰則付きスプラインを用いたCoxモデルにより、無糖コーヒー、加糖コーヒー、人工甘味料入りコーヒーの死亡率とのU字型の関連性が示された(下表参照)。

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人工甘味料入りのコーヒーと死亡率との関連は、あまり一貫していなかった。コーヒー飲用とがんおよびCVDによる死亡率との関連は、全死因死亡率との関連とほぼ一致していた。U字型の関連は、インスタントコーヒー、粉コーヒー、カフェインレスコーヒーでも観察された。

[結論] 無糖および加糖コーヒーの適度な摂取は、死亡リスクの低下と関連していた。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

アイントシュルツの法則というものがある。

✅ アイントシュルツの法則とは?
弱い刺激をすることで神経機能を喚起し、中程度の刺激で神経機能を興奮させ、強い刺激は神経機能を抑制し、最強度の刺激で静止する方法である。
~Wiki~

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コーヒー摂取量と死亡率の関係を考えたときに、以下のことが言えるようだ
・少なすぎると効果は少ない
・多すぎるとむしろ弊害である

これが、U字型(or 逆U字型)の関係性の特徴だ。
U字型の関係性を示す場合、適応は「1点」になる。
少なすぎても、多すぎてもいけないわけなので。

一方、増大型の関係性もある。
量が増えることでアウトカムが漸増し続ける、少なくとも減ることはない、という関係性。
たとえば、身体活動量と健康アウトカムはおおむねこの傾向と言えるかもしれない(あまりにも過多は禁だろうが・・・)。
この場合、適応は「境界点以上」となる。

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U字型、増大型では、教育の方法が異なってくる。
U字型:「コーヒーは1日2-3杯飲んでください。多くても、少なくてもいけません」
増大型:「1日3000歩以上歩いてください。多い分には問題ありません」
そして、U字型の場合の方がモニタリングの重要性が大きくなることが予測される。

リハビリテーションの提供量と改善度の関係性は、このどちらだろう。
今のところ、増大型の印象を受けているが、希望的観測だろうか。
U字型の可能性も頭の片隅に置きながら、文献抄読や研究にあたろう。

思うに、適度な運動は人を健康にさせ、また快適さを感じさせるものである。
サミュエル・スマイルズ『自助論』

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