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脳卒中 × Obesity Paradox。低体重が転帰不良のリスク

📖 文献情報 と 抄録和訳

肥満度が虚血性脳卒中および出血性脳卒中の転帰に及ぼす臨床的影響

📕Miwa, Kaori, et al. "Clinical impact of body mass index on outcomes of ischemic and hemorrhagic strokes." International Journal of Stroke (2024): 17474930241249370. https://doi.org/10.1177/17474930241249370
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 急性虚血性脳卒中および出血性脳卒中後の臨床転帰における体格指数(body mass index, BMI)の予後への影響を検討すること。

[方法] 対象は、2006年1月から2020年12月までの間に急性期脳卒中を発症し、日本脳卒中データバンク(病院ベースの多施設脳卒中登録データベース)に登録された成人患者で、ベースラインの体重と身長のデータが入手可能な患者とした。アウトカム評価項目は、退院時の修正ランキンスケール(mRS)スコア5~6、良好転帰(mRS0~2)と定義された不良転帰、および院内死亡率であった。BMIカテゴリー(低体重、標準体重、過体重、クラスI肥満、クラスII肥満;18.5未満、18.5~23.0、23.0~25.0、25~30、30kg/m2未満)と転帰の関係を明らかにするため、共変量で調整した後、混合効果ロジスティック回帰分析を行った。

[結果] 56,230例が脳梗塞(IS,n=43,668),脳出血(ICH,n=9741),くも膜下出血(SAH,n=2821)のいずれかの群に割り付けられた。BMI 18.5未満の低体重は、脳梗塞と各病型(心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞)や脳出血での症状の経過不良のリスクを約1.4~2.3倍に高めた。アテローム血栓性脳梗塞では、BMIと経過不良にU字型の関連がみられ、症状経過の不良のリスクは、低体重の人では約1.5倍、肥満(2度)の人では約1.4倍にそれぞれ上昇した。低体重は、とくに重症の脳梗塞や再灌流療法後での経過不良のリスクを約1.4倍に高めた。BMI 23~25の過体重や、80歳以上の高齢者でのBMI 25~30の肥満(1度)のグループは、脳梗塞後の経過不良のリスクが9~17%低下し、「肥満のパラドックス」がみられた

[結論] BMIは脳梗塞および脳出血後の機能的転帰に大きく影響する。BMIの低値は脳卒中後の障害と死亡率に一貫して影響し、BMIの高値は大動脈脳卒中後のこれらの転帰に同様に影響した。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

『Obesity paradox』とは・・・?

太っている人と、太っていない人、長生きするのはどちらですか?
1+1=2と同じくらいの難易度で、即「太っていない人」と答えるだろう。
だからこそ、われわれはいつも、より効率的・効果的な減量方法を探っているのだろう。

だが、慢性腎不全者、透析患者においては、その直感に矛盾が起きる。
太っているほど、死亡率が低いという事実が明らかになったのだ。

📕Speakman, et al. Blood purification 29.2 (2010): 150-157. https://doi.org/10.1159/000245642

そして、今回の論文はその『Obesity paradox』が脳卒中後の転帰にも当てはまったという事実を報告している。
Less is moreは、脳卒中患者には該当しないようだ。
僕たちは、肥満以上に低体重に対して敏感になった方がいいのかもしれない。

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