Rehabilitation Potential。可能性を狭めているものとは?
📖 文献情報 と 抄録和訳
リハビリテーションの可能性： その意味と妥当性に関する批判的レビュー
📕Wade, Derick T. "Rehabilitation potential: A critical review of its meaning and validity." Clinical Rehabilitation 37.7 (2023): 869-875. https://doi.org/10.1177/02692155221147606
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■ Rehabilitation Potential；リハビリテーションの可能性 ~プロローグ~
急性疾患や怪我から回復段階の高齢患者に「リハビリの可能性がない」、あるいは「リハビリに適さない」「基準を満たしていない」と言うとき、私たちは本当は何を言いたいのだろうか？
患者よりも医療者や組織のニーズを満たすために作られた規則や儀式を持つ、システムの不十分な資源についてなのだろうか？
患者の能力に関する神話や偏見に基づいた決定や態度なのだろうか？
■ リハ可能性の認識問題❶：予後予測とリハ効果が混同
・リハビリテーションの可能性という表現が、「予後予測と結果測定という 2 つの異なるが相互に関連する概念」を包含していることが判明した
■ リハ可能性の認識問題❷：リハ効果の認識が狭すぎる
・リハビリテーションの最終的な目標は、社会的役割機能と患者の生活の質に関するものである 。
・移動能力の向上やセルフケアの自立といった機能的な目標は、特に障害の急性発症や再発後の初期段階においては、長期的な目標に向かって前進するのに役立ち、関連性がある。とはいえ、患者は身の回りの世話の自立を気にかけるが、最も関心が高いのは、家族やパートナーとの関係、住居の手配、社会的接触といった成果である。
・感情的苦痛の軽減、疼痛のコントロール、社会的統合のための地域交通手段や場の特定など、生活の質や社会的関与を改善する方法は他にもたくさんある。
・さらに、リハビリテーションを必要とし、リハビリテーションを受けている人のほとんどは、病状が安定しているか、悪化している。このような患者は、測定可能な機能改善はわずかであることが多いとしても、リハビリテーションの恩恵を受けることができる。実際、病状が悪化している患者の場合、その目標は通常、予想される損失を減らすことである。
🌱 So What?：何が面白いと感じたか？
本当に、本当に、本当にこれは臨床現場あるあるだと思った。
「この方、リハビリ適応じゃないよね？」
これは、臨床現場の特にスタッフ同士で話される頻出会話だと思う。
僕は思うのだが、しばしばこの言葉は「白旗宣言」と受け取ることができる。
つまり、「この方、僕は良くできないと思う」という言葉と同義だと。
そして、その根底には今回の文献抄読で紹介したような２つの認識問題が隠れている。
予後予測とリハ効果の認識問題。
例えば、その方自身の身体機能は落ち続ける予後予測が立ったとしても、その加速度を減速させることができるなら、その差分はリハ効果と認識できるだろう。
リハ効果の認識が狭すぎる。
なぜ、身体機能を良くできる可能性が低いことが、そのままリハ効果が出せない、ということになるのだろう。
それは、セラピスト自身のリハビリテーションに対する理解や認識が、狭く狭くなってしまっているからに他ならない。
リハビリの可能性（Rehabilitation Potential）を狭めてしまっているのは、僕たち自身の認識の狭さに由来するものも多分にあるかもしれない。
「この方、リハビリ適応なのかな？」と思ったら、以下の２つのことを思おう。
❶それは、予後予測をリハ効果と混同していないか？
❷それは、お前自身が持っているリハ効果の窓の狭さに由来していないか？
リハビリテーションの多様な可能性を信じている。
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