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CI療法の是非。患者はどう思っている?

📖 文献情報 と 抄録和訳

CI療法の受容性:知覚された難易度と期待される治療結果の影響

📕Andrabi, Mudasir, et al. "Acceptability of constraint induced movement therapy: influence of perceived difficulty and expected treatment outcome." Topics in Stroke Rehabilitation 29.7 (2022): 507-515. https://doi.org/10.1080/10749357.2021.1956046
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※ Connected Papersとは? >>> note.

✅ 前提知識:CI療法とは?
・CI療法は、リハビリテーションの方法論である。
・脳卒中の片麻痺患者に対して、非麻痺側手の使用を三角巾やミットなどで制限して(constraint)、麻痺側上肢を使用する動作を練習するものである。
・患者が成功の報酬を得られる様に課題の難易度を進捗に応じて段階的に設定する(shaping)。
・発症後1年以上の患者でも、手関節と手指伸展が10度以上可能であれば、手指機能が改善することが示唆された(📕Taub, 1993 >>> pubmed.)。

🌍 参考サイト >>> site.

[背景] CI療法は、脳卒中後の上肢片麻痺のリハビリテーションに有効であるというエビデンスがある。しかし、米国ではまだ広く使われていない。その理由の1つは、脳卒中患者を対象とした研究において、参加者がCI療法に直接触れる機会がほとんどない、あるいは全くないことが報告されており、その難しさを認識していることにあるようだ。
●目的:実際にCI療法を受けた慢性脳卒中患者によるCI療法の難易度に関する認識を評価する。

[方法] CI療法に関する2つのランダム化比較試験のデータについて、二次解析を行った。参加者は、脳卒中後の慢性的な軽度から中等度の上肢片麻痺を有していた。運動活動記録とWolf運動機能テストが、より影響を受けた腕の運動機能の測定に用いられた。患者意見調査により、参加者の難易度の認識と治療に対する満足度を評価した。

[結果] 参加者(N = 40)は、治療後、より影響を受けた上肢の運動機能に大きな改善を示した(p <001)。CI療法は、治療前に参加者が中程度の難易度と認識していた(4.4/7 points)。治療後、その難易度は低下した(平均3.7、p = 0.002)。さらに、参加者は自分の結果に非常に満足していた(6.3/7 points)。満足度は、日常生活におけるより患側の上肢の使用の改善と正の相関があった(ΔR2 = .3, p < .001)。

[結論] 実際にCI療法を受けた脳卒中慢性期サバイバーは、CI療法は中程度の難易度であると認識し、高い満足度を示している。その受容性についての否定的な見解は、再考の余地がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

最近、重要視されている視点にPROMとPREMがある。

● Patient-Reported Outcome Measure: PROM
患者による症状・医療行為の主観的な評価
例. QOLであればEQ-5D、AQoL、症状であれば、疼痛ならNPRS、疲労感ならFSS

● Patient-Reported Experience Measure: PREM
患者に経験したことを報告してもらうこと
例. 待合での待ち時間は長かったですか?や医師が言ったことをどれくらい理解できましたか?

つまり、医療者が患者をどう評価したか、ではなくて、患者自身がどう感じ、どう思ったか。
医療者の行いのすべては、PROM or PREMをよりよくすることに収束していくことが望ましい。客観的に「関節可動域が10度上がりましたよ!!!」と言っても、顧客である患者側が「So What?(だから何?)」では治療としての意義を果たしたとは言えないだろう。すべての介入において、PROM & PREMの視点を持ちたい。

今回の研究においては、CI療法という、一見患者側の負担が大きそうな療法について、PROM、PREMの評価をして、主に肯定的な意見であることを明らかにした。
こうした治療であれば、より安心して臨床導入することができる。
何か新規な治療や取り組みをした際には、PROMとPREMの視点は忘れずにいたいものだ。

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