歩数測定の適応
📖 文献情報 と 抄録和訳
病院における消費者向け身体活動モニターの使用に関する患者選択の改善
[背景・目的] 入院患者にとってベッドレストは有害であり、消費者グレードの身体活動モニターは患者の歩行をモニターするための経済的なソリューションである。しかし、これらの機器は、頻繁に非常にゆっくりと歩行する衰弱した入院患者では正確でない可能性がある。目的:身体能力を測定することで、ウェアラブル身体活動モニターが歩数を正確に測定できる入院患者を特定できるかどうかを判断すること。
[方法] 急性神経症を有する成人入院患者54名を対象とした前向き観察研究。患者は2つの身体能力評価(Activity Measure for Post-Acute Care Inpatient Mobility Short Form [AM-PAC IMSF] およびKatz Activities of Daily Living [ADL] scale)を用いて評価された。また、消費者グレードの身体活動モニターを装着して2分間歩行テスト(2-minute walk test, 2MWT)を実施した。
[結果] ウェアラブル活動量計は、33名(61%)の入院患者の歩数(開始)を記録し、歩行速度が0.43m/s以上の入院患者の94%で記録された。身体能力評価は歩行速度と良好な相関があり、AM-PAC IMSF r = 0.7、Katz ADL r = 0.6, p < 0.05. 身体活動モニターを開始したとき、装置で計算した歩数と観察した歩数を比較した平均絶対誤差率(SD)は10%であった(13)。AM-PAC IMSF(Tスコア>45)およびKatz ADL(>5)のカットオフスコアは、それぞれ94%と91%の感度で身体活動モニターが開始される入院患者を特定した。
[結論] AM-PACやKatz ADLなどの身体能力評価は、ウェアラブル身体活動モニターで移動能力を測定できる入院患者を特定するための有用かつ実現可能なスクリーニング戦略である可能性がある。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
何かを測ろうとするとき、『天井効果』と『床効果』というものを考慮する必要がある。
たとえば、健常中学生/高校生に対してFIMを測ろうとすることは、適切だろうか?
多くの場合、答えは『No』だろうと思う。
全員が満点となるから。
一方で、入院中の高齢者に対して100m走のタイムを測ろうとすることは、適切だろうか?
これも多くの場合、答えは『No』だ。
それは、全員が非計測(not applicable)となるから。
前者が天井効果、後者が床効果だ。
上記の例ほど極端であれば、判断は簡単だ。
だが、現実の世界は極度に二極化された世界ではない。
緩やかなグラデーション、その中のどこで線引きするか、それが問われる。
入院中の高齢者の中で、歩数測定の適応となる患者を選定することもその1つのお題だ。
我々が以前報告した研究では、『歩行自立』をその線引きにした。
今回は、AM-PACとKatz Indexを用いて高精度のスクリーニングツールを開発していた。
このツールも有用だろうが、もしかしたら日本にもっと馴染み深い評価尺度(FIMやBIなど)を用いて新たなツールを開発した方が有用かもしれない。
なんにせよ、「全員が全員、歩数を測ればいいというものではなく、適応者を明らかにする仕組みが必要」という視点を学べたことが収穫だと思っている。
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