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筋収縮で動く二足歩行ロボット


📖 文献情報 と 抄録和訳

骨格筋組織を動力源とするバイオハイブリッド二足歩行ロボット

📕Kinjo, Ryuki, et al. "Biohybrid bipedal robot powered by skeletal muscle tissue." Matter (2024). https://doi.org/10.1016/j.matt.2023.12.035
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[背景・目的] 近年、生体材料と人工物を組み合わせたバイオハイブリッドロボットが注目を集めている。これまで、これらのロボットでは前に進みながら旋回する大回りの旋回動作である、匍匐(ほふく)移動や魚類のようなヒレによる泳動しか行えていなかった。

[方法-結果] 培養骨格筋組織の収縮運動によって「柔軟な足」で屈曲して動く二足歩行バイオハイブリッドロボットを世界で初めて製作した。この研究で実現したロボットでは、一方を駆動足、もう一方を軸足に用いることで、ロボットボディの内側に旋回中心を設けることが可能になり、ヒトの二足歩行運動で観察される細やかな旋回運動を再現することに成功した。

[結論] この研究の成果は、バイオハイブリッドロボットの開発に加え、ヒトの運動メカニズムの理解につながる。薬剤添加時の運動改善効果解析、疾患時の病態解析など様々な状態での運動モデルとして、薬学や医学分野での適用が考えられる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

最近、こう思う。
機械は人間に近づき、人間は機械に近づいている。

機械は人間に近づいている。
これは、まさに今回の研究が開発したように、人間がつくりだす人工物が、どんどん生物の仕組みを精緻に再現する、あるいは新たな生物を作り出すような精度に近づいてきている。
今回の二足歩行ロボットも、歩行を主戦場とする理学療法士にとって、とても煌めいて見えた。
だが、よくよく考えると、これは機械なのか、それとも生物、生きているもの、といえるのか。
確かに脳は持っていない、だが脳を持っていない生物だって、いる。
生きものとは何か、その定義がぼんやりとしてくる。

人間は機械に近づいている。
人間の解明は日々進歩しており、その仕組みがミクロなレベルにまで明らかにされ始めている。

人間は、機械と同じかもしれない
緒方洪庵

江戸時代に述べられたこの言葉は、いよいよ現実のものとなりつつあるかもしれない。
何にせよ、技術進歩に相応する、倫理観が必要になることは確かだ。
少なくとも、自分自身がどう考えるか、その真を突き詰めておきたい。

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