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Dynamic CT。動作中の関節動態を把握


📖 文献情報 と 抄録和訳

体重負荷とリアルタイムの動作取得の組み合わせ

📕Buzzatti L, et al. Dynamic CT scanning of the knee: Combining weight bearing with real-time motion acquisition. Knee. 2023 Aug 17;44:130-141. https://doi.org/10.1016/j.knee.2023.07.014
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[背景・目的] 体重負荷時の下肢の画像診断は、高度な関節機能情報を得るために不可欠である。しかし、CT装置のベッド位置が水平であることが、このプロセスを妨げている。本研究の目的は、ダイナミックCT撮影時に水平姿勢で現実的な膝の体重負荷動作をシミュレートし、取得した画像を処理する装置の検証とテストを行うことである。

[方法] 健康なボランティア20名を対象に、体重の35%~55%(%BW)の負荷をかけた装置で、「起立スクワット」と「水平スクワット」を比較した。曲線の運動学的データと表面筋電図(sEMG)データの信頼性の指標として、クラス内相関係数(ICC)と測定標準誤差(SEM)を算出した。

その後、3人の健常ボランティアと3人の膝蓋大腿痛症候群患者を対象に、ダイナミックCT撮影時に本装置をテストした。それぞれの画像は、脛骨-結節-トロクリア・グルーブ距離、バイセクト・オフセット、膝蓋骨外側傾斜の指標を抽出するために処理された。

✅Dynamic CT撮影の様子(リンクで動画が見れます)
①撮影風景:https://www.thekneejournal.com/cms/10.1016/j.knee.2023.07.014/attachment/7637a409-1f8d-46b4-b8b0-0bfd33eef198/mmc1.mp4
②撮影されたCT動画:
https://www.thekneejournal.com/cms/10.1016/j.knee.2023.07.014/attachment/2209a17a-a42f-4b5d-9906-03a92c5f8cf6/mmc2.mp4

[結果]  sEMGでは、42%BWに相当する負荷で0.80(6.9)という最も高い平均ICC(SEM)が認められた。運動学的分析によると、ICCは、遠心性相(0.79~0.87)および最大屈曲から20°への戻し(0.76)において、42%BWの負荷で最も高かった。本装置は、ダイナミックCT画像の取得中も安全で信頼性が高いことが証明され、3つの指標が計算され、健常者と病的参加者の間に予備的な差異が示された。

[結論] 本装置は水平姿勢での起立スクワットを良好な信頼性でシミュレートできた。また、体重負荷運動中の動的CTスキャン画像と健常者と病的膝の運動学的パラメータを提供することにも成功した。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

X線、CT、MRI。
これらの画像というのは凄い。
だって、目に見えるはずのない、人体内部の構造が明らかになるのだ。
当たり前のようになっているが、これはまるで魔法だ。

だが、これらの方法には限界があると思っていた。
それは、いつだって“静的”であるということ。
たとえば疼痛は、動作中に起こる。
その動作中に関節動態がどうなっているか、を知りたいのだ。
だが、画像撮影では静的である上に、撮影可能な肢位が限定されることもある。

今回の研究は、そんな画像撮影の限界に風穴を開けうる。
ダイナミックCTという方法によって、動作中の関節動態が把握できる。
さらに体重をかけた状態でも。
これによって、動作中の疼痛誘発肢位において、関節内部で何が起こっているか、を目に見ることができるわけだ。
新たな大陸になるかもしれない。

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