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184カ国の2型糖尿病。70.3%が食事要因に起因

📖 文献情報 と 抄録和訳

184カ国における最適でない食事に起因する2型糖尿病罹患率

📕O’Hearn, Meghan, et al. "Incident type 2 diabetes attributable to suboptimal diet in 184 countries." Nature Medicine (2023): 1-14. https://doi.org/10.1038/s41591-023-02278-8
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[背景・目的] 食事に起因する2型糖尿病(type 2 diabetes, T2D)の世界的な負担は、十分に確立されていない。

[方法-結果] このリスク評価モデルでは、1990年と2018年の184カ国において、11の食事要因の直接的および体重媒介効果に起因する成人におけるT2D発症率を推定した。

■ T2D発症に起因する食事要因の最適でない摂取, 疫学 & 詳細
・2018年、これらの食事要因の最適でない摂取は、1410万(95%不確実性区間(uncertainty interval, UI)、1380万~1440万)のT2D発症に起因すると推定され、世界の新規発症の70.3%(68.8~71.8%)に相当した。
・最大のT2D負担は、全粒粉の摂取不足(26.1%(25.0-27.1%))、精白米および小麦の過剰摂取(24.6%(22.3-27.2%))、加工肉の過剰摂取(20.3%(18.3-23.5%))であった。

■ 食事起因性T2D, その他の解析
・地域別では、比例負担が最も高かったのは中央・東ヨーロッパと中央アジア(85.6%(83.4-87.7%))と中南米・カリブ海(81.8%(80.1-83.4%))で、比例負担が最も低かったのは南アジア(55.4%(52.1-60.7%))だった。
・食事起因性T2Dの割合は、一般的に女性よりも男性で大きく、年齢と逆相関があった。
・食事に起因するT2Dは、一般に都市住民と農村住民、高学歴者と低学歴者で大きかったが、高所得国、中央・東ヨーロッパ、中央アジアでは、農村住民と低学歴者で負担が大きくなっている。
・1990年と比較して、2018年の世界の食事起因性T2Dは2.6絶対%ポイント増加(860万例増加)し、これらの傾向は世界地域や食事要因によってばらつきがあった。

[結論] これらの知見は、食事の質を改善し、世界的にT2Dを減少させるための栄養の優先順位と臨床および公衆衛生計画に情報を提供します。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

僕たちには、“単純化本能”がある。
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込みがある。
積極的にそう思っていなかったとしても、そうである。

「いやいや、そんなことはない、私は。」

そうですか。
じゃあ、糖尿病とはどんな病気ですか?

「過剰に食品を摂取した結果、代謝障害が生じて・・・」

・・・、ね。
世界には、そうじゃない国だって、あるのだ。
過剰症ではなく、食事の不足に起因して生じている2型糖尿病が。
あるどころか、世界的な個別の要因で見たら、一位だ。
それが一番、メジャーな要因なのだ。
じゃあ、なぜあなたは先ほどのように答えたか?

そういう世界しか、その目で見ていないから。

当たり前のことだが、僕が生きていない世界が、ある。
どころか、僕以外が生きている世界は、すべて違う世界。
共通点はといえば、この地球上に、この瞬間に生きている、ということくらいか。
その中で、例えば2型糖尿病の食事要因でいえば過剰症しか見えていない。
表があれば裏がある。
光があれば闇あある。
+があれば−がある。
二極だけでは足りない。
この世界は無限の多面体だ。

その中で自分から見える世界のみにしか立脚できないということは、天動説だ。
僕は、どこまでも自分から違った世界に赴きたい、自分から動きたい、自分の見方を変えたい。
ガリレオガリレイのように。

でもね、さっきじっとクラゲを見ているうちに、私はふとこう思ったの。
私たちがこうして目にしている光景というのは、世界のほんの一部にすぎないんだってね。
私たちは習慣的にこれが世界だと思っているわけだけど、本当はそうじゃないの。
本当の世界はもっと暗くて深いところにあるし、その大半がクラゲみたいなもので占められているのよ。-私たちはそれを忘れてしまっているだけなのよ。そう思わない?
地球の表面の三分の二は海だし、私たちが肉眼で見ることのできるのは海面と言うただの皮膚にすぎないのよ。
その皮膚の下に本当にどんなものがあるのか、私たちはほとんど何も知らない

村上春樹. ねじまき鳥クロニクル

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