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記憶(内的記憶戦略)と 記録(外的記憶戦略)。加齢により記憶減 - 記録増

📖 文献情報 と 抄録和訳

高齢者における内的および外的記憶戦略使用の相関に関する系統的レビュー

📕 Pizzonia, Kendra L., and Julie A. Suhr. "Systematic Review of Correlates of Internal and External Memory Strategy Use in Older Adults." Journal of Applied Gerontology 41.5 (2022): 1491-1499. https://doi.org/10.1177/07334648211065427

🔗 DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 前提知識:内的記憶戦略と外的記憶戦略
記憶戦略は、内的記憶戦略と外的記憶戦略に分けることができる(📕Dixon, 1983 >>> doi.)。
■ 内的記憶戦略(記憶):リハーサルや視覚的イメージなどのメンタルエンコーディングまたは検索戦略が含まれる
■ 外部記憶戦略(記録):カレンダーの使用やメモの作成など、記憶機能をサポートする記憶補助
📕 Frankenmolen, Nikita L., et al. Aging Clinical and Experimental Research 29.5 (2017): 1061-1065. >>> doi.

[レビュー概要] 記憶戦略は、加齢に伴う自立を促進する。我々は、高齢者の内的および外的記憶戦略使用の相関と予測因子に関する文献を系統的にレビューした。同定された212件の論文のうち、29件が組み入れ基準に合致した。全体として、年齢の増加は、内的記憶戦略の使用は減少し、外的記憶戦略の使用は増加することと関連していた。女性は外的記憶戦略の使用をより多く報告したが、内的記憶戦略に関する知見はまちまちであった。臨床状態は、認知と内部および外部記憶戦略の使用との関係を変化させるようであった。記憶戦略の使用と教育、心理的機能、健康変数との関係については、さまざまな結果が得られた。今後の研究分野の特定に加え、介入のための一次予防戦略を開発し、成功した加齢を促進するための推奨事項を提供する。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

たとえば、とある理学療法士が以下のように考えていたらどう思う?

・脳卒中片麻痺を有する患者のこと
・下垂足が著名である
・運動麻痺によって支持性も低下している
・画像からも予後不良である
・だから、歩くのは諦めようと思っている

全員が、いうだろう。
装具、使えや。って。

これは笑い話かもしれないが、記憶においてはそんな状況が平気で見逃されている気がした。
・認知機能が低下している。
・それは、内的記憶戦略の低下のことを指している。
・そして、認知機能低下は歩行自立の最大の阻害要因の1つである(以下note)。
・だから、歩くのは諦めようと思っている。

今回の論文を読んで感じたことは、「記憶の補装具使えや」ってこと。
代替手段の科学。
記憶にも補装具がある。それを知った。
身体機能(内的記憶戦略)としての認知機能改善が難しそう。
そこを見極めて、現実的ゴールに支流する川も尊いだろう。
だが、そこを、なんとかするのがセラピストでは?、とも思われた。
認知機能低下の代替手段。真剣になろう、必死に勉強しよう。

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