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腎脳連関。CKDが脳出血リスクを増大

📖 文献情報 と 抄録和訳

慢性腎臓病と脳内出血のリスクとの関連性

📕Vanent, Kevin N., et al. "Association of Chronic Kidney Disease With Risk of Intracerebral Hemorrhage." JAMA neurology 79.9 (2022): 911-918. https://doi.org/10.1001/jamaneurol.2022.2299
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🔑 Key points
🔹Question:慢性腎臓病は自然発症の脳出血のリスクと関連があるか?
🔹2つの大規模研究のデータを用いた観察的解析の結果,慢性腎臓病は自然発症脳内出血のリスクが高いことが示され,遺伝的に決定された慢性腎臓病を評価するゲノム解析でもこの関連性が確認された。
🔹慢性腎臓病と自然発症脳出血の因果関係が示唆された

[背景・目的] 慢性腎臓病(chronic kidney disease, CKD)と自然発症脳内出血(intracerebral hemorrhage, ICH)の関連は,両疾患の合併症の可能性もあり,結論は出ていない.目的 :CKDとICHリスクとの関連性を検討する。

[方法] デザイン、設定、参加者:観察と遺伝子解析を組み合わせた3段階の研究を行った。まず、米国の多施設共同ケースコントロール研究であるEthnic/Racial Variations of Intracerebral Hemorrhage(ERICH)研究において、CKDとICHリスクの関連性を検証した。ERICHのCKDに関するデータが入手可能なすべての参加者を対象とした。次に、この解析は英国で進行中の人口調査であるUK Biobank(UKB)でも再現された。UKBのすべての参加者がこの研究に含まれた。第三に、UKBにおいて27のCKD関連遺伝子変異を用いてメンデルランダム化解析を実施し、遺伝的関連性を検証した。ERICHは、2010年8月1日から2017年8月1日まで実施し、1年間参加者を観察した。UKBは2006年から2010年にかけて参加者を登録し、30年間観察を継続する。データ解析は、2019年11月11日から2022年5月10日まで実施した。曝露 CKDステージ1~5。主なアウトカムと測定法:興味のあるアウトカムはICHで、ERICHでは神経画像の専門家によるレビューにより、UKBでは自己報告データと国際疾病統計分類第10版コードの組み合わせにより確認された。

[結果] ERICH試験では、ICH患者2914人と、CKDに関するデータが入手可能な対照者2954人が評価された(平均[SD]年齢、61.6[14.0]歳、女性2433人[41.5%]、男性3435人[58.5%])。CKDはICHリスクの高さと独立して関連していた(オッズ比[OR]、1.95;95%CI、1.35-2.89;P<0.001])。この関連は、人種や民族による変化はなかった。ICH患者1341人と対照者501 195人(平均[SD]年齢、56.5[8.1]歳、女性273 402人[54.4%]、男性229 134人[45.6%])のUKBにおける再現で、この関連性が確認された(OR, 1.28; 95% CI, 1.01-1.62; P = .04)。メンデルランダム化解析では、遺伝的に決定されたCKDがICHリスクと関連していることが示された(OR, 1.56; 95% CI, 1.13-2.16; P = 0.007)。

[結論と意義] 特徴や研究デザインが異なる2つの大規模観察研究に登録された研究参加者を対象に、観察分析と遺伝子分析を組み合わせたこの3段階研究では、CKDは一貫してICHの高いリスクと関連していた。メンデルランダム化分析により、この関連は因果関係であることが示唆された。この関連を媒介する特定の生物学的経路を同定するために、さらなる研究が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

2つの大規模観察研究、50万人以上を対象とした前向き研究、発症リスクだけでなく遺伝的な側面からも解析・・・。
JAMA、やば。
そのヤバい研究によって示されたのが『腎脳連関』
主に、「CKDが脳卒中リスクにつながる」という腎→脳の方向性の考え方。

著者が勤務する総合病院は、CKD患者への治療を主戦場とする病院。
ゆえにCKD患者が多いが、確かに脳卒中を合併する患者がたくさんいる。
少しだけ、仕組みを調べてみた。
以下のような影響があるようだった。

スライド2

- 血圧の変動→動脈硬化症
- 血管狭窄
- タンパク質のエネルギー浪費・血管平滑筋
- 白質高信号化
- Na変動
- 腸内細菌の転生 腸内毒素
📕Hanna, Ramy M., et al. Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases(2020): 105461. >>> doi.

以前、「腎筋連関」、CKD患者の筋萎縮メカニズムについて抄読した。

腎臓という、1つの臓器。
だが、身体から分離されているわけでない。
すべて海が繋がっているように、腎臓と脳だって、つながっている。
腎臓の問題、脳の問題。
連関というより、1つのことなのだろう。
日本海の汚染が、太平洋の汚染になるように。
CKD患者は、腎臓のことだけ考えればいいわけではないのだ。

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