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脊髄の長さ,厚さ,幅

📖 文献情報 と 抄録和訳

ヒト脊髄の測定と形態学的ランドマーク: 死体実験による研究

📕Nunès, A., Glaudot, G., Lété, A., Balci, A., Lengelé, B., Behets, C., & Jankovski, A. (2023). Measurements and morphometric landmarks of the human spinal cord: A cadaveric study. Clinical Anatomy, 36( 4), 631– 640. https://doi.org/10.1002/ca.24010
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[背景・目的] ヒトの脊髄(spinal cord, SC)の地形的な神経解剖学は、現在、隣接する椎骨に基づいている。この形態学的研究は、ヒトの脊髄セグメントの特徴を統計的に分析できるデータセットを開発することを目的としている。

[方法] 32個のヒトSCを解剖し(女性18人、男性14人)、個々のSCセグメントを同定した。前方および後方の長さ、厚さ、幅は、2人の検査者によって測定された。統計解析には、t検定、クラス内相関係数、ピアソン相関係数を用いた。

[結果] SC長は、男性より女性で有意に短かった。頸部拡大の頭側(C4)と尾側(T1/T2)の限界と最大幅(C6-C7)は、セグメントの幅と厚さを組み合わせて特定した。胸部のT2~T12は、セグメントの幅と厚みの値を用いて特定することができた。腰仙部の長さ(セグメントL2~S5)は、SC長や性別に関係なく、特に安定していた。腰椎の拡大は、セグメントL2とS1の間で厚みが増加し、L3、L4、L5のレベルで最大となることが特徴であったが、幅は有意に増加しなかった。S2からS5までのセグメントでは、幅と厚さは等しく、両者とも1mmずつ減少していた。

[結論] 32個のヒトSCの形態学的解析は、セグメントの測定値を統計的に解析できるデータセットを提供し、有意な結果をもたらした。幅と厚みを組み合わせたアプローチにより、臨床MRIにおけるSCセグメントの位置特定に有用なランドマークが得られた。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

Form follows Function(形態は機能に従う)
ルイス・サリヴァン

建築や工業におけるデザインを考える際の原則の1つだ。
「建築物や物体の形状は、意図された機能や目的に従え」というもの。
人体構造と機能を考える際には、これが逆転する。

Function follows Form(機能は形態に従う)

形態と力学的な原理を知れば、その機能がおのずとわかってくる。
今回、普段は目に見えない脊髄の構造が明らかにされた。
その構造は、全般的には頚椎と腰椎レベルで太くなるような構造をしていた。

太くなる、ということはどういうことか?
そこに路線(軸索)と発着所(シナプス)の数が多い、ということだと思う。
すなわち、大きな駅だ。
頚椎が東京であり、腰椎が大阪、というところだろうか。
そのレベルが何らかの病態により破壊されれば、被害は甚大なものになろう。

次に知りたいところとしては、白質、灰白質の比率だ。
それが脊椎レベルで分かれば、路線と発着所の比率が推察できる。
構造を知ることは、機能を知ることに近しい。
もっともっと、構造を知りたい。

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