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PTが好む、慢性疼痛者へのコミュニケーション8選

📖 文献情報 と 抄録和訳

慢性疼痛リハビリテーションにおいて理学療法士が使用する好ましいコミュニケーション戦略

📕Chapman, Chelsea R., Nathan T. Woo, and Katrina S. Maluf. "Preferred Communication Strategies Used by Physical Therapists in Chronic Pain Rehabilitation: A Qualitative Systematic Review and Meta-Synthesis." Physical therapy 102.9 (2022): pzac081. https://doi.org/10.1093/ptj/pzac081
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 慢性疼痛管理における効果的なコミュニケーション行動に関する明確性の欠如は、理学療法士による有能なコミュニケーションに依存する、心理学的情報に基づく理学療法アプローチを実施する上での障壁となっている。本研究は、疼痛リハビリテーションにおける好ましいコミュニケーション行動に関する概念的枠組みの開発に資するため、システマティックレビューおよびメタシンセシスを実施することを目的とした。

[方法] 理学療法士と慢性疼痛を有する成人との間の対人コミュニケーションに関する定性的および複合的な研究に関して、健康科学およびコミュニケーション科学の10個のデータベースを系統的に検索した。独立した2名の研究者が、Standards for Reporting Qualitative ResearchおよびStrengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiologyガイドラインに従って、コミュニケーションおよび研究の特徴に関する暗黙的・明示的な言及を含む引用を抽出した。個々の研究の方法論的質はCritical Appraisal Skills Programmeで評価し、エビデンスの質はGRADE-CERQualで評価した。帰納的主題統合は、各引用文をコード化し、記述的テーマを展開し、次に行動的に明確な分析的テーマを生成することによって実施された。

[結果] 346名の参加者を含む11の研究が含まれた。コミュニケーション用語の運用の具体性には大きなばらつきがあった。メタシンセシスにより、8つのコミュニケーションテーマが特定された:(1)情報開示、(2)ラポール構築、(3)共感、(4)協調、(5)専門的説明責任、(6)情報伝達、(7)議題設定、(8)メタコミュニケーション。また、利用可能なエビデンスの質から、信頼度は4テーマで中程度、4テーマで低レベルであった。

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[結論] 本研究では、慢性疼痛リハビリテーションにおいて理学療法士が好むコミュニケーション行動の運用が限定的であることを明らかにした。文献から特定された8つのコミュニケーションテーマに基づく概念的枠組みを、今後の研究の指針となる予備的パラダイムとして提案する。

[臨床意義] 痛みのリハビリテーションにおいて好まれるコミュニケーション行動に関するこのエビデンスに基づく概念的枠組みは、臨床家が自身のコミュニケーション実践を振り返るための枠組みとなり、研究者は特定のコミュニケーション行動が臨床結果に影響を与えるかどうか、またどのように影響を与えるかを特定できるようになるだろう。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

慢性疼痛者の声は、悲観的な方向に進むことが多い。

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こういう患者を目の前にして、何が言えるだろう。
意図と戦略と根拠が、自分の中で要塞化していなければ、目の前の状況が切迫しているだけに、自らの責任を傷つけないようなお茶を濁すような言葉とヘラヘラして終わってしまう。
今回の研究は、そのための武器を8つ、僕たちに授けてくれている。
理学療法士という仕事は、駅伝に近いような気がしていて、「チームだが、実践は個人」という業種だと思っている。
実践中は1人(対患者)で、そこでどのようなコミュニケーションがなされているかは、その個人の範囲を出ず、蛸壺化されている部分ではなかろうか。
時折、実習生が来たときに、コミュニケーションの背後に構築してきた理論の説明などをしていると、自分ごとながら「ああ、そんなこと考えていたんだ」と気付かされたりする。
それを、個人を跨いで話し合ったり、そういう機会は、皆無に近い。

だからこそ、今回の研究のような、他の理学療法士がどのように考えているかを知るための論文は尊い。
しかも、Physical Therapy掲載のシステマティック・レビューときた。
完全に、「お気に入り」に追加である。

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