脳卒中発症~6ヶ月。2つの身体活動量軌跡
📖 文献情報 と 抄録和訳
スウェーデンの成人における脳卒中急性期後の身体活動軌跡と機能回復について
[背景・目的] 機能回復を促進するための脳卒中後の身体活動介入の最適なレベルやタイミングは、依然として不明である。
●目的:脳卒中後6ヶ月間の身体活動パターンが類似している人の脳卒中後6ヶ月間の身体活動レベルを評価し、身体活動の軌跡と脳卒中後6ヶ月の機能回復との関連性を調査すること。
[方法] デザイン、設定、参加者 このコホート研究は、2014年10月から2019年6月までスウェーデン国内の35の脳卒中センターおよびリハビリテーションセンターで実施された「Efficacy of Fluoxetine-a Randomized Controlled Trial in Stroke」のデータを入手した。成人参加者(18歳以上)を脳卒中発症後2~15日の間に募集し、6カ月間フォローアップした。参加を取りやめた参加者、またはフォローアップから外れた参加者は、縦断的な分析から除外された。データ解析は、2022年8月15日から10月28日の間に行われた。身体活動は、1週間、1カ月、3カ月、6カ月で評価された。身体活動の軌跡に関連する複数の因子を調査した。多変量ロジスティック回帰で、明確な軌道と機能回復との関連性を評価した。主要アウトカムは、グループベースの軌跡モデリングを用いて同定された、時間経過に伴う明確な身体活動軌跡とした。第二のアウトカムは、脳卒中後6ヶ月の機能回復であり、修正Rankin Scaleを用いて評価された。
[結果] 参加者1367名(年齢中央値[IQR]72歳[65-79]、男性844名[62%])のうち、2つの異なる軌跡グループが特定された:増大群(increaser, n = 720[53%])および減少群(decreaser, 647[47%])。増大群は、身体活動レベルが有意に増加し(平均差0.27、線形勾配β1 = 0.46; P < .001)、1週間から6ヶ月間軽い強度でそれを維持したのに対し、減少群は身体活動レベルが低下し、最終的に不活発となった(平均差 -0.26, 線形勾配β1 = 1.81; P < .001)。脳卒中の重症度にかかわらず、男性参加者と認知機能が正常な参加者は、増加群に属する確率が高かった。身体活動を増加させ、軽い強度で持続させることは、6か月後の良好な機能的転帰と関連していた(調整オッズ比、2.54;99%CI、1.72-3.75;P < .001)。
[結論] 本研究の結果は、身体活動の増加が脳卒中後6ヶ月の機能回復と関連することを示唆している。脳卒中の亜急性期に身体活動が低下している人を対象とした介入は、機能的転帰を改善する役割を果たすかもしれない。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
身体活動量が退院後に増大する群、減少する群。
それによって、身体機能の回復程度に影響を与える可能性。
退院直後から、身体活動量を増大させることは、とても重要なことに思える。
だが、増大 or 減少、その要因を特定することは容易ではない。
例えば、最近の抄読で退院後の歩行能力は、身体活動量を増やすための必要条件であって十分条件ではない、ことを勉強した。
つまり、歩行能力だけがあったとしても、身体活動量を増大させるには十分ではない。
では、何が必要か?
身体的リテラシーという概念が、最近提案され、研究されている。
身体活動量を増やすためには身体的能力だけではなく、心理社会的な領域や認知領域、関心領域など、多岐にわたる前提条件が必要になりそうだ。
さらに、治療者とのラポールも関係する、というのだから大陸は大きい。
幅広い知識と技術が、要る。
○●━━━━━━━━━━━・・・‥ ‥ ‥ ‥
良質なリハ医学関連・英論文抄読『アリ:ARI』
こちらから♪
↓↓↓
‥ ‥ ‥ ‥・・・━━━━━━━━━━━●○
#️⃣ #理学療法 #臨床研究 #研究 #リハビリテーション #英論文 #文献抄読 #英文抄読 #エビデンス #サイエンス #毎日更新 #最近の学び