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非麻痺側の筋トレは、バランスと歩行耐久性を向上させる

📖 文献情報 と 抄録和訳

非麻痺側の筋力トレーニングは脳卒中患者の運動機能回復を促進する:無作為化比較試験

📕Shao, Chenlan, et al. "Strength Training of the Nonhemiplegic Side Promotes Motor Function Recovery in Patients With Stroke: A Randomized Controlled Trial." Archives of Physical Medicine and Rehabilitation 104.2 (2023): 188-194. https://doi.org/10.1016/j.apmr.2022.09.012
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar 🌲MORE⤴ >>> Not applicable

[背景・目的] 脳卒中患者の非麻痺側(nonhemiplegic side, NHS)の筋力トレーニングがバランス機能、モビリティ、筋力に及ぼす影響を観察すること。

[方法] 単盲検(評価者)無作為化比較試験。実施場所三次病院のリハビリテーションセンター。参加者139名の初発脳卒中患者が集められ、無作為に試験群(n=69)または対照群(n=70)に分けられた。
● 介入:試験対照群には、立位でのステップトレーニングや体幹トレーニングなど、通常のリハビリテーションを実施した。試験群には、通常のリハビリテーション訓練をベースに、NHSの筋力トレーニングが行われた。NHSの筋力トレーニングは、下肢のステップトレーニング(セラバンドに抵抗する)と上肢のセラバンドを引っ張るトレーニングを立位で行った。両群とも45分、1日1回、週5日、6週間のトレーニングであった。
● 主要アウトカム測定:バランス評価はberg balance scale(BBS)、モビリティ評価は6分間歩行テスト(6-MWT)、日常生活動作(ADL)はmodified Barthel index(MBI)、上腕二頭筋、腸腰筋、大腿四頭筋の筋力は等動性筋力テストシステムにより測定した。すべての評価は、ベースライン(T0)と介入後(T1)に行われた。

[結果] 介入後のBBSスコア(調整平均差:6.83;95%CI:4.71~8.94)および6-MWT(調整平均差:50.32;95%CI:40.58~60.05)において試験群は対照群よりも良好な成績を収めた。麻痺側(HS)の筋力に関しては、介入後、試験群は対照群よりも上腕二頭筋、腸腰筋、大腿四頭筋でより大きな向上を示した。

[結論] NHSの筋力トレーニングは、脳卒中患者の麻痺側のバランス、モビリティ、筋力の回復を促進することができる。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

『筋力トレーニング(麻痺側のみ実施)』

この文言は、リハセラピストの間では、“あるある” ではないだろうか。
やはり麻痺側の筋力低下が著しいのだから、より効率的に効果を出すためには、その部分にのみ介入を実施し、非麻痺側を省みる余裕は少ない。
だが、今回の文献は、「やはり非麻痺側の筋トレも重要だよね」ということを改めて認識されてくれた。

ただし、物事はそう単純ではない。
注目すべきは、その介入内容で、特に下肢の介入は単なる非麻痺側下肢の筋トレではない。
むしろ、ステップする非麻痺側を支持している“麻痺側の抗重力トレーニング”になっているように思われる。
つまり、この介入は麻痺側、非麻痺側双方を、効果的に鍛えられる方法である可能性が高い。
やり方もシンプルで分かりやすい。
平行棒の足場にセラバンドを縛れば、簡単に導入できそうだ。
早速、やってみようと思う!

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