【エッセイ】したたるしる
もくもくと、りんごをかじる。
りんごをかじる音は「もくもく」がふさわしい気がするのはなんでだろう、と思ったら、心当たりを見つけた。
中学生のときに大好きだったイラストレーターさんのエッセイに確かそう書いてあったのだ、りんごをもくもくたべる、と。それは確か青りんごだったのだけれど。
そのイラストレーターさんというのは、おおたうにさんという方。ませた中学生だった私の映画の趣味は彼女の影響によるところが大きい。
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果物をかじる。
そう聞いて思い出す、物語のシーンがいくつかある。
「レモンをかじる。」
レモンをかじるのは、「悲しみよこんにちは」のセシル。朝、珈琲を飲みながらレモンをかじる、そういうシーンがあった気がする。
私が「悲しみよこんにちは」を読んだのは高校生のときだったと思う。
そのとき、レモンをかじるの?すっぱそうだけど、ほんと?と疑問に思ったのをよく覚えている。
内容は、なんで名作とよばれているのかよくわからなかった。今読み返したら少し違うかもしれない。
「オレンジをかじる。」
「サマーブランケット」。
江國香織「泳ぐのに安全でも適切でもありません」で、海辺の白い家に住む女性が、サマーブランケットのうえで大学生の男の子と、オレンジをむいてたべる。
そう書いているだけで、オレンジの香りが強く感じられる気がする。
日に照りつけられて、少しぬるくなったオレンジのしるは、腕から肘までつたう。
べたべた
ざらざら
「プラムをかじる。」
「君の名前で僕を呼んで」のあのシーン…、これから先、プラムを食べるたびに思い出してしまうと思う。
みたのは最近だが、あまりストーリーを覚えていない。主に、映像が美しいなー、という感じで眺めていた。私はBLはわりと好きなのだか、3次元ではそうてもないらしい。
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ゆっくりと晩ごはんを作って食べて片付けていたら、台所で2時間もたっていた。
鶏のトマト煮、ごはん、かぼちゃのスープ、わらび餅もどき。
わらび餅もどきは、昨日つくった黒糖ゼリーにきなこと黒蜜をかけたもの。黒蜜もつくった。
お腹いっぱいでしばらく動けない。
あとでちょっと論文を探さねば。
PS まなちゃん、なをみ、手紙届いてます。ありがとう、来週中に返事を書くと思います。
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