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短い創作文章

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ショートショートと呼ぶにはオチがない
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近くて遠い

「あっかわいい」 その声がした方に思わず振り返った。アクセサリーやぬいぐるみなど、いわゆ…

スナフ
4年前
11

普通の鍋

ぐつぐつ、ぐつぐつ。 「おじさん、なにを煮込んでいるんだい」 「ああ、これは普通を煮込んで…

スナフ
2年前
23

ユタカとサチ

「ずいぶんと貧相な身体つきだね」 「貧弱な考え方じゃないかな」 「お前大貧民だから早く強い…

スナフ
4年前
5

クロース家の年越し

「うーうちも寒いけどここもうすら寒いな。暖房、いれてんの」 部屋に入るなり男は毒づいた。 …

スナフ
4年前
7

うなぎ

うなぎが食べたい。そう思い続けてはや数週間。この間の土日出勤の振替で平日にゆったりと時間…

スナフ
4年前
10

あおい淡い思い出

あおいと初めて会ったのもこんな雨の日だった。梅田に集合な!という大阪知らずの決め方により…

スナフ
4年前
3

マニキュアがんばって塗ってる女の子

剥がれかかった夏っぽい色を除光液で一本ずつ落としていく。鼻をつんとつく匂いが部屋にみちていく。今年の夏に2人で出かけた男は5人、片手の指の数と同じ。片方は丁寧に色を落とせたのに、もう片方は少し力が入って雑になってしまった。イマイチな男の思い出を消し去りたい力のせいで。 さてこれから秋だけど何色にしようか。秋だから茶系というのも地味で芸がないし、いっそのこと真っ黒にしようか。ハロウィンに降り立つ魔女として降臨して魔法をかけまくってやる。私しか見えなくなるような魔法をね。そんな

落下

あっと気づいたときにはもう落ちていた。いつどうやって高い場所までのぼってきたのやら、全く…

スナフ
4年前
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目に入れても痛くない

「お義父さん、娘さんを僕にください」 「私はね、うちの娘を目に入れても痛くないくらい可愛…

スナフ
5年前

みんな豚だ

「そんなに食べてばかりいて、ぶうぶうと文句ばかり言うなんてあなた本当に豚みたい」 「なん…

スナフ
5年前
1

そんな優しくしないで

ずっとずっとあなたは優しいままだった。初めてにっこり話しかけてくれた時も、財布を忘れた私…

スナフ
5年前
3

かごめかごめ

かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる  夜明けの晩に 鶴と亀と滑った 後ろの正面だ…

スナフ
5年前
1

あんなこと言わなければよかった

「あんなこと言わなければよかった」 ポツリと吐き出すと、グラスを磨く手を止めてちらりとこ…

スナフ
5年前
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