そんな優しくしないで

ずっとずっとあなたは優しいままだった。初めてにっこり話しかけてくれた時も、財布を忘れた私に千円を貸してくれた時も、わけもわからず怒ってしまった時も、いつでもどんなときも優しくて。私もあなたのようになりたくて、色々努力したんだよ。たくさんの人と話して、本も読んで、勉強して、柄にもなく運動もして。でもその背中は遠ざかるばかり。遠くに見えるまた違う誰かにも平等に優しく接する人。見返りを求めずただニコニコと愛をふりまく人。そんな優しくしないで、私以外の誰かに。あなたの血を吸うのをずっとずっと我慢しているんだから。

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