すみれ

SMの女王様。本や映画、植物のことと、日記と考え事置き場。

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最近の記事

映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』『ナイト・オン・ザ・プラネット』『ミステリー・トレイン』3本立て

夜中に『ナイト・オン・ザ・プラネット』観るのいいね〜と思い、ジム・ジャームッシュのオールナイト上映へ。 オールナイト上映は「今日は本気で映画観にきました」という感じのマナー厳守なお客さんが大半なためか静かで、眠気とおしりの痛さを除けば快適です。気が向いたときにフラっと1人で行っています。 ⁡ 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』はいつ観てもイヴのお部屋が素敵ですね。ベッド周りやカーペット、部屋着に至るまで鮮やかなブルーや金の重厚なテキスタイルでまとめていて、おまけに本

    • 映画『大いなる不在』

      年初にユーロスペースで観た、塚本晋也監督の『ほかげ』で森山未來の演技が印象に残ったので他作品ではどうなんだろうと『大いなる不在』を観ました。 ⁡ 超ざっくり言うと「何十年も顔を合わせていない父が認知症になり、久しぶりに会って徐々に父の人生を辿っていく」というあらすじ。 ⁡ 身近なテーマだからか、少し前に見た『関心領域』よりしんどさを感じ、観賞中ずっと胃が痛かったです。距離のある親子間の絶妙に張り詰めた空気やよそよそしさ、認知症になった父役の演技のリアルさに観ていてまあまあ疲れ

      • 映画『ふたりの人魚』

        目黒シネマのロウ・イエ特集で、前から気になっていた『ふたりの人魚』を観ました。 朝10時なのに映画館に行くまで暑い!上映中何がなんでも中座しない派なんですが、暑いからとたくさん水分をとると上映中尿意で膀胱がおしまいになるのでこの時期は勘弁してくれという感じです。一時期映画を観る前におもち食べておくと尿意を抑えられて良いと話題になりましたが、あれって本当なんですかね。 ⁡ 『ふたりの人魚』はジャンル的にロマンス/フィルムノワールらしいんですが、観た後にロマンスっちゃロマンス

        • 映画『アメリカン・ユートピア』(強制スタンディング&ライティング上映)

          新文芸坐でアメリカン・ユートピアの強制スタンディング&ライティングをやると聞いて超楽しそう!と思い行ってきました。本当だったら1本前のストップ・メイキング・センスもスタンディング上映だったので2本合わせて行きたかったんだけど、用事があったので今回は見送り。 ⁡ ロビーがデヴィッド・バーン&トーキング・ヘッズ祭りな状態になっていてテンション上がる!ポスターたくさん出してくれると嬉しいですよね。 ⁡ 早めに入場したらステージに脳みそ飾ってあったのと、続々とトーキング・ヘッズのT

        映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』『ナイト・オン・ザ・プラネット』『ミステリー・トレイン』3本立て

          読書『クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書』

          だいぶ前に確か新宿のIRREGULAR RHYTHM ASYLUMさんか高円寺のそぞろ書房さんのどちらかで購入した「パンク的な書物を通じてパンクを考える」がテーマのブックガイドZINE。 ⁡ ①「UNITY」…マジョリティに抗うために生み出した、仲間との繋がりや連帯を大事にするパンクスの価値観 ②「DIY」…自分の頭で考え、自分でやる ③「ANTI RACISM」…差別反対 ④「NO WAR」…戦争反対 ⑤「NO FURURE」…よくわからん未来よりいまこの瞬間を生きる ⑥「

          読書『クソみたいな世界で抗うためのパンク的読書』

          読書『村に火をつけ、白痴になれ』

          著者である栗原康さんの本は岩波新書の『アナキズム』を読んだのですが、「岩波の赤版でこの文体の本出すんだ!?」と驚き、そこから伊藤野枝のことが気になって本書を手に取りました。 伊藤野枝はウーマンリブの元祖で大正時代のアナキスト。関東大震災の際に同じくアナキストである恋人の大杉栄とともに憲兵隊に虐殺された(俗に言う甘粕事件)思想家です。平塚らいてうから『青鞜』を受け継いだ人でもあります。 本が読みたい、文章が書きたい、セックスしたい、美味しいものを食べたい、究極に自分の欲望と

          読書『村に火をつけ、白痴になれ』

          SM日記①君の泣き顔が見たい

          泣き顔が見たくてたまらない、と思うようになったのはいつからだろう。 ⁡ 小学生のころは好きな男の子に足をひっかけて転ばせたり、服の両袖を結んで手が出ないようにして頬を抓ったり、羽交い締めにしてくすぐったりと、ひどい悪戯をして遊んでいて(それでなぜか両思いだった)、思い返せばこのときには既にそんな想いを抱いていた気がする。 ⁡ 「男なんだから泣くな」と昨今口に出す人はそんなにいないものの、少なからずマッチョイズムを内面化している人はたくさんいて、そのマッチョな思想がSMの痛みや

          SM日記①君の泣き顔が見たい

          植物日記①

          園芸店で植物を3つ購入。 ⁡ ①着生ラン(ディネマ・ポリブルボン) 初心者向け品種で強健なはずなのに以前枯らしたのでリベンジです。着生植物の根っこ見てると飽きなくて楽しいですね。花咲かせられるといいなと思いつつ、これで蘭にハマったらのめり込みそうで怖い。 ⁡ ②カラジウム(ヒロビューティー) 斑入りの葉に目がないので一目惚れしてしまいました。茎が細長くてひょろ〜んとしている。⁡ ③ディフェンバキア(ドラゴンスケール) ディフェンバキアはティキという品種が好きで既に可愛

          植物日記①

          展覧会『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』

          東京国立博物館へ『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』を観にいきました。 ⁡ ささやか、静か、密やか、といった言葉が似合う作品群に、自然光が降りそそぐ部屋がとてもきれい。太陽の動きを感じながら、他の人がいないシンとした環境で1日これを眺めたらきっとすごく良いだろうなと思いました。東博、久しぶりに足を運んだけれど、あんなに美しい建物なのにいままで気付いていなかったよ。 ⁡ 蓮の花が開く時期だったので不忍池にも寄り道し、やわらかそうな花びらの白から桃色のあわいグラデーションに見

          展覧会『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』

          映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』

          もう上映終わりそうだし行くか、と『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』を観てきました。 ⁡ ドキュメンタリーと銘打ってはいるものの、キーファーの具体的な活動についてや作品解説はなく、多くは詩と哲学で構成されているので展示&アトリエ見学ツアーみたいでした。ヴェンダース好きだからと前知識なしで観るのはかなり厳しいかも! ⁡ もう1点、何年か前にゲルハルト・リヒター展が開催されたときに、アートや音楽が担ってきた反戦などの文脈を丸ごと無視して観てしまうのは如何なものかとモヤモヤを感

          映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』

          読書『インディーゲーム中毒者の幸福な孤独』&最近のゲームプレイ記

          もともとゲームは見る専でしたが、ここ数年は読書>映画>ゲームという譲れない優先順位なりに時間を見つけてはちょこちょことゲームをプレイしています。音楽や本と同じように、ゲームもメジャーどころだけでなくインディー市場がアツいのを知ってからは、面白いソフトがごろごろ見つかって楽しい。 ⁡ なにかそういうのまとめたZINEとか本はないのか、と探したときに見つけて読んだのが『インディーゲーム中毒者の幸福な孤独』(著・ソーシキ博士)でした。 著者がやっているのは『UNDERTALE』や

          読書『インディーゲーム中毒者の幸福な孤独』&最近のゲームプレイ記

          読書『ビボう六』

          どうにもこうにも考え事が頭を離れないので、こういう時は考え事を加速させる人文書や仕事で読まなきゃならない本ではなく、違う世界に逃避できる物語を読むに限ると『ビボう六』(著・佐藤ゆき乃)を読みました。 ⁡ そこそこ前に西村ツチカさんのイラストに惹かれて購入したものの、なんとなく今読むタイミングじゃない、と積ん読していた一冊。今日の朝「今かも」と思って手に取り、短かったので3時間ほどで読み終えました。 ⁡ ミシマ社公式サイトからあらすじを引用すると、 といった内容で、この千年を

          読書『ビボう六』

          人の悪意

          先日「おそらくこうだろう」と予想していて、嫌なのであまり考えないようにしていたことが当たったのですが、当たった結果「人に好かれるあの子がそんなこと言うかな、私の受け止め方に問題があるんだろう」と流していた、ちょっと前にある人から言われた発言が「あの時悪意を持って私にあの言葉をぶつけてきたんだな」とはっきりわかってしまい、けっこうつらい気持ちになることがありました。 ⁡ 嫌味を言われるくらいなら直接的に「お前が邪魔で嫌いだ」と言われたほうがまだ傷が早く治るのに。心臓がゆっくり錆

          東北の山の話

          映画の上映まで微妙に時間を持て余し、ベルクでビールを1杯だけ飲んでたら、ますむらひろし先生の絵と文が貼ってありまじまじと眺めました。 ⁡ 特に文章のほうは、「東京に出てから東北の山特有の不思議な雰囲気に気付いた」という話をしていて、あ、私も同じだーと。 植物も獣もいて豊かではあるけれど、ほんの少しだけ寂しさを感じるあの空気は何なんでしょうね。 ⁡ ふと思い出す10代の時。原発事故の影響で土や植物を無闇に触れなくなり、線量が…除染が…と言われて育った時期があります。道路の凹みに

          東北の山の話

          『煙だらけ』

          先日久方ぶりに大駱駝艦の舞踏『煙だらけ』を観てきました。創立50周年公演「おわり」「はじまり」以来。 ⁡ もくもくと色々な種類の煙がダイナミックに、静かに現れては消え、それを身体ひとつでいかに魅せるか。「分からないけれど面白い、惹かれる」と純粋に思えてよかったです。 舞踏をやっている人独特の脇や脛の横の細かな筋肉が発達した身体はいつ見てもうっとりするほどきれいですね。 ⁡ 以前田村一行さんのインタビューを読んで、「人間の肉体は水の入った袋である」(空っぽになり、その水が移動す

          『煙だらけ』