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メンターの支え 国際山岳ガイド木崎乃理恵さん/13days to 彼女たちの山

【13days to 彼女たちの山】
2023年3月14日に出版した『彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか』(柏澄子著、山と溪谷社刊)を紹介するシリーズです。
出版前に20日間かけてSNSなどで拙著に登場する女性たちを紹介したものを、ここに再録します。

山岳ガイド3人目は、国際山岳ガイドの木崎乃理恵さん(写真右)です。コロラド在住ですが、昨冬と今冬は、日本でガイドしていらっしゃる時間も長いので、どこかでお会いになった方もいらっしゃるかもしれません。

2021年秋、アメリカンアルパインクラブのInstagramに、国際山岳ガイドになった人たちにガイドの証であるバッジを授け、仲間がお祝いしている様子が載っていました。よく見ると、日本人女性が一人写っていて、タグ付けの先に飛ぶと、木崎さんのアカウントがありました。その時の雰囲気がとっても温かくて、いい仲間に囲まれているのだなという印象を持ちました。それが木崎さんにインタビューしようと思い立った理由です(国際山岳ガイドというタイトルよりも、仲間達との様子です)。コチラは、その時の木崎さんのInstagramです。

コロラドの木崎さんとzoomでつなぎインタビューしました。彼女のガイド生活のキーは、やっぱり仲間でした。とくに彼女のメンターであるアンジェラ・ワイス(写真左)との話が興味深かったです。アンジェラといえば、アメリカの名ガイド。AMGA(アメリカ山岳ガイド協会)の会長であり、IFMGA(国際山岳ガイド連盟)の理事も務めています。
アンジェアのInstagramの冒頭には、彼女のりりしく優しい笑顔のポートレートが載っているので、ぜひご覧いただきたいです。

ちなみに、アンジェラのことを記すときに、木崎さんの言葉にあった通り、「メンター」と書いたのですが、編集部から「一般的な日本語ではなく、わからない人もいるだろうから日本語に置き換えてほしい」と相談がありました。
安易に外国語の単語を使ってカタカナ表記することは好みませんが、外国語でしか伝わらないニュアンスも時にはあります。メンターはどうにも日本語にできないなあと思っていました。「先輩」とも違う……と思い悩んでいたときに、「先達」という言葉が浮かびました。辞書には「学問・技芸・修行などで、先にその道に達し、他を導くこと。また、その人」とありますが、
「先達」という言葉は、私が日頃から親しんでいる登拝の世界でも使う言葉で、なじみがありました。なるほど、メンターにいちばん近い日本語は「先達」かもしれない、と思いました。

木崎さんから聞く話は、目から鱗、悩める日本の女性のガイド達にも一緒に聞いてほしいという内容ばかりでした。
女性は、身体的に考えると必ずしもガイド業に有利ではありません。けれど、それをどう克服していくか。アンジェラから木崎さんが教わった話、木崎さんとアンジェラで考えた話は、とても参考になりました。

その後、仕事仲間であり友人の加藤直之さん(国際山岳ガイド)が国際山岳ガイド連盟(IFMGA)の総会から帰国したとき、アンジェラのほかにも、ジュリアナ(エクアドルの会長でもある)もIFMGAの理事であり、シルビア(カナダ)などガイド協会の会長が女性である国は多いと教えてくれました。ガイドとしての実力も、また人間的にも尊敬できる人達だと。

そして、木崎さんは2022年のアメリカの優秀な山岳ガイドとして、アメリカ山岳ガイド協会から表彰されました!
その時のことを、彼女がInstagramに書いた文章があります。英文ですが、こちらもぜひ読んでいただきたいです。アンジェラとのツーショットの写真が載っているのも印象的でした。

とくに印象的だったところを、私なりの日本語にしてみました。
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私は自分自身を、日本人女性の山岳ガイド、黄色人種の山岳ガイド、ママである山岳ガイドとは思っていません。私は、アメリカ山岳ガイド協会の山岳ガイドです。
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そして最後に、息子へのエールもあります。
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6,000マイル離れた、200人しか住民のいない村から来た小さな女の子は、アメリカの夢を叶えました(*)。 だから息子ひろゆき、夢は大きく、がんばれ!
*→石川県の小さな村からアメリカにわたり、山岳ガイドになった木崎さんのことです。
この投稿の文章は、全文を読んでいただけると、さらに感動的です。

木崎さんは、国際山岳ガイドを受験中にママになります。そんな話も、もっとたくさん書きたかったです。
今年は、新たに彼女をインタビューする機会が作れそうで、いまから楽しみです。

『彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか』(山と溪谷社、3/14発売)


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