知的障害のある我が子の幸せと生産性(前編)
障害福祉関係の記事を読んでいるとよく目にするのが「障害者の幸せ」と「障害者と生産性」という感じのもの。読ませてもらうと、ほんと色んな考えや視点があるんだなって思います。
これが正解というのも無い話ですし、当然と言えば当然なんですけど、本当に皆さん色んな考えをお持ちです。
ただ、(極力目に止まるようにこんなタイトルにしておいて言うのも何ですが)私的には皆さん「障害者」という括りで考え過ぎなんじゃない?と思っています。
私は子供の頃、さつまいも、にんじん、かぼちゃがあまり好きではありませんでした。
親にはよく「甘くて美味しいのに!」と言われましたが…逆なんです。
私は、甘いから嫌だったんです。
デザートじゃないのに甘いのが嫌だったんです。白ご飯に合わないのが嫌だったんです。
例えば、焼き芋、にんじんを使ったケーキ、かぼちゃのタルトなんかは好きでした。デザートですから。
でも、おかずとして出てくるのは嫌でした。
何の話?って思われたかもしれませんが、幸せだって、これと同じなんです。
何が楽しいとか、美味しいとか、幸せだとかは人によって違うんですよ。
次男は幼稚園から帰ると、真っ先にプラレールで遊びます。
毎日全く同じレールの繋ぎ方をして電車を走らせ、それを電車の視線の高さで色んな位置から眺めています。
レールは一杯あるので、色んな形が出来ます。
でも次男は、毎日同じ形で電車が走るのをただ眺めています。
私には何が楽しいのかわかりません。
長男の場合は、沢山のレールを使って色んなコースを作って遊びます。
あえてコースを未完成にして、少し高い所から電車が落ちて「大変!事故が起きた!」とか言って遊ぶ事もあります。
私には何が楽しいのかわかりません。
そもそも私は、電車に何の興味もありません。
プラレールの走行音は雑音ですし、高い所から落ちる電車は騒音で、私にとってはどちらも不快な音です。
結局、そんなもんなんですよ。
お受験して良い学校に行って良い大学に入って…とする事が幸せだと思っているのは親だけかもしれないし、色んな習い事を沢山させる事が子供にとってマイナスかもしれないんです。
みんなで歌を歌ったり、楽器を触ったり、ゲームをしたりする事に力を入れている施設にいるけれども、1人でボーッと外を眺めている時が一番心落ち着く時間だと感じておられる利用者さんもおられるかもしれません。
何が言いたいかというと「勝手に決めつけんなよ」って事なんです。
先述した、良い学校に入れて…という話を再び例にあげますが、それ自体が悪いんじゃありません。子を思う気持ちの表れです。
子供にとって負担だったり、したい事や目標にそぐわないと判明した時に
「ごめんな!」
と今までな費やしたお金や時間、親の気持ちをあっさりと捨てる事が出来るか?という話なんです。
もし出来ないのなら、ただの押し付け、決めつけです。
これで幸せだろ?
これで楽しいだろ?
美味いからこれだけ食っとけ!
これだけやってやったんだから満足しかないやろ?
せっかくやってやったのに。
傲慢過ぎやしませんか?
横暴過ぎやしませんか?
私が、子供にグループホームを用意した事もそうです。
「入居したい時に出来ない」
「入居しても、質が悪くて安心できない」
を、私が避けたかったから用意したんです。
作ったグループホームは、子供にとって「一生過ごさなきゃいけない場所」ではありません。「ある程度の質が確保されている、一生過ごしても良い場所」なんです。
私には、子供にとって何が幸せかわかりません。
だから、将来一人暮らししたって良いし、結婚したって良いし、違うホームに住んだって良いし、海外に行ったって良いんです。
でも、私は、子供に負担をかける事なく、子供の将来の選択肢を増やせたんです。
親として、これ程安心な事はありませんし、めちゃくちゃ満足です。
将来過ごせるそんな場所があると子供が知っても、その凄さや有り難さなんてわからないと思いますが、それで良いんです。
親の心子知らずで良いんです。
子の心だって親も知らないし(笑)
そりゃまぁ「お父さんありがとう!」って言ってもらえたら泣くかもしれませんけどね。
後編につづく
二人の障害児の父
すけじろう
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