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アジャイルのトレンドを読み解く|15th State of Agile Report

今回は、Digital.ai社が発表した「15th State of Agile Report」の考察記事になります。

アジャイルのトレンドとして、主流なアプローチやツール、課題などについて印象的だった部分を私なりに考察してご紹介します。

「15th State of Agile Report」とは

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15th State of Agile Report by Digital.ai

「15th State of Agile Report」は、アジャイルのトレンドに関する調査結果です。Digital.ai社が年に一度発表しており、今回が15年目のレポートになります。

今回の調査は、2021年2月〜4月に寄せられた4,182人の回答が対象の模様です。

「15th State of Agile Report」は、こちらのリンクから確認できます。
https://stateofagile.com/#

ちなみにDigital.ai社は、DX支援を行う会社のようです。アメリカのテキサスに本社を構え、VSM構築を中心に手広く行っています。

Digital.ai is an industry-leading technology company dedicated to helping Global 5000 enterprises achieve digital transformation goals. Using value stream management as its cornerstone, Digital.ai combines innovative technologies in agile planning, application protection, software delivery, and artificial intelligence into a unified Value Stream Platform. Digital.ai makes it possible to connect software development and delivery efforts to strategic business outcomes and create secure digital experiences customers trust.

Company by Digital.ai

レポート内容

以下からいくつかのカテゴリに分けてご紹介していきます。

・アジャイル経験
・アジャイルの適用
・アジャイル導入の課題
・アジャイルのアプローチ、テクニック
・アジャイルのツール
・DevOpsとVSM


アジャイルの経験

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Company Experience with Agile by 15th State of Agile Report

【ポイント】
・94%がアジャイルを実践しており、内65%が3年以上の実践経験と回答。2年未満の回答は29%にとどまる
・52%が企業内のチームのうち、アジャイルを適用しているチームが半数を占めると回答。全く適用していないの回答は、3%にとどまる

昨年のレポートと比較すると3年以上の割合は4%増加、内5年以上の割合が5%増加、2年未満の割合は4%減少しています。

チーム内での適用については、52%の割合は変化なし。全く適用していない回答が2%減少しています。

新たにアジャイルに取り組む企業が増えているというよりも、これまで取り組んできた企業の経験年数が伸びており、経験年数での差が企業間で開き始めている傾向にあると思います。

アジャイルの適用

アジャイルを適用する理由は以下のとおりです。過去と比較しても大きく変わりません。

・Enhance ability to manage changing priorities (64%)
・Accelerate software delivery(64%)
・Increase team productivity(47%)

・Improve business and IT alignment(47%)
・Enhance software quality (42%)
・Enhance delivery predictability(41%)
・Improve project visibility (40%)

アジャイルデリバリーの成功を測る指標として、回答者の約半数が外部指標を選択しています。内部指標としてベロシティが重要視されていることも分かります。

・提供されたビジネスバリュー(49%)
・顧客満足度(49%)
・ベロシティ(45%)

アジャイル導入の課題

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Agile Challenges by 15th State of Agile Report

アジャイル導入の大きな障壁は”文化”であるという課題が、数年前は10人中8人以上の回答者だったのに対し、現在では10人中4人をわずかに上回る程度になります。

これらから組織文化とアジャイルの価値観が一致し始めている傾向にあります。

アジャイルのアプローチ、テクニック

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Agile Techniques and Maturity by 15th State of Agile Report

スクラムが大半を占めています。昨年と比較すると8%増加、最初の調査から比較すると26%増加しています。

スクラムをベースにしたカンバンやXPのハイブリッドアプローチを含めると81%がスクラムベースでアジャイルを行っていることになります。

XPのような他のアプローチは、回答者の約4分の1が使用していたのが、現在では1%未満にまで落ち込んでいます。

プラクティスについては大きな変化はありませんが顕著なのは、カンバンボードです。最初の調査では6%だったカンバンボードは、現在61%の回答者が使用しています。

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Scaling Agile by 15th State of Agile Report

スケーリングフレームワークは、SAFeが大半を占めています。当初はSoSが主流だったのに対し、ここ5年で徐々にSAFeが主流のようです。

以前、SAFeは別の記事でも紹介しています。

アジャイルのツール

トップ3は、以下のツールです。

1.Atlassian Jira (81%)
2.Digital.ai Agility (formerly VersionOne) (70%)
3.Azure DevOps (66%)

意外だったのは、Asanaなどのメジャーどころがあまりランクインしていなかった点です。前回レポートではEXCELが40%で2位でしたが、15位まで降格しています。

ツールについて別の記事でも紹介しています。

DevOpsとVSM

DevOpsへの関心が年々高まっているようです。

過去4年間で、DevOpsによる変革を「非常に重要」と考える企業の割合は増加しています(33%→42%)。一方でDevOpsを「やや重要」または「重要ではない」と考える企業の割合は減少しています(35%→25%)。

デリバリーの高速化と品質向上への意識が年々強まっているということだと思います。

DevOpsの成功指標は以下のようなものが挙げられています。

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Improving DevOps Success by 15th State of Agile Report

VSMについては、前回から大きく変わっていません。横ばいです。

回答者の半数以上(56%)がVSMを導入しているか、導入を計画しています。さらに23%がVSMに関心を持っていると回答しています。

アジャイルのトレンドまとめ

まとめ2

今回は、Digital.ai社の「15th State of Agile Report」について私なりに考察しました。

アジャイルの動向としてポイントは以下です。

・企業間でアジャイルの経験差が開き始めている
・アジャイルの価値観と組織文化が時代とともに一致し始めている
・スクラムベースのアジャイルが8割を超えている
・スケーリングアジャイルはSAFeが主流になりつつある

・DevOpsへの関心が高まっている。VSMは横ばい。

詳細は、以下のリンクから「15th State of Agile Report」にてご確認ください。
https://stateofagile.com/#


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※本記事の内容は個人の見解であり、私が所属する組織とは一切関係ありません。


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